この記事について
労働条件の明示義務と就業規則の絶対的必要記載事項について、混同しやすく、わかりづらかったのでまとめました。
共通点
両者とも以下の主要な項目を含んでいます。
- 労働時間に関する事項(始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇)
- 賃金に関する事項(賃金の決定、計算方法、支払方法、締切日・支払日、昇給)
- 退職に関する事項(退職事由、解雇事由を含む)
相違点
- 適用範囲:
- 労働条件の明示義務: すべての労働者(正社員、アルバイト、パートタイムなど)に適用
- 就業規則: 常時10人以上の労働者を使用する事業場に作成義務がある
- 明示・記載項目の違い:
- 労働条件の明示義務: 就業場所や従事する業務の内容を含む
- 就業規則: 労働者を2組以上に分けて交替で就業させる場合の就業時転換に関する事項を含む
- 法的根拠:
- 労働条件の明示義務: 労働基準法第15条に基づく
- 就業規則の絶対的必要記載事項: 労働基準法第89条に基づく
- 明示・記載方法:
- 労働条件の明示義務: 書面の交付または電子的方法による明示が必要
- 就業規則: 文書化して労働基準監督署に届け出る必要がある
したがって、労働条件の明示義務と就業規則の絶対的必要記載事項は、多くの共通点を持ちながらも、その適用範囲や具体的な項目、法的根拠において若干の違いがあります。