過去問関係

第34回 キャリアコンサルティング技能検定2級 学科試験 解答(問1〜5)

この記事について

「第34回 キャリアコンサルティング技能検定2級 学科試験」(令和7年6月実施)の解答解説を作成しました。

過去問を解いた際に調べたこと内容を記入しています。

解答は自分で調べたので、間違いがあるかもしれません。
間違え等を見つけた場合は、お知らせください。

1記事5問ずつアップしています。

問:1

正解:2

選択肢1:不適切

転換労働者は雇用形態の変更に前向きな意識を持つ層が多く、実際に転換後のキャリア展望が開ける傾向が確認されています。

第2-(3)-24図 非正規雇用から正規雇用に転換した労働者の年収等の変化の(2)キャリア見通しが開けている労働者割合の変化

選択肢2:適切

第2-(3)-24図 非正規雇用から正規雇用に転換した労働者の年収等の変化の(2)キャリア見通しが開けている労働者割合の変化 

選択肢3:不適切

転換労働者は転換前から「キャリアの見通しが開けている割合」が継続労働者より6.8ポイント高い数値(転換労働者18.1% vs 継続労働者11.3%)を示しています。転換後はこの割合がさらに12.6ポイント上昇し、

選択肢4:不適切

問:2

正解:3

日本型の雇用慣行が徐々に変化するとともに、急速なデジタル化の進展や労働市場の不確実性の高まり、人生100年時代の到来によるA)職業人生の長期化等により、労働者に求められる能力 も変化していく。このため、労働者は、日々の業務を通じて(B)職業能力の向上を図るとともに、 (C)企業任せにするのではなく、若年期から自身の職業能力開発の必要性を(D)継続的に意識しながら 、時代のニーズに即したリスキリングやスキルアップを図っていく必要がある。これを支援するため、国や企業においては、(E)労働者がキャリアコンサルティング等を通じて定期的に自身の 能力開発の目標や身に付けるべき知識・能力・スキルを確認することができる機会を整備する ことが重要である。

問:3

正解:1

選択肢1:適切

パーソンズは1909年に『Choosing a Vocation』を出版し、職業選択やキャリアカウンセリングの基本モデル(いわゆる「特性-因子理論」)を提唱しました。彼は、個人の特性(能力・興味・パーソナリティ)と職業の要件をマッチングさせることが職業選択において重要であると述べています。

選択肢2:不適切

「職業的適合性を能力とパーソナリティに整理した」のはスーパーです。シャインは「キャリア・アンカー」の理論で有名です。シャインのキャリア・アンカーは、個人の才能・動機・価値観がキャリア選択を導くという理論です

選択肢3:不適切

ウィリアムソンはパーソンズの特性-因子理論を発展させた人物ですが、職業行動を差異心理学、発達心理学、力動心理学から包括的に捉えようとしたのは、スーパーやホランドなど他の理論家の特徴です。

選択肢4:不適切

「キャリア・アンカー」を提唱したのはシャインです。ローは主に「パーソナリティ理論」や「早期経験と職業選択」に関する理論を展開しました。

ローの理論は、アメリカの心理学者アン・ロー(Anne Roe)が提唱した、職業選択やキャリア発達に関する理論です。主に「早期決定論(Early Decision Theory)」と呼ばれ、精神分析を基盤にしながら、個人のパーソナリティ特性と職業選択の関係を説明しています。

幼児期の家庭環境や親の養育態度が人格の形成を規定し、それが将来の職業選択に影響すると考えます。

パーソナリティの個人差は、親の養育態度(情緒型・拒否型・受容型)によってもたらされるとし、家庭の雰囲気や親子関係が子どもの職業興味や志向性に大きく関わるとされます。

問:4

正解:1

選択肢1:適切

エリクソンの理論の中核は「アイデンティティ(自我同一性)」の概念です。特に青年期の危機「アイデンティティ vs 役割の混乱」で、個人が自己の価値観や役割を確立するプロセスを提唱しました。
この理論は生涯発達の枠組みで、アイデンティティ形成が青年期以降も継続的に再定義されることを強調しています。

選択肢2:不適切

エリクソンの理論では、心理社会的危機は「避けるべきもの」ではなく、各発達段階で必ず直面すべき課題です。危機を解決することで「基本的信頼」や「意志」などの心理的強さ(virtue)が獲得され、未解決の場合はその後の発達に悪影響が及ぶとされています。
例えば、青年期のアイデンティティ危機を解決できないと、役割混乱や将来の方向性の欠如につながります

選択肢3:不適切

4段階に分けたのはレビンソン。エリクソンは8段階に分けました。

  1. 信頼 vs 不信(乳児期)
  2. 自律性 vs 恥・疑惑(幼児期)
  3. 自主性 vs 罪悪感(幼児後期)
  4. 勤勉性 vs 劣等感(学童期)
  5. アイデンティティ vs 役割混乱(青年期)
  6. 親密性 vs 孤立(成人前期)
  7. 生殖性 vs 停滞(中年期)
  8. 自我統合 vs 絶望(老年期)

選択肢4:不適切

エリクソンのモデルは「漸成説(epigenetic principle)」に基づきますが、これは「成人をピークに衰退する」という意味ではありません。
漸成説とは、各段階が前段階の上に積み重なり、生涯を通じて新しい課題が出現することを指します。老年期(自我統合 vs 絶望)でも、人生の統合という肯定的発達が可能であり、衰退を前提としていません。

問:5

正解:3

選択肢1:適切

SCCT(社会認知的キャリア理論)は、学習経験自己効力感結果期待目標設定を相互に関連する要因としてキャリア行動を説明するモデルです。

  • 学習経験:過去の経験が自己効力感や結果期待を形成する。
  • 自己効力感:「自分はできる」という信念(例:個人的達成や代理学習で強化される)。
  • 結果期待:行動の成果予測(物理的・自己評価的・社会的成果)。
  • 目標設定:行動を導く個人の目的。

選択肢2:適切

SCCTはバンデューラの社会的認知理論を基盤とし、自己効力感をキャリア領域に応用しました。CDMSE尺度(キャリア意思決定自己効力感尺度)は、キャリア選択における自信を測定するツールです。
SCCTは理論的枠組みを提供し、CDMSEはその実証研究で活用されています。

選択肢3:不適切

キャリア構築インタビューは、マーク・サビカスが提唱したキャリア構築理論の手法です。これは個人のキャリアストーリーを語らせ、パーソナリティ・適応性・ライフテーマを明らかにするもので、SCCTとは無関係です。
SCCTでは、認知変数(自己効力感など)への介入(例:モデリングや目標設定)が中心であり、インタビュー手法は採用しません。

選択肢4:適切

SCCTは、バンデューラの三者相互作用(個人的要因・環境的要因・行動の相互影響) を理論的基盤としています。
レント、ブラウン、ハケットがこれをキャリア領域に拡張し、認知プロセスを追加しました。

2級技能士 第34回 問1〜50解説リンク集

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