過去問関係

第34回 キャリアコンサルティング技能検定2級 学科試験 解答(問26〜30)

この記事について

「第34回 キャリアコンサルティング技能検定2級 学科試験」(令和7年6月実施)の解答解説を作成しました。

過去問を解いた際に調べたこと内容を記入しています。

解答は自分で調べたので、間違いがあるかもしれません。
間違え等を見つけた場合は、お知らせください。

1記事5問ずつアップしています。

問:26

正解:1

選択肢1:適切

スーパーのライフステージ理論では、45歳からの「維持段階」において「自らの限界を受容する」「獲得した地位や利益を保持する」などが課題とされています。

働き続ける上での新たな問題(役割や健康など)に向き合うことも含まれます。

選択肢2:不適切

「親密性・孤立」はエリクソンの成人前期(青年期~成人初期)の課題であり、岡本祐子は中年期において「アイデンティティの危機」や「自我同一性」について言及していますが、「親密性・孤立」を中年期の課題とはしていません。

選択肢3:不適切

エリクソンによる成人期最後(老年期)の発達課題は「統合性(integrity) vs 絶望(despair)」です。「受容性」という表現は用いていません。

選択肢4:不適切

レビンソンは、成人前期から中年期の移行期を「人生半ばの過渡期(mid-life transition)」とし、「安定期」とはしていません。

問:27

正解:1

選択肢1:適切

  • ギンズバーグの理論では、職業選択は以下の3段階で発達すると定義されている。
    • 空想期(Fantasy stage, 0~10歳):遊びを通じた職業の模倣
    • 試行期(Tentative stage, 11~17歳):興味・能力・価値観に基づく暫定的な選択
    • 現実期(Realistic stage, 18歳~):現実的な職業選択と計画の確立

選択肢2:不適切

一貫性・分化・同一性・一致度・凝集性は、アメリカの心理学者ジョン・L・ホランド(John L. Holland)が提唱した職業選択理論(ホランド理論/RIASECモデル)において導入された「二次的仮定(secondary assumptions)」です。

選択肢3:不適切

スーパーの「維持段階(maintenance stage, 45~64歳)」の課題は、地位や利益の保持で、「解放(衰退)段階(decline stage, 65歳~)」の課題は、引退準備や役割縮小です。

選択肢4:不適切

エドガー・H・シャインが提唱した「外的キャリア」は、組織内での客観的なキャリアのあり方を示し、「キャリア・コーン(組織の3次元モデル)」として以下の3つの次元で捉えられます。サビカスが提唱したものではありません。

  • 垂直方向(職位・職階)
    組織内での昇進や昇格など、役職や階層の上下移動を指します。例:係長→課長→部長。
  • 水平方向(職能・専門領域)
    異なる職能や部門間の異動など、専門領域の広がりやジョブローテーションによる移動を指します。例:営業部から人事部への異動。
  • 中心方向(中心性・部内者化)
    組織の中心に向かうキャリア形成で、特定部門や職種で長く経験を積み、その分野のエキスパートやキーパーソンになることです。組織内で重要な情報や役割にアクセスできる位置に近づくことを意味します。

問:28

正解:3

選択肢1:不適切

理論では資源を「4S」として整理していますが、③はSupport(支援) となります。Suggestion(示唆)は理論の構成要素ではありません。

  • Situation(状況)
    転機がどのような状況で起こったのか、原因や期間、ストレスの大きさ、自分にとっての意味などを整理する。
  • Self(自己)
    自分の価値観、興味、性格、強み・弱み、人生観などを振り返り、転機に対する自分の受け止め方を確認する。
  • Support(支援)
    家族、友人、同僚、上司など身近な人からのサポートや、経済的・心理的な援助が得られるかどうかを確認する。
  • Strategies(戦略)
    転機を乗り越えるための具体的な行動や方法、優先順位、ストレス発散方法などを考え、実行する。

選択肢2:不適切

シュロスバーグは転機を以下の3タイプに分類しています。

  • 予測可能(Anticipated:例:卒業)
  • 予測不可能(Unanticipated:例:突然の死別)
  • 非事象(Non-events:期待したが起こらなかった事象)

