この記事について

令和8年7月実施の第32回学科試験の問41〜45を、初学者向けに解説します。

職業理解、トライアル雇用、意思決定、実行支援を扱います。問題文は公式の過去問題で確認してください。解説には誤りが含まれる可能性があります。

問41

正解:3

テーマ:職業理解のための情報収集

根拠:厚生労働省「労働市場関連情報」厚生労働省「job tag(職業情報提供サイト)」厚生労働省「職場情報の提供制度」

まず押さえること

職業理解のための情報は、次の4つに分けると整理しやすくなります。

  • 職業そのもの:仕事内容、具体的な作業、必要な知識・技能、求められる資格、一般的な働き方など
  • 職業を取り巻く環境:労働市場、求人・求職の動向、業界の状況、企業規模や事業所形態など
  • 職業に就くための手段・方法:就業経路、資格の取得方法、職業訓練、求人の探し方、応募方法など
  • 職場適応(定着):労働条件、福利厚生、研修・育成、相談体制、職場の人間関係、離職状況など

試験では、調べた内容そのものだけでなく、その情報が4分類のどこに入るかを問われています。似ているように見える「職業」と「職場」、「就職前」と「就職後」を区別することがポイントです。

選択肢1:不適切

「職業そのものに関する情報」を得たい場合は、job tagの職業紹介ページなどで、仕事内容、タスク、必要な知識・技能、就業経路、一般的な労働条件を調べます。職業に従事している人へのインタビュー、職場見学、職業体験も、実際の仕事を理解する方法です。

一方、選択肢にある「わが国の労働市場や求人・求職状況」は、その職業の仕事内容ではなく、仕事を取り巻く社会・経済的な状況です。これは厚生労働省の労働市場関連情報、ハローワークインターネットサービスの求人情報、一般職業紹介状況などで確認します。したがって、調べる情報の分類が違います。

選択肢2:不適切

「職業を取り巻く環境」を知るには、労働市場の需給、業界動向、企業規模、事業所形態などを調べます。厚生労働省の労働市場関連情報、ハローワークの求人情報、各省庁の業界統計、企業の公式サイトや公表資料などが主な情報源です。

選択肢の「福利厚生や社会保険制度」は、就職後の働きやすさや生活保障に関わるため、個別企業における労働条件や職場適応・定着の情報として捉えるのが適切です。求人票、労働条件通知書、企業の採用ページ、会社説明会などで確認します。したがって、この選択肢も分類が一致していません。

選択肢3:適切

職業訓練の方法や就職活動のルールは、その職業に就くまでの道筋に関する情報です。そのため、「職業に就くための手段・方法」として正しく分類されています。

具体的には、job tagで一般的な就業経路や必要な資格を調べ、ハローワークインターネットサービスでハロートレーニングのコースや求人を検索できます。資格が必要な職業では、資格を所管する省庁や試験実施機関、教育訓練機関の公式情報も確認します。1つの情報源だけでなく、「必要な能力を知る→身につける方法を調べる→実際の求人要件を確認する」とつなげて調べることが大切です。

選択肢4:不適切

「職場適応(定着)」について調べるのであれば、入社後に働き続けやすいかという視点から、研修の内容、メンターや相談窓口の有無、残業時間、有給休暇、平均勤続年数、新卒者の離職状況などを確認します。若者向けの職場情報は、求人票のほか、青少年雇用情報、企業の採用ページ、会社説明会、職場見学などから得られます。

選択肢の「企業規模や事業所の形態」は、企業や職場の外形的な特徴であり、職業を取り巻く環境に当たります。それだけでは、入社後の教育、相談支援、働きやすさ、定着状況までは分かりません。したがって、職場適応の情報として分類している点が不適切です。

問42

正解:2

テーマ:トライアル雇用

根拠:厚生労働省「トライアル雇用」

まず押さえること

トライアル雇用は、職業経験の不足などにより就職が難しい求職者を、原則3か月間試行雇用する制度です。この期間に求職者と企業が相互理解を深め、適性や能力を見極めて、期間の定めのない雇用への移行につなげます。

