この記事について
実存療法でセットになって出てくることの多いロゴテラピーについて、詳しい解説などがなかったので調べてみました。
試験対策ならば、「実存療法」ー「フランクル」ー「ロゴテラピー」を覚えておけば良いと思いますが、実際にカウンセリングにあたる際には知って意おいた方が良い知識ですので余裕があれば見てください。
ロゴテラピーとは
ロゴテラピー(Logotherapy、意味中心療法)は、オーストリアの精神科医・心理学者ヴィクトール・フランクルによって創始された心理療法です。
ギリシャ語の「ロゴス(意味)」に由来し、「生きる意味」を見出すことを援助することで心の病を癒す実存主義的アプローチです。
理論的背景と特徴
人生の意味の追求
ロゴテラピーは、人間は本質的に「人生の意味」を求めて生きているという立場をとります。
人生の意味を見失ったとき、精神的な苦悩や神経症が生じると考えます。
三つの基本仮説
- 意志の自由:人間は状況に左右されつつも、最終的には自らの態度を選ぶ自由を持。
- 意味への意志:人間は快楽や権力よりも、「意味」を求める存在である。
- 人生の意味:人生には常に、個々人に固有の意味が存在する。
精神分析やアドラー心理学との違い
フロイトの「快楽への意志」、アドラーの「力への意志」に対し、フランクルは「意味への意志」を中心概念とします。
極限状況での意味の発見
フランクル自身のナチス強制収容所での体験をもとに、どんな苦境にあっても「生きる意味」は見出せると説きます。
技法と実践
- 逆説志向
クライエントが恐れている状況をあえて望む、または実行しようとすることで、不安や症状の悪循環を断ち切る方法です。ユーモアや自己距離化も活用します。 - 反省除去(脱反省)
本来無意識に行うべき活動を過剰に意識しすぎることで生じる神経症に対し、過度な自己観察や反省をやめ、行動に集中するよう促します。 - 意味の発見の支援
クライエントが自分の人生や状況の中で「意味」を見出すことを重視し、そのための対話や態度変容を促します。
適用と意義
- 死や苦悩、罪悪感などの極限状況
ロゴテラピーは、人生に絶望した人、自殺念慮や犯罪傾向を持つ人、終末期医療やホスピスケアなど、死や苦悩に直面する場面で特に有効とされます。 - 精神的次元の重視
人間を「身体」「心」「精神」の三次元で捉え、特に「精神的次元」を重視します。精神的空洞化(生きる意味の喪失)が現代の多くの問題の根底にあると考えます。 - 責任と倫理性
人間は自分の人生に対して責任を持ち、倫理的な選択をする存在であることを強調します。
まとめ
ロゴテラピーは、「どんな状況でも人生には意味がある」という信念に基づき、クライエントが自らの生きる意味を見出すことを支援する心理療法です。
苦しみや死、絶望といった極限状態においても、人生の意味を問い直し、主体的に生きる力を取り戻すことを目指します。
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