西野精治 著
スタンフォード大学医学部教授
スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長
Contents
この本を薦めたい人
- 睡眠を甘く見ている人
- 睡眠についてよくわからない
- 寝ても最近疲れが取れない
- 寝つきが悪い
こんな方に本書はおすすめです。
本書の中の個人的に面白かった、ためになったと言う部分を抜き出し、自分なりにまとめています。ここで書かれていないことでも沢山の面白いこと、重要なことなどが書かれていますので、この記事をみて興味を持たれた方は是非、本書を読んでみてください。また、素人の考察ですので、間違った見解等ありましたらご指摘いただければと思います。
この本を読んで得られるもの
- 睡眠とは何か
- 理想の睡眠
- 質の良い睡眠を得るためのヒント
を得ることができます。
著者のプロフィール
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠整体リズム研究所(SCNラボ)所長。「ナルコレプシー」と言う突然眠りに落ちてしまう過眠症を主に研究しています。本書の中でも眠りについての熱い思いが記されています。
さらに2019年には「最高の睡眠で、最幸の人生を。」をスローガンに(株)ブレインスリープを設立しています。
著者の名も「精神」を「治す」と書いて精治、まさに「名が体を表している」眠りのスペシャリストです。
スタンフォード式 最高の睡眠 の要点
眠りの質は、最初の90分「第1周期」で決まる
多くの人は、眠りは90分から120分を1周期として、4回程度繰り返し朝を迎えています。1サイクルは、「ノンレム睡眠→ノンレム睡眠」を1サイクルとしています。
この周期で一番重要なのは、一番最初にやってくる第一周期です。極端な話しだと、この第一周期の質が悪いと、残りの周期がどれだけ良いものだったとしても、その眠りの全体的な質は悪いものとなってしまいます。
逆を言えば、第一周期の質を改善すれば概ね睡眠は良いものになると言うことです。
このことから言えることは、「長く寝れば寝るほと、疲れが取れる」と言う訳ではないことが導けます。
実際に、何時間寝ても怠い時ありますよね?恐らく、その時は、第1周期の眠りの質が悪かったはずです。
ノンレム睡眠とレム睡眠
睡眠を理解する上で重要な睡眠の構成要因でもある、ノンレム睡眠とレム睡眠を整理していきます。
ノンレム睡眠
脳も体も眠っている状態です。比較的深い眠るで、この眠りついた人を起こすのは難しく、無理に起こすと頭がすっきりしない状態となります。
ノンレム睡眠中はほとんど夢は見ないと言われています。レム睡眠と入れ替わる際の浅いノンレム睡眠時には夢を見ることはあるようですが、ノンレム睡眠時の夢は比較的単純な夢が多いそうです。
レム睡眠
脳は起きているが体が眠っている状態です。夢のほとんどがこの時に見ています。この時の夢は、非現実的、魅力的、ストーリー的な夢を見ます。ただし、この時は脳の情報を整理する部分の活動が低下しているため、「なぜ?」や「おかしいぞ」と言うことを考えることができなくなっているので、ありえないような内容の夢を変だと思わずに見られるようです。金縛りも多くはレム睡眠時に起こるみたいです。
第1周期で何が起こっているのか
第一周期の中でも、特に重要なのはノンレム睡眠の質です。では、ここでいったい何が起こっているのでしょうか?
①自律神経を整えている
自律神経とは、交感神経と副交感神経のことで、これらの切り替えがスムーズに行われると脳と体はリラックスすることができます。優位になります。ノンレム睡眠中は副交感神経が優位になり、レム睡眠中は交感神経が優位になります。
この周期のスタートともい言える最初のノンレム睡眠をしっかり取ることで自律神経を整えることができます。
②最も多くの成長ホルモンが分泌されている
細胞の成長、新陳代謝、アンチエイジングに影響を与える成長ホルモンが第一周期のノンレム睡眠でもっとも多く分泌されています。約8割もの量が分泌されていますので、成長期の子供には特に影響が大きいものかと思います。大人や老人でも分泌されるので、若々しくいる秘訣は、このノンレム睡眠の質が大きな鍵となってきそうですね。成長という部分を考えるのならば、最初の90分で約8割は成長出来ちゃうってことですね。逆を言えば・・・。それは恐ろしいことですね。侮れない、最初の90分!
