SGEは「ふれあい」と「自己発見」を目指すグループ体験

構成的グループ・エンカウンター(Structured Group Encounter:SGE)は、あらかじめ設定された課題をグループで体験し、そのときの感情や気づきを分かち合うグループ・アプローチです。

SGEの目的は、参加者同士の「ふれあい(リレーション)」と「自己発見」です。

ここでいうふれあいとは、表面的に仲良くすることではなく、自分の率直な気持ちに気づいて表現し、相手の気持ちも受け止める交流を指します。

自己発見とは、他者との関わりを通して、自分だけでは気づきにくかった自分の考え方や行動の特徴に気づくことです。

JILPT(労働政策研究・研修機構)の資料では、SGEを予防的カウンセリングとして人間関係を開発する技法と説明しています。

根拠:JILPT「構成的グループエンカウンター」

SGEの3つの原理

SGEを理解するときは、次の3つの原理を押さえると整理しやすくなります。

  1. 自分の本音に気づく
  2. 体験を構成する
  3. シェアリングを行う

「本音」とは、相手を傷つける言葉をそのままぶつけることではありません。自分の中にある感情や考えに気づき、それを自分のものとして率直に表現することです。

SGEでは、何も決めずに自由に話し合うのではなく、エクササイズ、人数、時間などの条件を設定します。そして、体験後のシェアリングを通して、同じ出来事でも感じ方や捉え方が人によって異なることを学びます。

「構成的」とは条件や場面を設定すること

SGEの「構成」とは、参加者の考え方や感情をリーダーが統制することではありません。目的に応じて、主に次のような条件を設定することです。

  • どのエクササイズを行うか
  • 何人のグループで行うか
  • どのくらいの時間で行うか
  • どのようなルールで参加するか

枠組みを設けるのは、参加者の緊張や抵抗を和らげ、心理的な負担から守りながら、メンバー同士の交流を促すためです。

決められた手順をこなすこと自体が目的ではありません。リーダーは、参加者の属性や心理状態、グループの動きに応じて、メンバーの利益を考えながらプログラムを柔軟に構成します。

安全に参加するための4つのルール

JILPTの資料では、SGEで設定する重要なルールとして次の4点を挙げています。

  • グループ内で知った個人的な内容を外部へ漏らさない
  • 相手を非難したり、批判・評価したりする発言をしない
  • 発言を強要せず、沈黙する自由を守る
  • エクササイズを強要せず、参加を見送る自由を守る

SGEは自己開示を伴うことがあるため、参加者が「話さない」「行わない」と選べることも大切です。安心して参加できる枠組みがあってこそ、率直な交流が生まれやすくなります。

SGEの基本的な進め方

インストラクション

インストラクションは、リーダーがエクササイズの目的、方法、時間、ルールなどを説明する段階です。

参加者が何をするのか理解し、納得して取り組めるように説明します。単に手順を伝えるだけでなく、参加上のルールや留意点を共有することも重要です。

エクササイズ

エクササイズは、参加者が実際に取り組む課題です。目的に応じて、自己紹介、二人組での対話、共同作業などが用いられます。

課題を上手にこなしたり、一つの正解を出したりすることが中心ではありません。体験によって生じた自分の感情、考え、行動に気づくことが大切です。

シェアリング

シェアリングは、エクササイズで感じたことや気づいたことを参加者同士で分かち合う段階です。

単なる感想発表ではありません。他者の体験を聴くことで、自分とは異なる見方に触れ、物事の捉え方を広げたり見直したりします。否定的な感情も含め、何を感じたかを率直に扱うことに意味があります。ただし、発言は強制しません。

リーダーは「進行役」だけではない

リーダーは、インストラクションを行い、時間どおりに進行するだけの人ではありません。参加者とグループの状態を観察し、必要に応じて働きかけます。

例えば、活動がねらいから大きく外れている場合や、参加者が心理的なダメージを受けそうな場合には、リーダーによる介入が必要です。エクササイズの変更や中止、参加者への個別のフォローなども選択肢になります。

また、リーダー自身が、率直に語ることや相手を尊重して聴くことのモデルを示す場合があります。ただし、リーダーの考えを正解として押しつけたり、リーダーの体験談が中心になったりしないよう注意が必要です。

感情や対立が表れた場合の考え方

SGEでは、喜びや親しさだけでなく、戸惑い、怒り、悲しみ、対立などが表れることもあります。否定的な反応が生じたという理由だけで、その体験を直ちに失敗と決めることはできません。

リーダーには、その場で何が起きているかを捉え、参加者とグループの安全を優先して対応することが求められます。「感情が表れたら必ず個別カウンセリングへ切り替える」「必ずグループ内で扱い続ける」といった一律の対応ではなく、本人の状態や希望、グループへの影響を踏まえて判断します。

なお、SGEの実施には、参加者としての体験とリーダーとしての学習が必要です。記事やエクササイズ集を読んだだけで、心理的負担の大きい活動を安易に実施しないようにします。

非構成的なエンカウンター・グループとの違い

SGEでは、リーダーが目的に沿ってエクササイズ、人数、時間、ルールなどの枠組みを設定します。

これに対し、非構成的なエンカウンター・グループでは、実践者が特定の課題や進行の枠組みをあらかじめ細かく用意せず、その場で生じる参加者同士の相互作用を重視します。

「構成的」はリーダーが参加者を一方的に指導するという意味ではなく、参加者が体験しやすい条件を整えるという意味です。

試験対策で押さえるポイント

国家資格キャリアコンサルタント試験では、次の対応を押さえておきましょう。

  • 目的:ふれあいと自己発見
  • 構成:エクササイズ、人数、時間、ルールなどの条件設定
  • エクササイズ:感情・思考・行動に気づくための体験課題
  • シェアリング:体験による感情や気づきを分かち合い、認知を広げる過程
  • リーダー:枠組みを提示し、グループの状態に応じて介入する人
  • 参加者:発言しない自由、エクササイズを行わない自由がある

「怒りや涙が表れたら、まず個室で個別カウンセリングを行う」のように、状況を考慮せず対応を一つに決めている説明には注意が必要です。

まとめ

SGEは、構成されたエクササイズとシェアリングを通して、参加者のふれあいと自己発見を促すグループ・アプローチです。

「構成的」とは、参加者の答えや感情を統制することではなく、目的に応じて課題、人数、時間、ルールなどを設定することです。リーダーは参加者の安全を守りながらグループの動きを捉え、必要に応じて柔軟に介入します。

関連する過去問

第32回国家資格キャリアコンサルタント試験の問37では、構成的グループ・エンカウンターの進め方が扱われました。正答と各選択肢の解説は、第32回 問36〜40 解答解説をご覧ください。

参考資料

労働政策研究・研修機構(JILPT)「第12章 構成的グループエンカウンター」

ハイパフォーマンススポーツセンター『アスリートのためのトータルコンディショニングガイドライン』第2章

図書文化『構成的グループエンカウンター事典』書籍情報