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第32回 キャリアコンサルティング技能検定 2級学科試験 回答解説を作成しました。
解答は出ていますが、解説がなかったので、自分で解答解説作成しています。
解答は自分で調べたので、間違いがあるかもしれません。
間違え等を見つけた場合は、お知らせください。
1記事5問ずつアップしていこうと思います。
問26
正解は1
選択肢1:正解
エリクソン(Erikson, E.H.)の心理社会的発達理論において、「世代性(Generativity)」は中年期の発達課題とされています。これは次世代を確立し、指導することへの関心や意欲を指します。具体的には、子育てや若い世代の指導、創造的な仕事などを通じて、社会に貢献し、次の世代を育成することを意味します。
選択肢2:不正解
岡本祐子が提唱したアイデンティティの再体制化のプロセスは、「危機→再体制化→再生」という順序です。
岡本祐子のアイデンティティ生涯発達論(プラス1点の知識)
選択肢3:不正解
レビンソン(Levinson, D.J.)の発達段階理論において、アイデンティティ達成は最終的な発達課題ではありません。レビンソンの理論は成人期の発達に焦点を当てており、各年代で異なる課題があるとしています。
アイデンティティ達成を提唱したのはマーシャ(Marcia, J.E.)です。マーシャはエリクソンが提唱したアイデンティティの概念を発展させ、青年期のアイデンティティ形成のプロセスを4つの状態(アイデンティティ・ステイタス)に分類しました。その中の一つがアイデンティティ達成であり、これは危機を経験し、自分の信念に基づいて積極的に関与している状態を指します
選択肢4:不正解
「人生半ばの過渡期」という概念はレビンソンの理論に関連するものであり、ユングは、人生を「朝」(青年期)と「午後」(中年期以降)に分け、その転換点を「正午」と呼びました。
ユングの「人生の正午」(プラス1点の知識)
問27
正解は3
シャイン(Schein, E.H.)の「キャリア・サイクルの段階と課題」における「基本訓練段階」は、新入社員が組織に入ってから最初の数ヶ月から1年程度の期間を指します。この段階では、新入社員が組織の一員として適応していくための重要な課題がいくつか存在します。
選択肢1、2、4は「基本訓練段階」の特定の課題として適切です。
選択肢1:適切
未経験ゆえの不安を克服し、自信を持つことは、新入社員にとって重要な課題です。
選択肢2:適切
組織の文化を理解し、仕事の「こつ」を早く習得することも、この段階での重要な課題です。
選択肢3:不適切
「家庭- 自己- 仕事へのそれぞれの関心を適切に調整する」は、「基本訓練段階」よりもむしろ、キャリアの中期や後期に直面する課題です。新入社員の段階では、まだ組織への適応が主な課題であり、家庭と仕事のバランスなどの調整は通常、この段階の主要な課題とはなりません。
選択肢4:適切
組織の一員としての正式な象徴(制服、バッジなど)を受け入れることも、組織への適応の一部です。
問28
正解は2
選択肢1:不適切
シュロスバーグの理論では、トランジションを予期されたもの、予期されないもの、非出来事(期待していたが起こらなかった出来事)の3つに分類しています。すべての転機や変化が予測可能というわけではありません。
選択肢2:適切
シュロスバーグの理論は、成人の発達を捉える視点として、文脈的(あるいは文化的)視点、発達的視点、ライフ・スパン視点、トランジション視点の4つを整理しています。
成人の発達を捉える4つの視点(プラス1点の知識)
選択肢3:不適切
シュロスバーグの理論では、トランジションを「関係性、日常生活、想定、役割の変化をもたらす出来事または非出来事」と定義しています。幼少期からの記憶の蓄積という解釈はユングの理論に近いです。
ユングの理論では、日常生活や考え方に影響を与える幼少期からの記憶の蓄積を重視し、自らの内面世界を主観的に把握することが重要とされています。これは、個人の無意識に蓄積された経験や記憶が、現在の自己や行動パターンに大きな影響を与えるという考えに基づいています。
選択肢4:不適切
シュロスバーグの理論は、トランジションへの対処を重視していますが、必ずしもすべての期待を実現させることを目標としているわけではありません。この選択肢は、クランボルツの考え方に近いです。
クランボルツは、人生における予期せぬ出来事や機会を積極的に活用し、それらを自身の成長や発展のチャンスとして捉えることを重視しています。クランボルツは、どんな転機でも、そのタイミングを見逃さず、積極的に挑戦することで、自分が望む結果を得られる可能性が高まると考えました。理論は、個人がトランジションにどのように対応し、適応するかに焦点を当てています。
問29
正解は2
選択肢1:不適切
ブリッジズのモデルでは、「始まり」(New Beginnings)は内的な心理的プロセスを指し、外的な変化とは区別されています。トランジションは内面的な心理的プロセスであり、変化(change)は外的な出来事を指します。
