ハヴィガーストの発達課題では、職業を選択して準備することは青年期、職業生活を始めることは成人初期に位置づけられます。

同じように、結婚や家庭生活についても、青年期は「準備」、成人初期は「実際に始める時期」として整理されています。

この記事では、試験で混同しやすい青年期・成人初期・中年期の発達課題を比較します。

まず押さえたい3段階の違い

発達段階年齢の目安職業・家庭・社会との関わり
青年期12〜18歳頃将来の職業、結婚、家庭生活などに向けて準備する
成人初期18〜30歳頃職業生活や家庭生活を実際に始め、役割を担う
中年期30〜60歳頃職業・家庭・社会で担ってきた責任を維持し、変化に適応する

年齢は一つの目安です。段階名や年齢区分は、文献や日本語訳によって異なる場合があります。

青年期の発達課題

青年期では、子どもから大人へ移行するための準備が中心になります。ハヴィガーストが示した主な課題は次のとおりです。

  • 同年代の男女と新しく成熟した関係を築く
  • 社会的な性役割を身につける
  • 自分の身体を受け入れ、有効に使う
  • 親やほかの大人から情緒的に自立する
  • 経済的な自立に備える
  • 職業を選択し、その準備をする
  • 結婚と家庭生活の準備をする
  • 市民として必要な知識や技能を身につける
  • 社会的に責任ある行動を求め、実行する
  • 行動の指針となる価値観や倫理体系を身につける

原典には、理論がまとめられた当時のアメリカ社会の性別役割や家族観が反映されています。現在の支援で、結婚や特定の役割をすべての人に求めるという意味ではありません。

職業選択は青年期

試験では、「職業選択とその準備」がどの発達段階に該当するかがポイントになります。ハヴィガーストでは青年期の課題です。

ここでの「準備」には、自分の興味や能力を考えること、職業について情報を集めること、進学や訓練を選ぶことなどが含まれると理解できます。

成人初期の発達課題

成人初期では、青年期に準備してきた職業生活や家庭生活を実際に始め、社会の中で役割を担うことが中心になります。

  • 配偶者を選ぶ
  • 配偶者と生活することを学ぶ
  • 家庭生活を始める
  • 子どもを育てる
  • 家庭を管理する
  • 職業生活を始める
  • 市民としての責任を引き受ける
  • 自分に合った社会的集団を見つける

青年期との違いは「準備」と「開始」

職業に関する課題は、次のように区別できます。

  • 青年期:職業を選択し、準備する
  • 成人初期:職業生活を始める

家庭生活についても同様です。

  • 青年期:結婚や家庭生活の準備をする
  • 成人初期:配偶者を選び、家庭生活を始める

問題文の「準備」「選択」「始める」という言葉に注目すると、段階を見分けやすくなります。

中年期の発達課題

中年期では、職業、家庭、地域社会での責任を担いながら、本人や家族の変化に適応することが中心になります。

  • 大人としての社会的・市民的責任を果たす
  • 経済的な生活水準を確立し、維持する
  • 成長期にある子どもが責任ある幸福な大人になるよう支援する
  • 大人としての余暇活動を充実させる
  • 配偶者と一人の人間として関係を築く
  • 中年期の身体的変化を受け入れ、適応する
  • 老いていく親に適応する

中年期は、単に仕事で成果を上げる時期という意味ではありません。家族関係、社会的責任、余暇、身体的変化など、生活全体に関わる課題が示されています。

3段階を比較して覚える

テーマ青年期成人初期中年期
職業選択して準備する職業生活を始める経済的生活を維持し、社会的責任を果たす
家庭結婚・家庭生活を準備する配偶者を選び、家庭生活を始める配偶者との関係、成長する子どもや老いる親に関わる
自立・責任情緒的・経済的自立に備える市民としての責任を担う社会的・市民的責任を果たす
身体身体を受け入れる身体的変化を受け入れ、適応する

この表の「―」は、その段階に身体に関する経験がないという意味ではありません。ハヴィガーストが成人初期の代表的な発達課題として独立項目を示していないことを表しています。

キャリアコンサルタント試験での見分け方

試験では、理論家名と発達課題を結びつける問題や、具体的な課題がどの段階に当たるかを判断する問題が考えられます。

次の対応を優先して覚えましょう。

  1. 職業選択とその準備:青年期
  2. 結婚・家庭生活の準備:青年期
  3. 職業生活を始める:成人初期
  4. 配偶者を選び、家庭生活を始める:成人初期
  5. 経済的生活水準の確立・維持:中年期
  6. 成長する子どもや老いる親への関わり:中年期

第28回キャリアコンサルティング技能検定2級 学科試験 問27の解説では、ハヴィガーストと発達課題、6つの発達段階、発達課題が生じる3つの要因を確認できます。

支援で活用するときの注意点

発達課題は、相談者を年齢だけで分類するためのチェックリストではありません。

現在は、進学、就職、結婚、子育て、退職などを経験する時期も、選択する生き方も多様です。本人の困りごとを理解する手がかりとして使い、特定の人生経路を「達成すべきもの」として押しつけないことが重要です。

まとめ

ハヴィガーストの青年期・成人初期・中年期は、「準備する」「始める」「維持し変化に適応する」という流れで整理できます。

特に試験対策では、職業選択と結婚・家庭生活の準備は青年期、職業生活と家庭生活の開始は成人初期という違いを押さえましょう。

理論全体と6つの発達段階は、ハヴィガーストの発達課題とは?6つの発達段階と理論で解説しています。

老年期については、ハヴィガーストの老年期(60歳以降)の6つの発達課題をご覧ください。

参考資料

Robert J. Havighurst, Developmental Tasks and Education(Open Library)

Robert J. Havighurst, “Research on the Developmental-Task Concept”(The School Review, DOI)

第28回キャリアコンサルティング技能検定2級 学科試験 解答解説(問26〜30)