この記事について
事業場外労働みなし労働時間制と裁量労働制の問題を解いていて紛らわしいと思ったので整理しました。
第2回国家試験に出題されています。
事業場外労働みなし労働時間制と裁量労働制
事業場外労働みなし労働時間制と裁量労働制は、どちらも「みなし労働時間制」の一種ですが、適用条件や目的が異なります。以下にその違いを示します。
項目 | 事業場外労働みなし労働時間制 | 裁量労働制 |
---|---|---|
適用対象 | 社外で業務を行い、労働時間の算定が困難な場合(例:営業職、出張業務) | 特定の専門性や企画業務を担う場合(例:研究者、デザイナー、企画職) |
制度の目的 | 労働時間管理が困難な業務において、一定の所定労働時間を「みなす」 | 労働者の裁量を尊重し、成果に基づいて評価する |
労働時間の把握 | 会社側が労働時間を把握できない場合に適用。ただし、上司が同行するなどで管理可能な場合は適用不可 | 実際の勤務時間ではなく、あらかじめ設定した「みなし労働時間」を基準とする |
成果との関係 | 実際の成果ではなく、所定労働時間を基準とする | 成果や業務の結果に基づいて評価されることが多い |
具体例 | 外回り営業職、建設現場監督者、取材記者など | 研究開発職、広告デザイナー、経営企画担当者など |
注意点・要件 | 労使協定が必要であり、法定労働時間(1日8時間)を超える場合は届け出が必要 | 適用には対象業務や手続きについて細かい規定がある(専門業務型と企画業務型の2種類) |
主な違い
- 適用条件: 事業場外みなし労働は「社外勤務」で算定困難な場合に限定される一方、裁量労働制は特定の専門性や企画性が求められる業務に適用されます。
- 評価基準: 事業場外みなし労働は所定労働時間を基準としますが、裁量労働制は成果や結果を重視します。
- 制度設計の目的: 前者は勤怠管理困難時の対応策として設けられた制度であり、後者は柔軟な働き方を促進するための仕組みです。
時間外手当や深夜割増手当について
事業場外労働みなし労働時間制と裁量労働制のいずれも、特定の条件下で時間外手当や深夜割増手当が支給されることがあります。以下に詳しく説明します。
事業場外労働みなし労働時間制

- 時間外手当
- みなし労働時間が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える場合、超過分に対して時間外割増賃金が支払われます。
- ただし、みなし労働時間が所定労働時間内であれば、追加の残業代は発生しません。
- 深夜割増手当
- 深夜(22時~翌5時)の労働については、みなし労働時間制が適用されていても、実際に深夜勤務を行った場合には割増賃金(25%以上)が支払われます。
裁量労働制

- 時間外手当
- 原則として、裁量労働制ではみなし労働時間を基準とするため、通常の残業代は発生しません。ただし、みなし労働時間が法定労働時間を超える場合、その超過分に対して割増賃金が支払われることがあります。
- 深夜割増手当
- 深夜勤務(22時~翌5時)を行った場合には、裁量労働制であっても深夜割増賃金(25%以上)が支給されます。
- 休日割増手当
- 法定休日に勤務した場合には、裁量労働制でも休日割増賃金(35%以上)が支払われます。
共通点
- 両制度とも、深夜勤務や法定休日の勤務に対しては割増賃金の支払い義務があります。
- 時間外手当は、法定労働時間を超える部分についてのみ適用される場合があります。
これらの制度は、それぞれ適用条件や運用方法が異なるため、企業側は正確な運用と管理が必要です。
まとめ
国家試験の第2回に出題されていた問題で、自分で整理ができていなかったので整理するために、まとめてみました。
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