この記事について

第33回学科試験の問6〜10を解説します。初めて学ぶ方にも分かるよう、用語の意味、似た概念との違い、四つの選択肢を判断する理由を順に整理します。

問題文・選択肢は公式問題PDFでご確認ください。正答番号は公式正答PDFと照合しています。解説は公式解説ではなく、各問に示した資料に基づく学習用の記事です。

確認日:2026年11月6日。法令問題は問題冊子の基準日(2026年4月1日)を踏まえ、資料指定のある問題は指定された版・調査年度で説明しています。具体例は理解のために作成したものです。

ページ表記は原則として資料本文の印字番号です。印字番号のない資料は「PDF P」で先頭からのページ数を示します。ページ数は、各解説の判断に用いた参照箇所を示しています。

問題正解テーマ
問61サビカスのキャリア構築理論
問74多文化キャリアカウンセリング
問83シャインのキャリア・アンカーと職務・役割
問91ハーズバーグの動機づけ・衛生理論
問102バンデューラの自己効力感と4つの情報源

問6

正解:1

テーマ:サビカスのキャリア構築理論

根拠:JILPT「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」(Ⅰ-14〜16、本文52〜60頁)

まず押さえること

キャリア構築理論では、経験の意味は初めから一つに決まっているとは考えません。本人が経験を語り、他者と対話し、意味をつなぎ直しながら、これからのキャリアを構築すると捉えます。

例えば、異動を「専門を失った経験」とだけ捉えていた人が、振り返る中で「異なる部門の間をつなぐ役割を果たしてきた」と気づくことがあります。出来事を消したり、都合よく作り替えたりするのではなく、経験の意味を検討するということです。

主要概念は、職業的パーソナリティ、キャリア・アダプタビリティ、ライフテーマです。アダプタビリティは、職業上の課題や移行に対処する準備や資源を表します。

選択肢1:不適切

自己が完成した形で先に存在し、言葉がそれを表現するだけだとする点が不適切です。社会構成主義の立場では、言葉や他者との関わりを通じて自己の理解や物語が構成されることを重視します。「ライフデザイン」という語だけで正しいと判断しないようにしましょう。(P58〜60)

選択肢2:適切

自分や環境についての解釈が変われば、何を自分に合う仕事と考えるかも変わり得ます。人と環境の適合を、固定的な対応表だけでは捉えないという説明です。(P52〜53)

選択肢3:適切

アダプタビリティは、職業選択、職業上の移行、仕事に伴う困難などに対処する準備や資源です。代表的な4次元は関心・統制・好奇心・自信です。単なる忍耐力や会社への従順さを意味しません。(P52〜53)

選択肢4:適切

キャリア構築インタビューでは、ロールモデル、好む雑誌等、お気に入りの物語、モットー、幼い頃の記憶という5つの話題が用いられます。回答から職業を機械的に指定する検査ではなく、本人のテーマや意味づけを対話で明らかにするためのものです。(P55〜56)

問7

正解:4

テーマ:多文化キャリアカウンセリング

根拠:JILPT「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」(Ⅰ-19、本文67〜69頁)

まず押さえること

「文化」は国籍や言語だけではありません。家庭で大切にされること、地域、世代、宗教、経済的な条件なども、働き方や仕事の選び方に影響します。

支援者自身にも、当たり前だと思っている価値観があります。例えば「成長のためなら転居できるはず」という見方は、家族の世話を担う人の事情を見落とすかもしれません。まず自分の見方の偏り、すなわちバイアスに気づくことが出発点です。

選択肢1:不適切

主流文化への適応を一方的な目標にしてはいけません。相談者の文化や希望を尊重し、どのように働きたいかを本人と考えます。社会参加に必要な知識の提供と、本人の価値観を主流に合わせさせることは異なります。(P67〜69)

選択肢2:不適切

ここで中心となるのは、カウンセラーが相談者の文化をどう見ているかを自覚することです。選択肢は、誰が誰の文化を見るのかを入れ替えています。ただし、実際の面談で相談者が支援者をどう受け止めているかを確かめることまで無意味だということではありません。(P69)

選択肢3:不適切

文化的影響を意識から排除すると、本人の困難や選択の背景を見落とします。「誰にでも同じ対応をする」ことが、いつも公平な支援になるわけではありません。文化を決めつけず、本人にとっての意味を確かめます。(P68〜69)

選択肢4:適切

自分の価値判断や思い込みを自覚することが基礎です。「自分は偏見を持たない人間だ」と決めつけるのではなく、面談の途中にも、自分の理解が相手の背景に合っているかを振り返ります。(P69)

問8

正解:3

テーマ:シャインのキャリア・アンカーと職務・役割

根拠:JILPT「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」(Ⅰ-20、本文70〜72頁。スーパーの発達段階は本文19〜20頁)

まず押さえること

キャリア・アンカーは、仕事経験を通じて明確になる「キャリアを選ぶときに、どうしても手放しにくい軸」です。自分ができること、やりたいこと、大切にすることに関する自己認識が土台になります。

組織から与えられる職務や役割と、自分が大切にしたい軸が合わないとき、単に我慢するか辞めるかの二択にする必要はありません。現在の役割を分析し、仕事の持ち方や今後の役割を検討する支援が考えられます。