③ほとんどの睡眠欲求が解消される
眠りたいという欲求である睡眠欲求はこの一番最初のノンレム睡眠でほとんどが解消されます。ここでよく眠れないと、いつまで経っても眠いという欲求が解消されません。寝ても寝ても寝足りないのは、この眠りの質が悪いからなのかも知れませんね。
質の良い睡眠の鍵は「脳」と「体温」
それでは、その質の良い睡眠を得るためには何をしたら良いのか見ていきましょう。
眠りと脳は深い関係がありそうだとイメージできますが、同じくらい体温も重要です。何かをするという視点で考えた場合、むしろ体温の方が重要かもしれません。
体には2つの温度があり、体の中の体温「深部体温」と体の表面温度「皮膚温度」がそれです。
この2つの体温差は活動時には2℃程度、深部体温の方が高くなっています。
この両者の差が縮まると眠気が発生します。眠くなると顔や、手足が暖かくなるのは、体内の熱を発散しようとして皮膚温度が上昇することが原因です。徹夜明けなどで顔が熱るのはこういう理由からです。
上手く手足から体内の温度を逃すことができると、深部体温と皮膚温度の差が縮まり眠りに着くことができます。手足が冷えて熱を逃がせなくなっていたり、寝る直前に入浴したり、激しい運動をすると体内温度が上がりすぎ、熱放出に時間がかかり寝つきが悪くなることになります。
入浴は深部体温を下げるのに最適
入浴は深部体温を上げてしまうので、睡眠には不向きかと思いますが、実は質の良い睡眠には欠かすことのできない行動です。
寝る直前に熱々のお風呂に入ると体が熱って眠れませんので、入浴時間が重要になってきます。入浴は40℃の風呂に15分入ると約0.5度程度上がります。
深部体温は「恒常性」が保たれているため、簡単には上下しないのですが、入浴はそれをあげることができるます。そして、深部体温の特性として、上がった分だけ大きく下がろうという性質があるので、寝る前の深部体温を効率よく下げることができます。0.5℃の深部体温を下げるのに約90分かかるので、寝る90分前に入浴を済ますことでスムーズな入眠をアシストすることができます。
脳の興奮は体温を上げる
また、脳が興奮している状態は体温が高く保たれているので、この状態ではいつまで経っても眠りにつくことができませんので、寝る前に脳を興奮させるような、激しい運動、ゲームなどは控えたほうが良いです。
単調な行動が続くと脳は考えることをやめます。この状態をモノトナスと言います。モノトナスになると脳は眠るためのスイッチを入れるます。寝る前は極力、単純で退屈な行動、(寝る前いのルーティンなど)をとることで入眠を促すことができます。意味の分からない難しい本を読んでる時は、つまらない講義を聞いている時に眠くなる理由はこの脳の特性のためです。
これらの知識をこれからの行動にどう活かすか
今までの自分
睡眠は大事だということは認識はしてました。ですが、特に不眠ということではなかったので自分には関係ないと思っていて、深く考えていませんでした。眠いから寝るというように寝るといった感じです。また、どんな寝方でも寝れば疲れが取れると思っていました。
解っているようで、睡眠のことを解っていませんでした。睡眠を本当に軽く見ていたと言うことです。
ここまで、眠りが人体に重要で神秘的な行為だったとは思いもしませんでした。
これからの自分
徐々に、枕や寝具、寝る時間、食べ物、飲み物など、眠りに関係する事柄を一から見直し、睡眠の質を上げていきたいと思います。特に第一周期のノンレム睡眠の質を上げて、活動時間の最高のパフォーマンスを得たいと思います。
まとめ
身近でありながら、ほとんど何も知らなかった睡眠を見つめ直すきっかけをくれる1冊です。
特に難いし用語も多用されていませんので、脳神経に無知な人でも読みやすいと思います。
今回紹介した以外にも、ナルコレプシー、うつ病と睡眠の関係、フォビドゾーン(睡眠禁止ゾーン)など、お伝えしたい興味深い内容が山ほどありますが、伝えきれませんので実際に手にとって読んでみることをお勧めします。