「大学等における学生のキャリア形成支援活動の実施状況」(令和5年度)を数字で押さえる
文部科学省が隔年で実施している「大学・短期大学・高等専門学校における学生のキャリア形成支援活動の実施状況について」。
以前の記事(問28解説)でも一部のデータを扱いましたが、今回は原典となるこの調査結果そのものを、試験対策の視点で丁寧に整理します。
令和5年度大学・短期大学・高等専門学校における学生のキャリア形成支援活動の実施状況について
Contents
調査の基本情報
- 調査目的
大学等における学生のキャリア形成支援活動(教育活動の一環として、単位認定を行う授業科目として実施されるもの)の実施状況を把握し、施策の企画立案の基礎資料とすること - 対象時期
令和5年度(2023年4月〜2024年3月) - 調査対象
大学810校(学部783校・大学院661校)、短期大学303校、高等専門学校58校 - 回答率
98.1%(有効回答1,149校)
まず押さえる:キャリア形成支援活動の「4類型」
この調査は、令和4年に「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が整理した4類型のうち、就業体験を伴うタイプ2・3・4を対象としています(特定の資格取得に関わる教育実習・看護実習・臨床実習等は含みません)。
- タイプ2:キャリア教育(就業体験を伴うもの)
- タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ
- タイプ4:高度専門型インターンシップ(大学院生が対象のため、短大・高専には該当なし)
なお、令和3年度までは「インターンシップ実施状況調査」という名称で、定義も異なっていたため、単純な経年比較には注意が必要という点も、この調査の性質として押さえておきましょう。
① 単位認定を行う活動の全体像
単位認定を行うキャリア形成支援活動を実施している大学(学部・大学院)は520校(64.2%)。前回調査(489校、60.9%)からわずかに増加しています。
参加学生数は60,282人(参加率2.0%)で、こちらも前回(50,899人、1.7%)から増加しています。
単位認定されるキャリア形成支援活動の参加学生の割合が2%と思ったより低いことに驚きです。
② 国公私立別:国立大学が突出
実施率・参加率とも、国立大学が最も高いという結果が明確に出ています。
| 設置形態 | 実施率 | 参加率 |
|---|---|---|
| 国立 | 89.5% | 2.8% |
| 公立 | 57.8% | 2.1%程度 |
| 私立 | 61.7%程度 | 1.8% |
問28解説でも扱った通り、「単位認定を伴う実施率」に関しては、国立大学が私立大学を大きく上回る点は、繰り返し狙われるポイントです。
③ 類型別(タイプ2・3・4)の実施状況:参加学生数はタイプ2が優勢
大学(学部・大学院)における類型別の参加学生数は、次の通りです。
| 類型 | 参加学生数 | 割合 |
|---|---|---|
| タイプ2(キャリア教育) | 37,600人 | 62.4% |
| タイプ3(汎用的能力・専門活用型インターンシップ) | 22,629人 | 37.5% |
| タイプ4(高度専門型インターンシップ) | 53人 | 0.1% |
タイプ2がタイプ3を大きく上回るという関係は、大学・短期大学に共通する傾向です。
一方、高等専門学校では、タイプ3(専門活用型インターンシップ)が7割を超えるなど、学校種によって主流となる類型が異なる点にも注意が必要です(高専は実践的な技術教育の性格上、より専門色の強いタイプ3が中心になります)。
④ 実施形式:「実地のみ」が中心
参加学生数を実施形式別に見ると、大学(学部・大学院)では「実地のみ」が75.6%と圧倒的多数を占め、「オンラインのみ」はわずか0.6%、「実地とオンラインの併用」が23.8%です。
コロナ禍を経てオンライン活用も選択肢に加わりましたが、キャリア形成支援活動の主流は、依然として対面・実地での実施であることが、この数字からも裏付けられます。
⑤ 実施学年:各学校種で「中間〜後半の学年」が中心
参加学生数が多い学年は、次の通りです。
- 大学(学部)
→3年が最多(学部の参加学生の約6割) - 大学院
→修士1年が最多 - 短期大学
→1年が最多(2年制のため、必然的に早い学年での実施が中心) - 高等専門学校
→4年が最多
学部では低学年次でのキャリア教育的な参加もみられますが、全体としては、卒業・修了を意識し始める学年での参加が中心という傾向が読み取れます。
⑥ 実施時期:夏休み(8月・9月)に集中
実施時期別の参加学生数は、各学校種とも8月・9月(夏期休暇期間中)に集中しています。
特に高等専門学校でこの傾向が顕著です。授業期間中に長期の実習を組み込みにくい事情もあり、長期休暇を活用した実施が主流になっていると考えられます。
⑦ 実施期間:「1週間〜2週間未満」が最多
実施期間別の参加学生数は、各学校種とも「1週間〜2週間未満」が最多です。
ただし、大学では2週間以上の参加者が3割を超える一方、短期大学では1週間未満の参加者が3割を超えるなど、学校種によって分布に幅があります。
「短大は特に短期間、大学はやや長期も一定数」という傾向を押さえておくとよいでしょう。
⑧ 単位数・必修選択・報酬の扱い
- 単位数
→各学校種とも2単位以下での実施が多数 - 必修・選択
→各学校種とも「選択」科目としての実施が多数(必修化はまだ限定的) - 報酬の支給
→大学・短期大学では、企業等からの報酬支給なしが多数派。
一方、高等専門学校では、報酬あり・なしが混在する形になっています。
(高専は専門性の高い実習的な性格が強く、報酬を伴うケースも一定数ある)
⑨ 海外での実施状況:高専が最も積極的
海外におけるキャリア形成支援活動の実施率を学校種別に見ると、次の通りです。
| 学校種 | 実施率 |
|---|---|
| 高等専門学校 | 39.7%(最も高い) |
| 大学(学部・大学院) | 19.4% |
| 短期大学 | 1.0% |
「大学が最も国際的で、高専は国内志向」というイメージを持っていると誤りやすいポイントです。
実際には高専が最も海外実施率が高いという、意外性のあるデータになっています。
⑩ 単位認定を行わない活動との合計
単位認定を行う活動に加え、単位認定を行わないが大学等が把握・関与している活動(357校、44.1%、参加学生21,572人)も合わせた全体の合計は、次の通りです。
- 実施校数:600校(74.1%)
- 参加学生数:81,854人(参加率2.8%)
「単位認定あり」だけでなく、「単位認定なしだが大学が把握している活動」も含めたトータルの実施率・参加率が問われる可能性もあるため、この合計値もあわせて押さえておくと安心です。
試験対策としてのまとめ方
この調査は、「一般的なイメージと実際のデータが逆になっているポイント」が繰り返し出題される分野です。以下の対比構造を軸に整理しておきましょう。
| 論点 | 直感的なイメージ | 実際のデータ |
|---|---|---|
| 参加学生数(タイプ2 vs 3) | 本格的なタイプ3の方が多そう | タイプ2の方が多い(62.4% vs 37.5%) |
| 単位認定実施率(国立 vs 私立) | 私立の方が実践的で高そう | 国立の方が高い(89.5% vs 私立57.8%) |
| 海外実施率(大学 vs 高専) | 大学の方が国際的で高そう | 高専の方が高い(39.7% vs 19.4%) |
| 実施形式(実地 vs オンライン) | オンラインも相応に多そう | 実地のみが圧倒的多数(75.6%) |
数字を丸暗記するのではなく、「なぜこのデータが直感と逆になるのか」という背景(学校種ごとの教育の性格、参加ハードルの違いなど)まで理解しておくと、より確実な得点につながります。
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