選択肢2:適切
ブリッジズのモデルでは、トランジションは「終わり」(Ending)から始まり、何かを手放すことが重要視されています。これは、新しい状況に適応する前に、古い状況や習慣を手放す必要があるという考えに基づいています。
選択肢3:不適切
トランジション・プロセスの順序が逆になっています。正しくは、「終わり」(Ending)から始まり、「ニュートラルゾーン」(Neutral Zone)を経て、「新しい始まり」(New Beginning)に至ります。
選択肢4:不適切
選択肢4:不適切「始まり」(New Beginning)の段階は必ずしも常に前向きなものとは限りません。トランジション・プロセスは個人によって異なり、時には後退や混乱を伴うこともあります。
問30
正解は3
選択肢1:不適切
障害者雇用数の算定は、雇用条件によって異なります。常用労働者は1人分、短時間労働者は0.5人分としてカウントされます。また、重度身体障害者・重度知的障害者は1人を2人分としてカウントします。
選択肢2:不適切
特例子会社を持つ親会社については、関係する子会社も含め、企業グループによる実雇用率算定が可能です。
選択肢3:適切
障害者雇用義務制度及び障害者雇用納付金制度の対象となる障害者の範囲は、身体障害者手帳、療育手帳または知的障害者判定書、精神障害者保健福祉手帳によって確認することとされています。
選択肢4:不適切
在宅就業障害者特例調整金は、自宅での就業に限定されていません。常用労働者数100人超で法定雇用率以上を達成している事業主が在宅就業障害者・在宅就業支援団体に仕事を発注し対価を支払った場合に支給されます。
プラス1点の知識
岡本祐子のアイデンティティ生涯発達論
岡本祐子のアイデンティティ生涯発達論によると、人生の重要な節目(青年期、中年期、定年退職期など)において、以下のようなプロセスが繰り返されます。
- 危機:従来の自分では対応できない状況に直面し、アイデンティティが揺らぐ段階。
- 再体制化:危機に対して主体的に取り組み、自己のあり方を再構築する段階。
- 再生:より高次のアイデンティティを獲得し、成長する段階。
このプロセスは「ラセン式発達モデル」と呼ばれ、人生の各段階で繰り返されることで、アイデンティティがより成熟し、深化していくとされています。
ユングの人生の正午
カール・グスタフ・ユングは、人生の中で40歳前後の時期を「人生の正午」と呼びました。ユングは人の一生を太陽の動きになぞらえ、4つの時期(少年、成人前期、中年、老人)に分けています。
人生の正午の特徴
- 40歳代の中年期を指す
- 人生の転換期であり、最大の危機とされる
- 自分自身や今後の生き方について深く考える時期
人生の前半と後半
ユングは「人生の正午」を境に、人生を前半と後半に分けました。
- 前半(午前):我を確立する時期
- 後半(午後):自己実現(個性化)を進める時期。
現代における解釈
現代では、平均寿命の延長により、「人生の正午」の時期が変化している可能性があります。
- 50歳前後を「人生の正午」とする見方もある
- 100歳まで生きられるとは限らないため、40歳を目安にする考えもある
「人生の正午」の概念は、中年期の心理的変化を理解する上で重要な指針となっており、ミッドライフクライシスの解釈にも影響を与えています。
成人の発達を捉える4つの視点
シュロスバーグは成人の発達を捉える視点は、成人の発達過程を理解し、キャリアカウンセリングを行う上で重要な枠組みを提供しています。
- コンテクスチュアル(文脈的)あるいはカルチュアル(文化的)な視点
この視点では、個人を取り巻く環境が成人の発達の決定的要因であると考えます。
文化や社会的背景が個人の発達に与える影響を重視しています。 - ディベロップメンタル(発達的)な視点
年齢を基礎に置いた発達論的アプローチです。
この視点では、人生の各段階に共通した発達課題や移行期があることを前提としています。 - ライフ・スパンの視点
個人の多様性を強調し、人生全体を通じての発達を考慮します。
この視点では、発達が生涯にわたる連続的なプロセスであることを強調しています。 - トランジション(転機)の視点
シュロスバーグが特に注目した視点で、人生における様々な転機とその対処に焦点を当てます。
この視点では、個人が経験する転機(予測していた転機、予測していなかった転機、期待していたものが起こらなかった転機)とその対処方法が重要視されます。
シュロスバーグは、これら4つの視点が相互に関連し合うものであり、完全に独立したものではないと述べています。カウンセリングを行う際には、これらの視点を総合的に考慮することで、クライアントの状況をより深く理解し、適切なアプローチを選択することができます。
2級技能士 第32回 問1〜50解説リンク集
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