これまで教育訓練給付金や教育訓練休暇給付金を個別に見てきましたが、今回は雇用保険を通じた職業訓練支援の全体像を、国キャリ/第32回/問26を題材に横断的に整理します。

「誰が」「どんな立場のときに」使える制度なのかを軸にすると理解しやすくなります。

全体像:雇用保険の「外」と「内」で制度が分かれる

職業訓練を支える給付制度は、大きく分けると次の2つの立場で整理できます。

  • 雇用保険の被保険者ではない人(たとえば雇用保険に入れなかった離職者など)
    → 求職者支援制度
  • 雇用保険の基本手当を受給している人(失業給付を受けながら求職中の人)
    → 基本手当・訓練延長給付などの雇用保険の枠組み

この2つの制度は、対象者が異なるだけで、いずれも「訓練を受けながら生活を支える」という目的は共通しています。

① 職業訓練受講給付金(求職者支援制度)

雇用保険の被保険者でない求職者であっても、ハローワーク所長の指示等を受けて求職者支援訓練などの職業訓練を受ける場合、一定の収入・資産要件等を満たせば、次の給付金を受け取ることができます。

  • 職業訓練受講手当:月額10万円の生活支援給付金
  • 通所手当:訓練実施機関への通所にかかる交通費相当分

これは、雇用保険に加入していなかった(あるいは受給要件を満たせなかった)人でも、

「働く意思と能力があり、訓練の必要性をハローワーク所長が認めた場合」

には、生活を支えながら訓練を受けられるようにする、いわば雇用保険のセーフティネットからこぼれた人向けの、もう一段のセーフティネットです。

「雇用保険に入っていないと訓練中の生活支援は一切ない」というのは誤りである点を押さえておきましょう。

② 訓練延長給付(雇用保険の基本手当受給者向け)

雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)を受給している人が、ハローワーク所長の指示により公共職業訓練等を受講する場合、訓練期間中に基本手当の所定給付日数が終了しても、訓練が終了する日まで、引き続き基本手当が支給される制度があります。

これが訓練延長給付です。

通常、基本手当は所定給付日数(年齢・被保険者期間等に応じて定められた日数)を使い切ると支給が終了しますが、公共職業訓練を受けている最中に給付が切れて訓練を続けられなくなる、という事態を防ぐための仕組みです。

「訓練を受けている間は、給付日数の制限に関わらず支援が続く」という点が重要なポイントです。

③ 自己都合退職者の給付制限の解除

自己都合で退職した場合、基本手当の受給には通常給付制限期間(一定期間、基本手当が支給されない期間)が設けられます。

しかし、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を、自ら受けた場合には、この給付制限が解除され、基本手当を受給できるようになります。

これは、「自己都合退職者であっても、積極的に学び直し・訓練に取り組む姿勢があれば、給付制限というペナルティ的な期間を早期に解除する」という、教育訓練への取組みを後押しするインセンティブ設計になっています。

④ 教育訓練給付金の被保険者期間要件

問26で不適切とされた選択肢は、教育訓練給付金の支給対象を「雇用保険の被保険者であった期間が3年以上の在職者」に限定するという内容でした。

これまでの記事でも触れてきた通り、実際の要件は次の通りです。

給付金の種類初回受給時の被保険者期間要件
一般教育訓練給付金1年以上
特定一般教育訓練給付金1年以上
専門実践教育訓練給付金2年以上

「3年以上」という数字は、初回受給の要件としては誤りです(2回目以降の受給の場合の要件と混同しやすいポイントでもあるので、「初回か、2回目以降か」を意識して区別しましょう)。

2回目以降の要件

  • 前回の教育訓練給付金の受講開始日から、今回の受講開始日の前日までに、雇用保険の被保険者期間が通算3年以上あること
    (2回目以降は3年以上)
  • 前回の給付金受給から、今回の受講開始日前までに3年以上経過していること
    (「受給から3年」ではなく、実務上は「前回の受講開始日以降に3年の被保険者期間」を積む形)

また、対象は「在職者」に限定されるものでもなく、離職者(離職後1年以内等)も対象になる、という点は以前の記事(問14解説)でも取り上げた通りです。

4つの制度の整理表

制度対象者内容
職業訓練受講給付金雇用保険の被保険者でない求職者(要件あり)月10万円の生活支援給付金+通所手当
訓練延長給付基本手当受給資格者(公共職業訓練受講中)所定給付日数終了後も訓練終了まで基本手当継続
給付制限の解除自己都合退職者(給付制限期間中)自ら教育訓練を受けると給付制限解除
教育訓練給付金被保険者期間1年以上(専門実践は2年以上)受講費用の一部給付(在職者・離職者とも対象)

キャリアコンサルティングにおける意味合い

離職や転職を考えるクライエントに対して、「雇用保険に入っていたかどうか」「基本手当を受給中かどうか」「自己都合退職かどうか」という、その人の状況によって使える制度が異なることを、正確に整理して伝えられるかどうかが、実務上の情報提供の質を左右します。

「雇用保険に入っていないから訓練中の支援は受けられない」と決めつけず、求職者支援制度という選択肢があることも含めて、幅広く情報提供できる知識を持っておきたいところです。

予想問題50問を作成しました

2級キャリアコンサルティング技能検定を軸に、過去問の出題傾向を分析したオリジナル予想問題50問を作成しました。

国家資格キャリアコンサルタント試験とも出題範囲が重なる部分が多いため、国家試験の学科対策にも活用できます。

過去問を一通り解き終え、初見問題で実力を確認したい方はぜひご活用ください。

【予想問題50問】キャリアコンサルタント国家試験・2級技能士 共通模擬試験|試験前の総仕上げ 予想問題集を作成しました。 2級キャリアコンサルティング技能検定の学科対策として、オリジナルの予想問題50問を作成しました。 ...