サビカスのナラティブ・カウンセリング <カウンセリングの開始>
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この記事について
サビカス キャリア・カウンセリング理論(<自己構成>によるライフデザインアプローチ)から引用し自分なりにまとめています。

ナラティブ・カウンセリング
サビカスのナラティブ・カウンセリングは、「語りを通してキャリアの意味を再構成し、次の行動につなげる」というアプローチをします。
このカウンセリングは演劇の3幕劇に似ていて、以下のような3部構成になっています。
第1幕 登場人物の紹介
第2幕 葛藤、真実の理解、新しい理解
第3幕 新しい理解による変化
今回のは、第1幕の登場人物の紹介の部分について深掘りしていきます。
第1幕 登場人物の紹介
キャリアストーリーを語ってもらう
まず、これまでの経験、印象的な出来事、転機、価値観などを自由に語ってもらい、クライエントの物語を集めます。
マイクロナラティブを拾う
個別の小さなエピソードを丁寧に見て、繰り返し出てくる関心、対人関係のパターン、困難への向き合い方を確認します。
カウンセリング関係の開始
カウンセリングの関係は、クライエントをカウンセリングへと駆り立てた欲求が生まれたときに始まる。
サビカス キャリア・カウンセリング理論 P62
この文は、カウンセリングの関係性が、クライエント(相談者)自身の中に変化や支援を求める内的な欲求が生まれた時点で、すでに始まっていることを意味します。
カウンセリングは外部のイベントとして始まるのではなく、クライエントの心の中で「何かを変えたい」「助けが必要だ」と感じる動機が芽生えた瞬間から、支援のプロセスが潜在的に動き出すのです。
欲求の役割
クライエントがカウンセリングを求めるのは、仕事や人間関係での不満、自己成長への渇望など、何らかの欲求不満が蓄積した結果です。
この欲求が「駆り立てる」力となり、行動(カウンセリングの予約など)を促します。
関係はカウンセラーとの初対面以前に、クライエントの内面的な葛藤からスタートする点が重要です。
カウンセリングへの含意
カウンセラーは、この欲求を尊重し、初回からクライエントの主体性を引き出す姿勢が求められます。
例えば、安心・所属・承認などの基本欲求が未充足だと、カウンセリング参加自体にためらいが生じます。
関係構築の第一歩は、クライエントのその欲求を「生まれたばかりのもの」として受け止めることです。
コミュニケーションの次元
コミュニケーションの次元とは、対話や情報交換の多層的な側面や深さを指し、主に言語的・非言語的要素や関係性のレベルを意味します。
クライエントとカウンセラーの関係構築における「表層的なやり取り」から「内面的・感情的な共有」までの広がりを示します。
カウンセリングは、クライエントへの質問を投げかけるキャリアストーリー・インタビューから始まり、その中でクライエントは、自らの人生の語りに耳を傾け、やがてそのストーリーの中に自分自身を見るようになる。
キャリアストーリー・インタビューの過程で語られたストーリーは、ライフ・テーマを明らかにするだけでなく、クライエントの自己構成タイプとキャリア・アダプタリティの範囲を明らかにする。
サビカス キャリア・カウンセリング理論 P66
キャリアストーリー・インタビューでは、クライエントの欲求が生まれた時点から関係次元が働き、単なる言葉のやり取りを超えてライフ・テーマや自己構成を探ります。
この次元を意識することで、カウンセラーはクライエントの内面的欲求に寄り添い、アダプタビリティを引き出せます。
ライフ・テーマとは
ライフ・テーマは、人生経験を通じて一貫する価値観や動機のパターンで、「なぜその選択をしたのか」という主観的な意味づけを表します。
例えば、過去の成功や挫折の話から「人を支えること」が繰り返し現れれば、それがテーマとして特定されます。
これにより、バラバラに見えるキャリアに統一感が生まれます。
自己構成タイプとは
自己構成タイプは、クライアントが自身のアイデンティティ(職業的パーソナリティや社会的役割)をどのように物語として構築するかを示す概念です。
ストーリーテリングを通じて、適性・関心・能力などの「What」(何をするか)が動的で主観的なものとして整理され、未来のキャリア像が描かれます。
キャリア・アダプタビリティの範囲とは
キャリア・アダプタビリティは、変化する環境への適応力で、関心・統制・好奇心・自信の4次元からなります。
インタビューで語られるストーリーの質から、この適応力の「範囲」(強さや柔軟性)が評価され、例えば自信の低さが明らかになれば支援対象となります。



