理論

脚本分析(交流分析)とナラティブ・セラピーの比較

この記事について

バーンの提唱した交流分析の脚本分析という概念と、ナラティブ・セラピーには、新たな語りや、脚本を作り出すという部分に共通点があると思い、まとめてみました。

脚本分析とナラティブアプローチは、心理学や対人支援の分野で用いられる手法ですが、それぞれの目的やアプローチ方法には明確な違いがあります。

脚本分析の特徴

  1. 理論的背景
    脚本分析は交流分析(Transactional Analysis, TA)の一部であり、人が幼少期に形成した「人生脚本」に基づいて行動するという考え方に基づいています。
  2. 目的
    人生脚本に含まれる否定的な思考パターン(禁止令やドライバー)を特定し、それをポジティブな内容に書き換えることで、より良い生き方を目指します。
  3. アプローチ方法
  • 幼少期に受けた親からのメッセージや環境の影響を分析。
  • 無意識の行動パターンを明らかにし、それを修正する。
  1. 適用範囲
    主に個人の性格形成や行動パターンの改善に焦点を置きます。

ナラティブアプローチの特徴

  1. 理論的背景
    ナラティブアプローチは1990年代の臨床心理学から発展した手法で、社会構築主義に基づき、個人が語る「物語」を通じて問題解決を図ります。
  2. 目的
    支援される人が語る物語(ナラティブ)を通じて、問題を外在化し、新しい視点や解釈を生み出すことで、自己理解や問題解決を促進します。
  3. アプローチ方法
  • クライエントが語る物語に耳を傾け、その物語を新しいもの(オルタナティブストーリー)へと再構築。
  • 問題に名前をつけて外在化し、客観視する。
  • 対話的な関係性を重視し、支援者と被支援者の力関係をフラットに保つ[5]。
  1. 適用範囲
    医療、ソーシャルワーク、キャリアコンサルティングなど幅広い分野で活用されており、個人だけでなく社会的課題にも対応可能です[2][5].

比較表

項目脚本分析ナラティブアプローチ
理論的背景交流分析社会構築主義
対象幼少期形成の人生脚本語られる物語
目的否定的な人生脚本の修正問題の外在化と新しい解釈の構築
アプローチ方法禁止令・ドライバーを書き換える対話によるオルタナティブストーリー構築
適用範囲個人の性格・行動改善医療・福祉・社会課題

これらの違いから、脚本分析は個人内面の思考パターンに焦点を当てる一方で、ナラティブアプローチは対話や物語によって問題解決を目指す点が際立っています。

まとめ

自身の持っている認識を変えるというアプローチ方法には、論理療法や認知療法にも共通性があると感じました。

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