問4で方策を書くときは、

「何を、どう支援し、それが本人のどの理解・判断・行動に役立つか」

をつなげて考える。この方法で、目標に向かう支援を具体化していきます。

問2の記事では困り方の仕組みを捉え、問3の記事では本人が目指す状態を考えました。今回は、そこへ向かう働きかけを答案にする練習です。

「支援する」と書いた先を具体化する

「気持ちを傾聴する」「自己理解を深める」「上司への相談を促す」。こうした働きかけは、必要な支援の候補です。ただ、これだけでは、その相談者にどう関わるのかが十分に伝わりません。

例えば上司に相談するとしても、希望する業務を伝えるのか、勤務時間を調整するのかで内容は変わります。相談をためらう人には、事情を伝えられる準備も必要でしょう。

合格基準を超える力につなげるために、方策の数や道具の名前だけで満足せず、その支援が今回の困り方に応え、本人が次へ進む助けになるかまで確かめたいところです。

公式講評から、方策の評価を考える

第36回の公式問題では、問3の目標が15点、問4の具体的な方策が45点です。この記事は、この4問形式の問4を中心に扱います。旧形式の過去問を使う場合は、同じ問の中に目標と方策を書く構成かどうかを確認します。

2026年度前期の公式講評では、多角的な方策が見られる一方、具体的行動への接続や、ツールの使い方・生かし方の説明が十分でない答案への指摘があります。どの事例にも使える表現にとどまらず、個別の相談内容に即した関わりを書くことが課題になります。

これを踏まえ、学習では次の観点で答案を読み直します。

観点評価するときに確かめること
見立て・目標との対応判断や行動を難しくする中心的な問題に働きかけているか
関わりの具体性何を、どのように扱うかが文章から分かるか
気持ち・主体性への配慮ためらいや本人の意向を踏まえ、結論を押し付けていないか
環境・資源と実行可能性既存の情報や支援を使い、追加の確認・調整を具体化しているか
判断・行動への接続振り返りや情報確認の結果を、本人が何に使うかが読めるか

これは独自の学習用の評価観点です。公式の詳細な採点基準ではなく、項目を埋めた数で合否を判定するものでもありません。

方策を組み立てる4段階

1.目標ごとに、必要な働きかけを考える

問3を読み、「この状態に近づくために、今の本人にはどんな支援が必要か」と考えます。経験を仕事と結び付けることが目標なら、その経験をどう振り返り、仕事と照らすかまで考えます。

ここで相談先やツールを先に決めると、それを使う理由を後付けしやすくなります。まず見立てと目標から支援を選びます。問2の根拠が弱い場合は、そこへ戻る必要もあります。

2.本人が取り組める進め方にする

気持ちへの配慮は、冒頭に「傾聴し、信頼関係を築く」と書くだけでは表しきれません。何をためらい、何を大切にしている人なのかを、支援の選び方にも反映させます。

例えば、相談すると退職につながりそうで怖い人に、ただ「会社に相談する」と勧めても動きにくいでしょう。怖さを受け止め、本人が伝えたい希望と確認したいことを一緒に整理する支援が考えられます。

傾聴を終えてから方策へ移るという固定した段取りではなく、振り返りや提案の途中でも本人の受け止めを聴き、進め方を調整します。

3.一つの方策を「対象・関わり・目的」で点検する

設計メモでは、次の三つを確かめます。

  • 対象: どの経験・気持ち・条件を扱うか。誰との確認や調整が必要か。
  • 関わり: 振り返る、比較する、質問や伝え方を準備するなど、どう支援するか。
  • 目的: 本人の何の理解・判断・行動に役立てるか。

「自己理解を深める」なら、振り返る経験と、その結果を使う場面を具体化します。必要な道具があれば用いますが、名称だけでは働きかけの説明にはなりません。

これはメモの点検方法です。完成答案の全ての文に同じ三要素を繰り返す必要はなく、前後を通してつながりが読めるかを見ます。

4.結果を使うところまでつなぎ、優先順位を整える

振り返りや情報確認の結果を、本人の希望や生活条件に照らし、何を検討するかを書きます。そのうえで、今回必要な判断や次の行動へつなげます。

本人が既に調べた内容は土台にし、追加確認を絞ります。心理面と環境面に別の課題があれば両方を扱い、当面必要な支援を優先します。限られた欄では、似た支援を重ねるより、中心的な問題への関わりを残します。

全条件が分からない段階では、必要な確認や相談の準備が次の行動になることもあります。目標がそこまでなら、方策だけで最終決定を急がせません。

同じ架空事例で、方策を作ってみる

前回と同じ、総務を7年間担当し、研修担当への社内公募を迷う社員の事例です。説明用の独自の架空事例で、公式問題の再現ではありません。CLは相談者、CCはキャリアコンサルタントを表します。

CL1:新人に手続きを説明し、「分かりやすかった」と言われるとうれしいです。人が学ぶことを支える仕事に関わりたいです。

CL2:募集要項を読み、担当者にも聞きました。最初は先輩と組んで研修の準備をするそうです。

CL3:でも、研修を一から企画した経験はありません。向いていないのかもしれません。

CL4:相手に合わせて資料や話し方を工夫していますが、企画とは別物ですよね。応募書類を書き始めても、経験がないのに応募してよいのかと考えて進めません。

見立てと目標を確認する

企画未経験という事実を適性への不安に結び付け、書類の準備が止まっています。一方、説明を工夫した経験と、先輩と準備する条件はあります。それらを仕事内容と照らして検討する余地がある、という見立てです。

目標例(108字)

相手に合わせて説明を工夫した経験を研修の仕事に照らし、生かせる部分と新たに学ぶ課題を具体化する。先輩と準備する条件も踏まえ、人の学びを支える希望と実際の仕事を結び付け、応募の是非と次の行動を自分で選べることを目指す。