選択肢3:適切

シュロスバーグの転機理解の構造

シュロスバーグの理論では、転機を理解し乗り越えるためのプロセスは、主に以下のような段階的構造で整理されています。

  • 1. 転機へのアプローチ(転機の認識・評価)
    まず、どのような転機(イベント型・ノンイベント型)が生じているのかを認識し、その転機が自分にどんな影響を与えるのか、どのような変化をもたらすのかを評価します。
    ここでは、転機の深刻さ、タイミング、コントロールの有無、持続性などの視点で転機を分析します。
  • 2. 対処のための資源の活用(4Sの点検)
    次に、転機を乗り越えるために自分が持っているリソース(資源)を点検します。これが「4Sモデル」です。
    これらの資源を客観的に把握し、どのような支援や強みが活用できるかを確認します。
  • 3. 転機への対処(行動計画と実行)
    最後に、点検したリソースをもとに実際の対処行動を選択し、行動計画を立てて実行します。

必要に応じて、家族・友人・専門家・公的機関などの支援システムを活用しながら、転機を乗り越えるための具体的な戦略を実践します

選択肢4:不適切

  • 個人の出来事としての転機の捉え方
    シュロスバーグは、転機(トランジション)を「それぞれの個人における出来事」として捉えることに特色があります。これは発達段階の移行期とは異なり、「結婚や離婚、引っ越しや転職、病気といった、個人におけるその人独自の出来事」として捉える視点です。

    シュロスバーグ自身が強調しているのは、「この転機や変化は、決して予測できるものでも、人生途上で誰もが共通して遭遇する出来事でもない。人それぞれがその人独自の転機を経験している」ということです。
  • 出来事自体への明確な焦点
    シュロスバーグの理論では、転機を以下のように分類し、出来事そのものに注目しています。

    イベント型
    予期していた転機(就職、結婚など)・予期していなかった転機(病気、リストラなど)

    ノンイベント型
    期待していた出来事が起こらなかった転機(昇進できない、結婚できないなど)

これらの分類は、具体的な人生上の出来事(life event)に焦点を当てたものです。

問:29

正解:1

選択肢1:適切

ブリッジズのトランジション理論では、「何かが終わる」ことから始まり、「中立圏(ニュートラルゾーン)」を経て「新しい始まり」に至ります。

新しいやり方にすぐ適応できるわけではなく、しばらくは混乱や空虚感、迷いの時期(中立圏)を経験します。

トランジション初めのころは、「新しいやり方にすぐに適応できず、過去への未練や迷いが生じる」としています。

選択肢2:不適切

ブリッジズは「新しいものを得るためには、まず古いものを手放す必要がある」と強調しています。

古いものを手放さずに新しいものを受け入れることは、トランジション理論の考え方に反します。

選択肢3:不適切

ブリッジズは「終わり」を受け入れることの重要性と、そのスタイルを理解することの大切さを説いています。「無益」とはしていません。

選択肢4:不適切

ブリッジズ理論では、「始まり」ではなく「終わり」からトランジションが始まります。

問:30

正解:4

選択肢1:適切

これらの疾病の有病率は年齢が上がるほど高くなる状況にあり、高齢化の進行に伴い、今後は職場においても労働力の高齢化が進むことが見込まれる中で、事業場において疾病を抱えた労働者の治療と仕事の両立への対応が必要となる場面はさらに増えることが予想される。

001225327.pdf 「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(厚生労働省、2024年3月)P5参照

選択肢2:適切

疾病や障害を抱える労働者の中には、仕事上の理由で適切な治療を受けることができない場合や、疾病に対する労働者自身の不十分な理解や、職場の理解・支援体制不足により、離職に至ってしまう場合もみられる。

001225327.pdf 「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(厚生労働省、2024年3月)P5参照

選択肢3:適切

治療と仕事の両立支援を行うに当たっての留意事項

(3)労働者本人の申出

治療と仕事の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となること。なお、本人からの申出が円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要であること。

001225327.pdf 「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(厚生労働省、2024年3月)P7参照

選択肢4:不適切

治療と仕事の両立支援を行うに当たっての留意事項

(5)個別事例の特性に応じた配慮

症状や治療方法などは個人ごとに大きく異なるため、個人ごとに取るべき対応やその時期等は異なるものであり、個別事例の特性に応じた配慮が必要である。

001225327.pdf 「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(厚生労働省、2024年3月)P7参照記

2級技能士 第34回 問1〜50解説リンク集

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