ハヴィガーストの発達課題とは?6つの発達段階と理論をわかりやすく解説
ハヴィガーストは、人の一生をいくつかの時期に分け、それぞれの時期に「発達課題」があると考えました。
キャリアコンサルタント試験では、まずハヴィガーストと発達課題を結びつけることが大切です。そのうえで、発達課題が生まれる3つの要因や、青年期・成人期・老年期の代表的な課題を整理すると、ほかの発達理論とも区別しやすくなります。
この記事では、ハヴィガーストの理論の全体像を初学者向けに解説します。
Contents
ハヴィガーストとは
ロバート・J・ハヴィガースト(Robert J. Havighurst, 1900–1991)は、アメリカの教育学者です。
人は子どもの時期だけでなく、生涯を通じて発達していくという視点から、人生の各段階で取り組む「発達課題」を整理しました。代表的な著作に、Developmental Tasks and Education があります。
発達課題とは
発達課題とは、人生のある時期に生じる課題です。
ハヴィガーストは、その時期に課題を達成すると本人の幸福や後の課題の達成につながり、達成できない場合には本人の不幸や社会からの不承認、後の課題への困難につながると説明しました(Developmental Tasks and Education)。
ただし、これは一人ひとりの人生を採点するための基準ではありません。
ハヴィガーストが示した課題には、理論がまとめられた当時のアメリカ社会の家族観や性別役割も反映されています。
現在の支援では、発達課題を固定的に当てはめず、本人の価値観、生活状況、文化的背景を踏まえて理解することが重要です。
発達課題が生まれる3つの要因
ハヴィガーストは、発達課題が主に次の3つの要因から生じると考えました(Developmental Tasks and Education)。
- 身体的な成熟
歩行や加齢による身体変化など、身体の成長・変化から生じるものです。 - 社会からの期待や文化的圧力
学校教育、就職、家族や地域での役割など、その社会で期待されることから生じるものです。 - 個人の価値観や願望
「このように生きたい」「この仕事に就きたい」といった、本人の価値観や目標から生じるものです。
たとえば職業選択は、本人の興味だけで決まるわけではありません。
能力の発達、家族や社会からの期待、本人が望む生き方などが影響し合います。このように、個人と環境の両方を見る点が発達課題の重要な特徴です。
6つの発達段階と主な発達課題
ハヴィガーストは、人生をおおむね6つの段階に分けました。年齢区分や段階名の日本語訳には文献による違いがあるため、次の年齢は目安として捉えてください。
| 発達段階 | 年齢の目安 | 主な発達課題 |
|---|---|---|
| 乳幼児期 | 0〜6歳頃 | 歩く、固形物を食べる、話す、排泄を調整する、身近な人との情緒的関係を築く、善悪を区別する |
| 児童期 | 6〜12歳頃 | 遊びに必要な身体技能を学ぶ、自分への健全な態度を育てる、仲間と関係を築く、読み書き計算の基礎を身につける、自立性や道徳性を発達させる |
| 青年期 | 12〜18歳頃 | 同年代との成熟した関係を築く、身体を受け入れる、親などから情緒的に自立する、職業を選択・準備する、結婚や家庭生活を準備する、価値体系や社会的責任を身につける |
| 成人初期 | 18〜30歳頃 | 配偶者を選ぶ、家庭生活を始める、子どもを育てる、家事を管理する、職業生活を始める、市民としての責任を担う、親しい社会集団を見つける |
| 中年期 | 30〜60歳頃 | 社会的・市民的責任を果たす、経済的な生活水準を確立・維持する、成長する子どもを支える、余暇活動を充実させる、配偶者や老いていく親との関係を築く、身体的変化に適応する |
| 老年期 | 60歳以降 | 体力や健康の衰え、退職と収入減、配偶者との死別に適応する、同年代との関係を築く、社会的・市民的役割を果たす、生活環境を整える |
表は原典の課題を要約したものです。各段階の課題は、全員が同じ年齢に同じ順序で経験するという意味ではありません。また、原典には当時の性別役割や家族観を反映した項目があります。現在の社会制度や働き方、家族の形に照らし、本人の背景を尊重して捉える必要があります。
青年期・成人初期・中年期の発達課題の違いは、年代別記事で詳しく解説します。
老年期の6つの課題は、ハヴィガーストの老年期(60歳以降)の6つの発達課題で詳しく解説します。
エリクソンとの違い
ハヴィガーストとエリクソンは、どちらも生涯にわたる発達を扱うため、試験で混同しやすい理論家です。
| 理論家 | 理論を見分けるキーワード | 捉え方の中心 |
|---|---|---|
| ハヴィガースト | 発達課題、6つの発達段階 | 各時期に取り組む具体的な課題 |
| エリクソン | 心理社会的発達、8段階、心理社会的危機 | 「自我同一性 対 同一性拡散」などの対立する課題と、その乗り越え |
「発達課題」という一般的な言葉は多くの理論で使われますが、人生の各時期における具体的な発達課題を整理した理論家として問われた場合は、ハヴィガーストを考えます。
一方、「8段階」「心理社会的危機」「アイデンティティ」などが示された場合は、エリクソンを考えます。
スーパーとの違い
スーパーも、生涯にわたるキャリア発達を段階的に捉えた理論家です。ただし、両者は焦点が異なります。
- ハヴィガースト:生活全般にわたる発達課題を整理した
- スーパー:職業的発達、自己概念、ライフ・キャリア・レインボーなどを通してキャリアを説明した
つまり、ハヴィガーストは人生全体の発達課題、スーパーは職業や役割を含むキャリア発達が中心です。
「ハヴィガーストの概念をスーパーがそのまま引き継いだ」と単純化せず、それぞれの理論の焦点を区別して覚えましょう。
キャリアコンサルタント試験で押さえるポイント
まずは、次の4点を押さえます。
- ハヴィガーストは、人生の各時期における発達課題を整理した
- 発達課題は、身体的成熟、社会・文化からの期待、個人の価値観や願望から生じる
- 人生を6つの発達段階に分けている
- エリクソンの8段階や心理社会的危機とは区別する
すべての課題を一度に暗記するより、「理論家とキーワード」「発達段階」「各段階の代表例」の順に理解すると整理しやすくなります。
過去問ではどのように問われるか
公開済みの過去問解説では、次のような形でハヴィガーストが扱われています。
- 第28回キャリアコンサルティング技能検定2級 学科試験 問27:発達課題を整理した理論家と、6つの発達段階や3つの要因を確認する問題
- 第15回キャリアコンサルティング技能検定1級 学科試験 問25:老年期の発達課題として「配偶者の死への適応」などを確認する問題
また、青年期については「職業選択とその準備」「結婚と家庭生活の準備」が代表的な課題です。
青年期と成人初期の選択肢を見分けるときは、準備する段階なのか、実際に職業生活や家庭生活を始める段階なのかに注目しましょう。
まとめ
ハヴィガーストの発達課題理論は、人が生涯を通じて、各時期の身体的変化、社会からの期待、本人の価値観や願望に関わる課題に取り組むという考え方です。
試験対策では、ハヴィガーストと「発達課題」「6段階」「3つの要因」を結びつけ、エリクソンやスーパーとの違いを整理しましょう。
参考資料
Robert J. Havighurst, Developmental Tasks and Education(Open Library)
Robert J. Havighurst, “Research on the Developmental-Task Concept”(The School Review, DOI)



