進路指導とキャリア教育の位置づけを整理する(国キャリ/第32回/問27・29詳細解説)
キャリアコンサルタント試験では、学校教育の現場におけるキャリア教育・進路指導の位置づけについても出題されます。
今回は、性質の異なる2つの資料
- 中央教育審議会の「働き方改革」答申
- 文部科学省の「高等学校学習指導要領」
を取り上げます。「誰の仕事か」という視点と「何を目指すか」という視点、2つの角度からの整理です。
Contents
前半:進路指導は「誰の仕事」か(問27)
出典:「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)」(中央教育審議会、2019年)
この答申は、教師の長時間労働が社会問題化する中で、
- 「学校・教師が担うべき業務」
- 「学校以外が担うべき業務」
- 「必ずしも教師が担う必要のない業務」
を整理し、教師の負担軽減を図ることを目的としたものです。
進路指導は「学校以外」の業務ではない
まず大前提として、進路指導は、学校(教師)が担うべき重要な業務の一つとして位置づけられています。
「外部機関に完全に委ねるべき業務」ではありません。
「進路指導=外部任せ」という誤解は、この分野で頻出のひっかけです。
ただし、「負担軽減が可能な業務」としての側面もある
進路指導が教師の業務であることを前提としつつも、答申では、模擬試験の実施・監督などの一部業務については、外部人材の活用や委託を進めるなど、負担軽減・効率化を図るべき業務として整理されています。
つまり、この答申が示しているのは、以下のような「進路指導」という大きな枠組みの中での、業務ごとのメリハリです。
- 進路指導そのもの(生徒への指導・助言等):基本的には教師が担うべき業務
- 模擬試験の実施・監督といった付随的な業務:外部連携や民間サービスの活用等により、負担軽減・効率化が可能な業務
「進路指導は完全に教師の手を離れる」でもなく、「進路指導のすべてが教師の専任業務であり続ける」でもなく、「本質的な指導は教師が担いつつ、周辺業務は効率化する」という、バランスの取れた整理がなされている点が、この答申の重要なポイントです。
後半:キャリア教育は何を目指すのか(問29)
出典:「高等学校学習指導要領」(文部科学省、平成30年告示)第1章総則
学習指導要領には、高等学校におけるキャリア教育の目的が、次のように明確に規定されています。
生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、「社会的・職業的自立」に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう(中略)キャリア教育の充実を図ること。
ここで押さえるべきは、「社会的・職業的自立」という、決まった語句のセットです。
- A = 社会(的)
- B = 職業(的)
「個人的自立」でも「組織的自立」でもなく、「社会的」と「職業的」という2つの言葉が対になっている点が、条文の正確な表現です。試験では、この2語のうち一方または両方を、似て非なる別の言葉(個人、組織など)に入れ替えた選択肢が頻出するため、セットで正確に暗記しておくことが得点に直結します。
なぜ「社会的」と「職業的」の2つなのか
学習指導要領がキャリア教育の目的を「職業的自立」だけでなく、「社会的自立」とあわせて掲げている点にも意味があります。
- 職業的自立
→働くこと、職業に就くことに向けた自立 - 社会的自立
→職業に限らず、社会の一員として主体的に生きていくための自立
つまり、学校におけるキャリア教育は、「将来の職業選択に直接役立つ知識・スキルの習得」だけを目指すものではなく、より広く「社会の中で自立的に生きていく力」を育むことも目的としている、という理解が背景にあります。
これは、キャリア教育を「就職指導」と同一視しない、という文部科学省の一貫したスタンスとも整合しています。
2つの資料から見える共通点
一見別々のテーマに見える問27・問29ですが、共通して読み取れるのは次のようなメッセージです。
- 進路指導・キャリア教育は、学校・教師が担うべき本質的な教育活動として位置づけられている(外部への丸投げではない)
- ただし、その中身は「職業選択のための情報提供」に留まらず、生徒の社会的・職業的な自立という、より広い成長を支えるものとして構想されている
キャリアコンサルタントが学校領域で活動する際も、この「教師が担う本質的な指導」と「社会的・職業的自立という広い目的」という2つの視点を理解しておくことで、学校側との連携や役割分担についての理解が深まります。
試験対策のまとめ
| 出典 | 論点 | 正確に覚えるべきポイント |
|---|---|---|
| 中教審「働き方改革」答申(2019年) | 進路指導は誰の仕事か | 教師の業務として位置づけ。ただし模擬試験等の付随業務は負担軽減の対象 |
| 高等学校学習指導要領(平成30年) | キャリア教育の目的 | 「社会的・職業的自立」という語句のセットを正確に覚える |
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