人を助けるとはどういうことか 「プロセス・コンサルテーション10の原則」
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この記事について
エドガー・H・シャイン著「人を助けるとはどういうことか」の中で、キャリアコンサルタントとして重要だと思う部分をまとめました。
実技試験に臨む姿勢としてとても大事な考え方だと思います。
今回は、監訳者解説の中で触れられていた、プロセス・コンサルテーション10原則について、まとめます。
この「プロセス・コンサルテーション10原則」については、今回の読んだ「人を助けるとはどういうことか」では直接述べられていませんが、訳者解説の部分で参考として触れられ知ます。
出所:エドガー・H・シャイン=金井壽宏「洗脳から組織のセラピーまでーその心はヘルプフル」より
この原則も、7つの原則同様、キャリアコンサルタントという対人支援職として胸に留めて起きたい原則です。

シャインが示す「プロセス・コンサルテーションの10の原則」は、クライアントとの関係をどう築き、どんな姿勢で関わるかを指し示す、いわば“支援の心得10カ条”です。
これらの10原則は「自分の立場を意識しつつ、相手の当事者性と関係のプロセスを重視し、その中で役に立とうとする姿勢」を、支援者が常に意識するための指針といえます。
1.常に人の役に立とうと心がける
支援者は「相手の役に立ちたい」という気持ちを原点にし、自己利益や自己満足よりも、クライアントの利益を優先する姿勢を持ち続けること。
可能なら、あらゆる接触が、相手にとって役に立つと思われるように。
2.常に直面している現実から遊離しない
理論や先入観に捕らわれず、「今ここ」で起きている現実(関係性・対話・感情)に目を向け、その土地その場を重視する。
クライエントの中で生じている現実を理解しなければ、人の役に立つことなどできない。
クライエントの「今、ここ」をしっかりと理解すること。
3.自分の無知を実感する
「自分は分かっている」と思い込むのではなく、自分にはまだ理解していないことが多いことを自覚し、相手から学ぶ姿勢を持つ。
知っていることと、本当は知らないことを区別することを学ぶこと。
自分を置かれている状況から少しだけ離れて、それを客観的に見つめる視点(距離感・知恵)がないと、その現実の本質が見えてこない。
4.あらゆる行動は「介入」であることを自覚する
どんな言葉や行動も、相手や関係性に何らかの影響を与える「介入」であると意識し、それを前提に慎重かつ前向きに介入する。
自分の言動を見極め、結果としてクライエントのためになっているかを評価すること。
5.問題も解決も「当事者はクライアント」である
本当の当事者はクライアントであり、問題を抱え、解決を決めるのはあくまでクライアントであることを前提に、支援者は「答えを渡す」のではなく「一緒に考える」役割に徹する。
問題とその解決によって結果がどのようであるにせよ、それをしっかりと受け止めるのは、クライエントである。
6.流れに沿って進む
クラエントの文化に纏わる現実や個性にまつわる現実を当初は知ることはできない。
その集団や個人の文化やペースを無理に変えたり、押しつけるのではなく、現状の「流れ」を尊重しながら、少しずつ関係やプロセスを変えていく。
どの領域に関わることでクライエントがそれらの変革を起こす気になるかをゆっくりと突き止めなければならない。
7.タイミングを重視する
いつ何を言うか・するかが、効果を大きく左右するため、相手の心の準備や関係の状態を読みながら、適切なタイミングで介入をかける。
ある時点でうまくいった介入も、他の時点でうまくとは限らない。
8.対立・摩擦を建設的機会として使う
対立や対抗的な出来事は避けるものではなく、組織や関係の本質を知る機会であり、そこから学びや変化を生むチャンスだと捉える。
9.「すべてはデータ」であると考える。
誤謬はいつでも起こるし、誤謬は、学習の重要な源泉である。
うまくいかないことや間違い・誤謬は、失敗ではなく、その集団や関係の現実を教えてくれる「データ」であり、そこから学び、介入を調整する。
何があっても、保身的になったり、恥や罪を感じたりしてはいけない。
クライエントの現実についてどんなによく知っていても、誤謬を起こさないほど充分に知ることなどできない。
誤謬の1つずつが、何らかの反応を引き起こし、その結果、クライエントの現実をもっとよく学んでいくことができる。
10.どうしたらいいかわからくなったら、問題を共有する
自分が「どうすべきか分からない」「支援者の立場が曖昧になる」ときこそ、その葛藤や問題をクライアントと率直に共有し、「共に抱える問題」として扱うことで、関係性と信頼を強化する。