一つの方策を具体化する練習

「担当者への相談を促す」という方策を、次のメモで深めてみてください。

  • 今回、追加で確かめると判断に役立つ内容:______
  • 相談を進めるためのCCの支援:______
  • 得た内容を本人が検討する際の使い方:______

例えば、次のように具体化できます。

方策の一部分の例(84字)

研修準備で先輩と担う範囲など、判断に必要な追加確認を本人と絞る。担当者への質問と伝え方を準備し、分かった条件を経験や学びたいことに照らして応募を検討できるよう支援する。

相談先の名前に加え、確認内容、面談内での準備、結果の使い方が読めます。ただし、これは方策の一部分です。これだけで終えると、経験を生かせないと感じる本人への関わりが不足します。

方策全体の答案例(317字)

人の学びを支えたい思いと、企画未経験で応募する不安を受け止め、経験と仕事を照らして応募の是非を考える目標を共有する。相手に合わせて資料や話し方を変えた場面を振り返り、工夫と手応えを整理する。聞いている研修準備の仕事と比べ、生かせそうな点と新たに学ぶ点を一緒に考え、本人の受け止めも聴く。なお判断に必要なら、先輩と担う業務や未経験者への支援について担当者に尋ねられるよう、質問と伝え方を準備する。分かった条件を本人が望む関わり方や学ぶ負担と照らし、不安が残る点も検討して、応募するかを本人が選べるよう支援する。募集要項で期限と手順を確認し、応募する場合は経験と学びたいことを書類にまとめ、迷いが残る場合は追加確認や検討の日程を整理する。

唯一の正解ではなく、見立てと目標に対応させた学習用の例です。必要な支援を選んだ後、重複を減らして文章にしています。

この答案をどう評価するか

答案の記述評価できる理由
学びを支えたい思いと、未経験で応募する不安を受け止める希望とためらいの両方に沿って目標を共有している
資料や話し方を変えた場面を振り返り、仕事と比べる一般的な長所探しに終わらず、経験を仕事に結び付けにくい問題へ働きかけている
必要なら、先輩との分担や支援を追加確認する説明を受けた事実を使い、未経験でも担えるかの検討に必要な条件へ絞っている
希望や負担と比較し、書類作成や追加検討へつなぐ情報を集めたところで終えず、本人が選んだ方向に応じた行動を支えている

「経験があるから向いている」と励ますだけでは、適性の不安を十分に扱えません。この例は、実際に生かせる部分と学ぶ部分を一緒に考え、本人がどう受け止めるかも聴く構成です。未経験者への支援があるとは断定していません。

募集要項は既に読んでいるため、期限・手順の確認は未読を前提にした再提案ではなく、今後の段取りを考えるための確認です。事例にない締切日を加えることもしていません。

方策を評価するときに直したい表現

表現の例弱点と修正の方向
丁寧に傾聴し、信頼関係を築く何を受け止めるかが曖昧。今回の希望・不安と、その後の進め方を示す
ジョブカードで自己理解を深める道具名だけでは内容が見えない。扱う経験と、仕事の検討への使い方を具体化する
上司や家族への相談を促す相手を増やすだけでは弱い。相談内容と必要な準備、結果の使い方を示す
経験は十分あると伝え、自信をつけて応募させるCCが適性や結論を先に決めている。実際の仕事と経験を検討し、本人の判断を支える

これらの語句を禁止するという意味ではありません。既に書かれた具体的な内容も読み、どの部分を補えば本人への支援が伝わるかを評価します。

別の事例では、相談前の支援も変わる

例えば、親の介護と仕事の両立を考えたいが、職場に話すと退職につながりそうで怖い、と話す架空の相談者ならどうでしょうか。

勤務調整の相談先を示すだけでなく、その怖さを受け止め、続けたい仕事と当面必要な配慮、確認したい条件を整理し、伝え方を準備する支援が考えられます。家族の分担や外部の支援条件も、既知の内容と未確認事項を分けて検討します。

公式の試験範囲にも、意思決定・実行の支援や、環境への働きかけ、関係者との連携が含まれます。ただし、制度利用や家族・職場の協力を当然の前提にはできません。本人の希望と同意、実際に使える条件を踏まえて支援を選びます。

問4を15分で練習し、目標へ戻って点検する

部分練習では、3分で各目標への働きかけをメモし、8分で答案を書き、4分で次を確認します。本試験の推奨時間配分ではなく、設計と点検の練習です。

  • [ ] 問2の中心的な問題に働きかけ、問3の目標を支える内容がある。
  • [ ] 本人の気持ちと、既に考えた・調べた・行ったことを踏まえている。
  • [ ] 誰と何をどう扱い、何に役立てるかが、文章のつながりから読める。
  • [ ] 周囲への相談や情報提供が、本人の準備と意向に合っている。
  • [ ] 得た内容を比較・判断や次の行動に使い、結論を押し付けていない。

短くする際は、挨拶や「支援する」の反復、意味の重なる方策を先に整理します。事例に固有の確認内容や、結果の使い方まで削ると、抽象的な答案に戻ってしまいます。

答案例の字数は句読点・記号を含み、空白・改行を除いて計数しました。公式の字数制限を示すものではなく、原寸での手書きの収まり・所要時間は未検証です。

練習後は「何を追加すべきか」だけでなく、「なぜこの関わりが本人に必要なのか」を説明してみます。説明しにくい方策は、問2と問3に戻って、支援を選ぶ理由から見直します。

参考資料

確認日:2026年11月5日。本記事の手順・架空事例・答案例・評価観点は学習用の整理です。公式模範解答や詳細な採点基準、合格を保証する手順ではありません。面接の評価区分を論述の採点表として転用していません。

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