理論

ハヴィガーストの理論

ハヴィガーストとは

ロバート・J・ハヴィガースト(Robert J. Havighurst, 1900-1991)は、アメリカの教育学者・心理学者で、「発達課題(developmental tasks)」の概念を提唱した人物です。

彼は人間の生涯発達を6つの段階に分け、それぞれの時期に達成すべき課題があるとしました。

発達課題理論の概要

  • 発達課題とは、人生の各段階で直面するもので、それを達成すると幸福感を得やすくなり、次の段階の課題達成も容易になるとされます。
  • 逆に課題を克服できないと、次の発達段階の課題も困難となり、社会的承認も得にくくなると考えられています。
  • 発達課題は、身体的成熟や社会・文化的な倫理観、価値観の確立など、多様な側面から構成されます。

ハヴィガーストの6つの発達段階と主な課題

発達段階主な発達課題の例
乳幼児期歩行、食事、話すこと、排泄の学習、性の違いの理解、社会や物事についての概念形成、人間関係の学習、善悪の区別
児童期身体的技能の習得、友人関係の構築、性役割の学習、読み書き計算の基礎、道徳性・価値観の発達、自立性の確立
青年期同年代との関係構築、性役割の理解、情緒的・経済的独立、職業選択・準備、結婚・家庭生活の準備、市民としての自覚
壮年初期(成人初期)配偶者の選択、家庭生活の開始、子どもの養育、就職、市民的責任の負担
中年期(成人中期)社会的責任の達成、経済的安定、子どもの自立支援、余暇活動の充実、中年期の生理的変化への適応、親の介護
老年期健康や体力の衰えへの適応、引退と収入減への適応、配偶者の死への適応、死への準備、同世代との関係維持

理論の意義

  • 各発達段階での課題達成が、その後の人生の幸福感や社会的適応に大きく影響すると考えられています。
  • 教育や福祉、キャリア支援、看護など多様な分野で、個人の発達理解や支援の指針として活用されています。

他の発達理論との違い

ハヴィガーストは「課題」に焦点を当てており、例えばエリクソンの心理社会的発達理論やピアジェの認知発達理論と並んで、発達段階を理解する際の重要な理論の一つです。

まとめ

ハヴィガーストの発達課題理論は、「人は一生を通じて成長し続ける存在であり、その時々に達成すべき課題がある」という考え方に基づきます。

各段階での課題達成が次の成長への土台となるため、教育や支援の現場で広く活用されています。

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