試験では、以下の点を整理しておきましょう。

  1. 無期雇用への移行が目的に含まれる
  2. 応募にはハローワーク等の職業紹介が必要
  3. 求人はインターネットでも検索できる
  4. 派遣求人は対象外

選択肢1:不適切

トライアル雇用は、試行雇用だけで終了することを目的とした制度ではありません。求職者と企業が互いを理解し、ミスマッチを防ぎながら、無期雇用へ移行するきっかけを作ることが目的です。したがって、「期間の定めのない雇用への移行は目的としていない」という部分が反対です。

選択肢2:適切

厚生労働省は、対象要件を満たす求職者が、ハローワーク等の職業紹介を受けて「トライアル雇用求人」に応募する必要があると案内しています。求職者が企業へ直接応募するだけでは、この制度によるトライアル雇用の手続にはなりません。

選択肢3:不適切

トライアル雇用求人は、ハローワークインターネットサービスで確認できます。求人検索画面の詳細検索条件で「トライアル雇用併用求人」を指定する方法や、フリーワード欄に「トライアル雇用」と入力する方法があります。「インターネットからは入手できない」という記述が誤りです。

選択肢4:不適切

事業主が提出するトライアル雇用求人は、厚生労働省が示す要件を満たす必要があり、その1つが「派遣求人以外の求人であること」です。したがって、「派遣求人も対象となる」という部分が誤りです。

問43

正解:3

テーマ:意思決定における目標設定

根拠:厚生労働省「キャリア教育実践講座テキスト」厚生労働省「キャリアコンサルティングの流れ」

まず押さえること

目標は、相談者にとって価値があり、具体的で実現可能なものを、相談者とキャリアコンサルタントの共同作業で設定します。その前提となるのが、興味・価値観・能力などの自己理解と、仕事内容・必要な能力・労働市場などの仕事理解です。

キャリア形成のプロセスは、必ず一方向に進むものではありません。目標を考える段階で情報不足に気づいた場合は、自己理解や仕事理解に戻って情報を補い、改めて選択肢を検討します。

選択肢1:不適切

短期目標は、行動を始めやすくするために重要です。しかし、短期目標だけでは、何のためにその行動をするのかが曖昧になることがあります。たとえば「今月中に資格講座を調べる」という短期目標は、「3年後に希望職種へ転職する」という中長期の方向性と結びつけて考える必要があります。長期的・短期的な目標の両方を検討するため、「中長期的な目標を設定する必要はない」とするのは不適切です。

選択肢2:不適切

目標の候補を比較し、最終的に選ぶ主体は相談者です。キャリアコンサルタントは、選択肢を整理し、メリット・デメリット、実現可能性、本人にとっての価値などを一緒に検討しますが、本人に代わって評価し決定する人ではありません。この選択肢は、意思決定の主体をキャリアコンサルタントにしている点が不適切です。

選択肢3:適切

自己理解と仕事理解を一度行っても、目標を具体化する段階で新たな疑問が出ることがあります。たとえば、希望職種に必要な経験が分からなければ仕事理解へ戻り、自分がその働き方を本当に望んでいるか曖昧なら自己理解へ戻ります。不足情報を補ってから目標設定をやり直すという、柔軟な進め方が適切です。

選択肢4:不適切

目標を増やしすぎると、時間や労力が分散し、何から行動すべきか分からなくなります。複数の候補があるときは、本人にとっての重要度、緊急度、実現可能性などを比較し、優先順位をつけます。すべてを盛り込むのではなく、具体的で実行可能な目標に絞ることが大切です。

問44

正解:2

テーマ:方策の実行支援

根拠:厚生労働省「キャリア教育実践講座テキスト」

まず押さえること

方策とは、設定した目標を達成するための具体的な行動計画です。厚生労働省のテキストでは、方策の実行を流れで説明しています。

  1. 複数の方策から最適なものを選ぶ
  2. 実行プロセスを説明する
  3. 相談者のニーズに合わせて変更する
  4. 契約を結ぶ
  5. 相談者が実行する
  6. 実行全体を確認する

