経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」とは?制度の目的と仕組みを徹底解説
キャリコン(キャリアコンサルタント)として働くうえで、あるいは試験対策として行政の最新施策を押さえる中で、経済産業省が推進する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」(通称:リスキリング補助金)という言葉を耳にする機会が増えています。
「具体的にどのような目的で創設された制度なの?」
「対象者や受けることができる支援内容(補助内容)は?」
本記事では、経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の目的、事業の仕組み、対象条件、受けられる支援プロセスについて、丁寧にわかりやすく解説します。
Contents
1. 「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の概要と目的
1-1. 制度の概要
「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、在職者が自らのキャリアについて民間事業者の専門家に相談し、必要なスキルの学び直し(リスキリング)を経て、転職・キャリアアップを果たすまでを一気通貫(一体的)で支援する国の事業です。
国(経済産業省)が民間の事業者(スクール運営会社や人材紹介会社など)を補助事業者として採択・助成し、その事業者が個人に対してサービスを提供する仕組みとなっています。
1-2. 制度創設の背景と目的
日本政府が掲げる「三位一体の労働市場改革(リスキリングによる能力向上支援・職務給の導入・成長分野への労働移動の円滑化)」の一環として創設されました。
従来の教育訓練制度や転職支援は「講座の受講のみ」「転職の仲介のみ」と分断されがちでした。そこで本事業では、「キャリア相談」から「リスキリング」「転職支援」までをセットで提供することで、在職者がスムーズにスキルアップし、成長分野への労働移動や持続的な賃上げ(キャリアアップ)を実現することを目的としています。
2. 一体的に提供される4つの支援プロセスと補助率
本事業では、採択された民間の事業者を通じて以下の4つのプロセスが一体的に提供されます。
【① キャリア相談】 ➔ 【② リスキル講座受講】 ➔ 【③ 転職支援】 ➔ 【④ フォローアップ】
① キャリア相談対応(費用:無料)
キャリアコンサルタント等の専門家に、これまでの経歴の棚卸し、今後のキャリアゴールの設定、必要なスキルの見極め、受講すべき講座の選択などを無料で相談できます。
② リスキリング講座の提供(受講費用の最大50%補助)
キャリア相談に基づき、IT・DX・データ分析・ビジネススキルなどの指定講座を受講します。講座を修了した段階で、受講費用の50%相当額(上限40万円)の補助が受けられます(自己負担額が軽減されます)。
③ 転職支援(費用:無料)
講座受講と並行して、または修了後に、事業者による求人情報の提供、応募書類の添削、面接対策などの転職サポートを受けられます。
④ フォローアップ(受講費用の追加20%補助)
本事業の支援を受けて転職し、転職先で1年間継続して就業していることが確認できた場合、追加で受講費用の20%相当額(上限16万円)が支給されます。
【補助額の合計】
講座修了(50%)+ 転職・1年継続勤務(20%)= 最大70%(上限合計56万円) の費用補助が受けられる仕組みです。
3. 対象者と利用条件
本事業を利用できる対象者は以下の条件を満たす方です。
- 在職中であること
- 企業等と雇用契約を結んでいる在職者が対象です。正社員だけでなく、契約社員・パート・アルバイト・派遣社員などの雇用形態も含まれます。
- 雇用主の変更を伴う転職を目指していること
- 企業間・産業間の労働移動を目的としているため、「現在の会社での昇進のみ」ではなく、他社への転職を視野に入れていることが前提となります。
対象外となるケース
- 現在、離職中・無職の方(雇用契約がない方)
- フリーランス・個人事業主の方
- 公務員の方
- 自社内での部署異動や昇格のみを目的としている方
※離職中の方やフリーランスの方には、厚生労働省の「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練給付金等)」など別の公的支援制度が用意されています。
4. 厚生労働省「教育訓練給付制度」との違い
労働者の学び直しを支援する施策として、厚生労働省(ハローワーク)が主管する「教育訓練給付制度」との違いを押さえておくことも重要です。
| 比較項目 | 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」 | 厚生労働省「教育訓練給付制度」 |
| 事業の主管 | 経済産業省 | 厚生労働省(ハローワーク) |
| 主な対象者 | 在職者のみ(転職を目指す雇用労働者) | 在職者および離職者(一定の雇用保険加入期間が必要) |
| 支援の形態 | キャリア相談・講座・転職支援がパッケージ(一体)化 | 原則として教育訓練講座の受講費用に対する給付 |
| 申請窓口 | 採択された民間の補助事業者(スクール等) | ハローワーク |
経済産業省の事業は、「民間の講座提供事業者や転職エージェントの強みを活かし、相談からスキル習得・転職までを伴走支援する」点に大きな特徴があります。
5. まとめ
経済産業省が推進する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の重要ポイントをまとめます。
- 目的:構造的賃上げと成長分野への労働移動を目的とし、在職者のキャリア相談・リスキリング・転職を一括で支援する。
- 補助内容:講座修了で受講料の50%(上限40万円)、転職・1年継続勤務でさらに20%(上限16万円)、合計最大70%(最大56万円)が補助される。
- 対象者:転職を目指す在職者(雇用形態問わず)が対象(無職・フリーランス・公務員等は対象外)。
労働市場の流動化やリスキリングの重要性が叫ばれる中、在職者の主体的なキャリア選択とキャリアアップを後押しする最新の国の制度として、基本知識を押さえておきましょう。



