第14次労働災害防止計画②:アウトプット指標とアウトカム指標を完全整理
前回は計画の背景と現状分析を取り上げました。
今回は、試験で最も頻出するアウトプット指標とアウトカム指標を、体系的に整理します。
数が多い分野なので、まず「2つの指標の違い」を正確に理解することが第一歩です。
Contents
アウトプット指標とアウトカム指標の違い
この2つの指標の違いは、試験で問われる大前提です。
- アウトプット指標
事業者の「取組」そのものの達成度を測る指標。
「〇〇に取り組む事業場の割合を△△%以上とする」という形式が中心 - アウトカム指標
アウトプット指標を達成した「結果」として期待される効果を測る指標。
「死傷年千人率の増加に歯止めをかける」「死傷者数を△△%減少させる」といった、実際の災害発生状況の改善を表す形式が中心
つまり、「取組(アウトプット)を進めることで、成果(アウトカム)が期待できる」という手段と目的の関係にあります。
アウトプット指標:重点事項ごとの一覧
(ア)作業行動に起因する労働災害防止対策(中高年齢の女性中心)
- 転倒災害対策(ハード・ソフト両面)に取り組む事業場の割合を2027年までに50%以上
- 卸売業・小売業及び医療・福祉の事業場における正社員以外の労働者への安全衛生教育の実施率を2027年までに80%以上
- 介護・看護作業におけるノーリフトケア導入事業場の割合を、2023年と比較して2027年までに増加
(イ)高年齢労働者の労働災害防止対策
- エイジフレンドリーガイドラインに基づく取組を実施する事業場の割合を2027年までに50%以上
(ウ)多様な働き方・外国人労働者等の労働災害防止対策
- 母国語対応等、外国人労働者に分かりやすい方法で労働災害防止教育を行う事業場の割合を2027年までに50%以上
(エ)業種別の労働災害防止対策
| 業種 | アウトプット指標 |
|---|---|
| 陸上貨物運送事業 | 荷役作業安全ガイドラインに基づく措置実施事業場の割合を2027年までに45%以上 |
| 建設業 | 墜落・転落防止のリスクアセスメントに取り組む事業場の割合を2027年までに85%以上 |
| 製造業 | 機械の「はさまれ・巻き込まれ」防止対策に取り組む事業場の割合を2027年までに60%以上 |
| 林業 | 伐木等作業の安全ガイドラインに基づく措置実施事業場の割合を2027年までに50%以上 |
(オ)労働者の健康確保対策 ― 試験で特に頻出
| 指標 | 目標値 | 達成年 |
|---|---|---|
| 年次有給休暇の取得率 | 70%以上 | 2025年 |
| 勤務間インターバル制度導入企業割合 | 15%以上 | 2025年 |
| メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合 | 80%以上 | 2027年 |
| 50人未満小規模事業場のストレスチェック実施割合 | 50%以上 | 2027年 |
| 必要な産業保健サービスを提供している事業場の割合 | 80%以上 | 2027年 |
「有休70%」「インターバル15%」は2025年、それ以外(メンタルヘルス80%、ストレスチェック50%、産業保健サービス80%)は2027年と、達成年が2種類に分かれている点に注意しましょう。以前の記事(問23・30解説)で扱った「メンタルヘルス対策80%以上」は、まさにこのアウトプット指標です。
(カ)化学物質等による健康障害防止対策
- ラベル表示・SDS交付を行っている事業場の割合をそれぞれ2025年までに80%以上
- リスクアセスメントを行っている事業場の割合を2025年までに80%以上、その結果に基づく必要な措置を実施している事業場の割合を2027年までに80%以上
- 熱中症防止のため暑さ指数を把握・活用する事業場の割合を、2023年と比較して2027年までに増加
アウトカム指標:期待される「結果」の一覧
アウトプット指標を達成した場合に期待される、災害発生状況の改善目標です。
作業行動起因(転倒等)
- 転倒の年齢層別死傷年千人率について、男女ともその増加に歯止め(2027年まで)
- 転倒による平均休業見込日数を40日以下(2027年まで)
- 社会福祉施設における腰痛の死傷年千人率を、2022年比で2027年までに減少
高年齢労働者
- 60歳代以上の死傷年千人率について、男女ともその増加に歯止め(2027年まで)
外国人労働者
- 外国人労働者の死傷年千人率を、2027年までに労働者全体の平均以下
業種別
| 業種 | アウトカム指標 |
|---|---|
| 陸上貨物運送事業 | 死傷者数を2022年比で2027年までに5%以上減少 |
| 建設業 | 死亡者数を2022年比で2027年までに15%以上減少 |
| 製造業 | 機械の「はさまれ・巻き込まれ」死傷者数を2022年比で2027年までに5%以上減少 |
| 林業 | 死亡者数を2022年比で2027年までに15%以上減少 |
建設業・林業は「死亡者数15%減」、陸上貨物運送・製造業は「死傷者数5%減」と、業種によって指標の種類(死亡 or 死傷)と削減率(15% or 5%)が異なる点が重要な判別ポイントです。
健康確保対策
- 週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週60時間以上の雇用者の割合を2025年までに5%以下
- 仕事や職業生活への強い不安・悩み・ストレスがある労働者の割合を2027年までに50%未満
化学物質等
- 化学物質の性状に関連する死傷災害(有害物等との接触・爆発・火災)を、第13次計画期間比で5%以上減少
- 熱中症による死亡者数の増加率を、第13次計画期間と比較して減少
全体総括:計画全体としての期待値
すべてのアウトプット指標が達成された場合、労働災害全体としては、次の結果が期待されるとされています。
- 死亡災害:2022年比で、2027年までに5%以上減少
- 死傷災害:2021年までの増加傾向に歯止めをかけ、2022年比で2027年までに減少に転ずる
試験対策:数字を整理する視点
指標の数がとても多いため、丸暗記ではなく、次の3つの軸で整理すると記憶に残りやすくなります。
- 達成年の軸:「2025年」(有休70%、インターバル15%、時短5%以下)は比較的早期の目標、それ以外の多くは「2027年」(計画終了年)
- 数値の軸:「50%」が非常に多い(転倒対策、エイジフレンドリー、外国人教育、伐木ガイドライン、ストレスチェック)一方、建設業リスクアセスメント(85%)や化学物質対策(80%)はより高い水準が求められている
- 指標の性質の軸:「〇割の事業場が取り組む」(アウトプット)と、「災害が〇%減る/歯止めがかかる」(アウトカム)という、手段と成果の対応関係を常にセットで押さえる
次回(第3回)では、これらの指標達成に向けた重点事項ごとの具体的な取組内容(業種別対策、メンタルヘルス対策、化学物質対策など)を詳しく見ていきます。
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