大切なのは、相談者が行動の主体である一方、キャリアコンサルタントも計画づくり、情報提供、進捗確認、必要な修正を通じて支援することです。「自己責任だから任せきりにする」という意味ではありません。

選択肢1:不適切

契約は方策実行の途中に位置づけられます。最初に行うのは、目標達成につながる方策を複数考え、その中から適切なものを選ぶことです。また、契約は必ずしも契約書という文書を取り交わすことだけを意味しません。目標、役割、実行内容などについて、相談者とキャリアコンサルタントが合意することが重要です。

選択肢2:適切

まず可能性のある方策を複数挙げ、目標とのつながり、メリット・デメリット、必要な時間や費用、実現可能性などを比較します。そのうえで、相談者に最も適した方策を選ぶため、この記述は適切です。たとえば能力開発が目標なら、「講座を受ける」「独学する」「職場で実務経験を積む」といった候補を比べます。

選択肢3:不適切

実際に行動する主体は相談者であり、相談者が責任を持って実行します。しかし、それはキャリアコンサルタントが支援を終え、任せきりにするという意味ではありません。進捗や結果を確認し、うまくいかなかった理由を一緒に検討し、必要な情報提供や計画の修正を行います。「実行結果の確認は不要」という部分が誤りです。

選択肢4:不適切

実行してみると、予想以上に費用がかかる、時間を確保できない、相談者の希望が変わるといったことがあります。その場合は、相談者のニーズに合うよう方策を変更します。一度決めた計画を守ること自体が目的ではなく、目標の達成に向けて実行可能な計画へ調整することが大切です。

問45

正解:3

テーマ:内々定後のキャリア支援

根拠:厚生労働省「キャリアコンサルティングの流れ」キャリアコンサルティング協議会「キャリアコンサルタント倫理綱領」

まず押さえること

内々定を得たことは就職活動の大きな区切りですが、キャリア形成が終わったわけではありません。就職活動を振り返ることは、自分の成長、強み、残された課題を整理し、入社後の職場適応や能力開発につなげる機会になります。

キャリアコンサルタントは、本人の希望や価値観を尊重し、本人が納得して行動を選べるよう支援します。資格取得、学習、旅行などの結論を支援者の価値観で決めるのではなく、「入社後にどのようになりたいか」「今のうちに準備したいことは何か」を一緒に検討する姿勢が重要です。

選択肢1:不適切

ITが苦手だと一方的に指摘し、流行しているという理由だけで資格受験を勧めるのは、本人の希望、入社後の業務、必要な能力を踏まえた支援ではありません。まず、本人が何に不安を感じ、就職先でどのような仕事をする予定なのかを確認します。学習が必要だと分かった場合も、資格取得だけに決めつけず、研修、基礎学習、実際のツールに触れるなど複数の方法を一緒に検討します。

選択肢2:不適切

相談テーマは就職先を決めることだけではありません。入社に向けた準備、能力開発、職場への適応もキャリア形成の一部です。相談の契約範囲を確認する必要はありますが、「就職先が決まった」という理由だけで支援の対象外と決めつけるのは適切ではありません。

選択肢3:適切

まず就職活動の経験を振り返り、本人が成長した点、発揮できた強み、今後の課題を言葉にします。そのうえで、入社後の仕事や生活を見通しながら、入社までに取り組むことを本人と一緒に具体化します。この対応は、自己理解を深め、本人主体の目標設定と行動につなげているため適切です。

たとえば、「生活リズムを整える」「業界の基礎知識を学ぶ」「必要なPC操作を練習する」「学生生活でやり残したことに取り組む」などの候補から、本人にとって必要で実行可能な準備を選びます。

選択肢4:不適切

旅行をすること自体が不適切なのではありません。不適切なのは、支援者が「旅行のほうがよい」と価値判断し、本人が相談したい学習や準備の話題を避けている点です。旅行、休養、学習などの選択肢を本人がどう考えているかを聴き、限られた期間の使い方を本人が納得して決められるよう支援します。

参考資料

国家試験 第32回 解説リンク集

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