選択肢1:不適切

成長・探索・確立・維持・解放という5段階は、スーパーのキャリア発達理論の整理です。シャインにもキャリア発達の議論はありますが、この5段階を提唱者と対応させるならスーパーです。(P19・71)

選択肢2:不適切

アンカーは組織文化への順応の仕方の類型ではありません。本人が職業生活の中で確かめてきた才能・能力、動機・欲求、価値観に関わる自己概念です。組織に合わせる姿勢の分類と混同しないでください。(P72)

選択肢3:適切

本人のアンカーと職務・役割が適合しない場合に、現状や将来の職務・役割を分析し、計画を検討する支援は適切です。例えば専門性を深めたい人なら、管理業務だけでなく専門業務を担う可能性を整理することが考えられます。これは学習用の例であり、必ず希望どおりの配置ができるという意味ではありません。(P72)

選択肢4:不適切

就業経験の少ない学生について、将来の職務遂行能力や配属先を確定する指標として扱うのは不適切です。アンカーは、仕事での成功・失敗や選択の経験を通じて明確になります。希望を整理することと、将来の能力を予測することは別です。(P72)

問9

正解:1

テーマ:ハーズバーグの動機づけ・衛生理論

まず押さえること

仕事への不満を減らすことと、仕事のやりがいを高めることには、異なる要因が関わる。これが動機づけ・衛生理論、別名「二要因理論」の要点です。

区分主に関係すること代表例
衛生要因不満足を防ぐ・減らす給与、会社の方針、管理、職場環境、人間関係
動機づけ要因満足や意欲を高める達成、承認、仕事そのもの、責任、成長、昇進

例えば「職場環境は改善したが、仕事が単調で成長を感じない」という状態はあり得ます。不満がなくなったからといって、積極的な満足が十分に生まれるとは限らないのです。

これは理論上の区分です。給与が本人にとって重要ではない、賃上げは不要という主張ではありません。

選択肢1:適切

満足と不満足を一本の物差しの両端とせず、それぞれに関わる要因を分ける説明なので適切です。「不満を減らす施策」と「やりがいを育む施策」を別々に考えると理解できます。

選択肢2:不適切

説明しているのは衛生要因です。動機づけ要因は、達成や成長などを通じて積極的な満足をもたらす側に分類されます。二つの名称が逆になっています。

選択肢3:不適切

達成・責任・成長は動機づけ要因です。自分の仕事で成果を出す、任される範囲が広がる、できることが増えるといった、仕事内容そのものに関わる要因です。

選択肢4:不適切

給与と会社の方針・管理は衛生要因に分類されます。条件の改善は大切ですが、それだけで仕事そのものへの満足が十分に高まると説明する理論ではありません。

問10

正解:2

テーマ:バンデューラの自己効力感と4つの情報源

根拠:JILPT「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」(Ⅰ-7、本文31〜33頁)

まず押さえること

自己効力感は、ある課題について「自分は必要な行動を実行できそうだ」と見通す感覚です。自分に価値があると感じる自尊感情や、その仕事をしたいという意欲とは区別します。

情報源意味学習用の例
遂行行動の達成自分で実行し、できたという経験模擬面接で伝えたいことを話せた
代理的経験他者の行動や達成を見て学ぶ似た立場の人の成功の過程を知る
言語的説得他者から具体的な励ましや評価を受けるできている点と次の課題を伝えてもらう
生理的・情動的状態緊張や体調などをどう受け止めるか落ち着いて取り組めた感覚を得る

「できる」と無条件に言い聞かせるより、達成可能な小さな課題を設定し、実際にできたことを確かめる支援が考えられます。

選択肢1:不適切

内発的動機は、活動自体が面白い、やりがいがあるために取り組む動機です。「やりたい」と「自分にできそう」は異なるため、4情報源の名称には含まれません。(P31〜32)

選択肢2:適切

自分で行動し、達成した経験です。支援では、結果だけでなく、何を工夫してできたのかを振り返ると、次の行動につながる具体的な自信を得やすくなります。(P31〜32)

選択肢3:不適切

自己決定性は、自分の意思で行動を選んでいるという側面に関係する概念です。自律性などを扱う自己決定理論との混同に注意します。自己効力感を高める4情報源の一つという名称ではありません。(P31〜32)

選択肢4:不適切

外発的動機は、報酬を得る、罰を避けるなど、活動の外にある結果によって行動する動機です。報酬の有無と、実行できるという見通しを区別しましょう。(P31〜32)

参考資料

国家試験 第33回 解説リンク集

https://shasha-blog.com/3-33-11-15

この記事が良いと思ったら
↓❤️クリックをお願いいます。ブログ運営の励みになります。

予想問題50問を作成しました

2級キャリアコンサルティング技能検定を軸に、過去問の出題傾向を分析したオリジナル予想問題50問を作成しました。

国家資格キャリアコンサルタント試験とも出題範囲が重なる部分が多いため、国家試験の学科対策にも活用できます。

過去問を一通り解き終え、初見問題で実力を確認したい方はぜひご活用ください。

2級キャリアコンサルティング技能検定の問題集|学科・理論特集・論述対策 2級キャリアコンサルティング技能検定の対策として、オリジナルの問題集を作成しています。 過去問を何周もしていると、問題を解いてい...