第33回 国家資格キャリアコンルタント試験 学科試験 解答(問1〜5)
この記事について
第33回学科試験の問1〜5を解説します。初めて学ぶ方にも分かるよう、用語の意味、似た概念との違い、四つの選択肢を判断する理由を順に整理します。
問題文・選択肢は公式問題PDFでご確認ください。正答番号は公式正答PDFと照合しています。解説は公式解説ではなく、各問に示した資料に基づく学習用の記事です。
確認日:2026年11月6日。法令問題は問題冊子の基準日(2026年4月1日)を踏まえ、資料指定のある問題は指定された版・調査年度で説明しています。具体例は理解のために作成したものです。
ページ表記は原則として資料本文の印字番号です。印字番号のない資料は「PDF P」で先頭からのページ数を示します。ページ数は、各解説の判断に用いた参照箇所を示しています。
| 問題 | 正解 | テーマ |
|---|---|---|
| 問1 | 4 | 企業内のキャリア相談のしくみ |
| 問2 | 1 | 育児休業とその後のキャリア形成 |
| 問3 | 3 | 学び・学び直しとキャリアコンサルタントの役割 |
| 問4 | 2 | ジェラットの連続的意思決定 |
| 問5 | 1 | ホランドの6類型と人・環境の適合 |
問1
正解:4
テーマ:企業内のキャリア相談のしくみ
根拠:JILPT「企業のキャリア形成支援施策導入における現状と課題」(第6章、本文115・127〜129・132・134・137〜139頁)
まず押さえること
企業内のキャリア相談は、相談室を設ければ同じように機能するわけではありません。企業の規模、従業員の年齢構成、担当者の配置、相談後に利用できる研修などによって、運営の実態や効果が異なります。
本問は「望ましい支援のあり方」ではなく、2023年公表の企業調査で、実際にどのような傾向が見られたかを問う問題です。調査実施は2022年1月で、企業への質問紙調査です。資格者個人や相談を受けた労働者だけを対象とした調査とは区別しましょう。
選択肢1:不適切
最も多いのは、キャリア支援専門の部署ではない通常の人事部門です。該当割合は63.8%で、人事部門から独立した専門部署の3.4%を大きく上回ります。「専門的な相談だから、専門部署が最も多いはず」と理想像から判断しないことが大切です。(P115)
キャリア相談を担当する組織(比較する項目)
| 担当組織 | 割合 |
|---|---|
| 人事部門(キャリア支援専門の部署はない) | 63.8% |
| 人事部門内のキャリア支援専門部署 | 7.5% |
| 人事部門から独立したキャリア支援専門部署 | 3.4% |
出典:JILPT報告書No.223、P115・図表6-2より該当項目を抜粋・整理。
注:複数回答。全ての担当組織を掲載した表ではないため、割合の合計は100%になりません。
選択肢2:不適切
方向が逆です。概して、45歳以上の従業員の比率が低い企業ほど、資格を持つ相談担当者がいる割合が高い傾向でした。これは「中高年には相談が必要ない」という意味ではありません。相談ニーズの重要性と、実際に資格者が配置されている割合は別の話です。(P132)
従業員に占める45歳以上の比率と資格者の配置
| 45歳以上の従業員の比率 | 相談担当者がキャリアコンサルタントである企業の割合 |
|---|---|
| 1割程度 | 20.0% |
| 2割程度 | 22.8% |
| 5割程度 | 8.2% |
| 6割以上 | 8.8% |
出典:JILPT報告書No.223、P132・図表6-31、P138・図表6-36より該当項目を抜粋・整理。
注:キャリア相談のしくみを持つ企業についての比較です。
選択肢3:不適切
制度の周知や設計・企画を担当する割合は、概して従業員規模の大きい企業ほど高くなっています。面談を行うだけでなく、相談につながる制度や利用環境を整える仕事もある、と理解すると整理しやすくなります。(P127〜128)
キャリア支援制度の設計・企画を担当する割合
| 従業員規模 | 割合 |
|---|---|
| 300〜999人 | 20.0% |
| 1,000人以上 | 29.4% |
出典:JILPT報告書No.223、P128・図表6-22より該当項目を抜粋・整理。
注:キャリア相談のしくみを持つ企業についての比較です。制度の周知はP127・図表6-21で確認できます。
選択肢4:適切
創業10年未満の企業や中程度の従業員規模の企業では、社内教育プログラムへの参加増加という効果が確認されています。意欲が高まるという心理面の変化と、実際に研修へ参加するという行動面の変化を区別するのがポイントです。なお、この調査結果だけで、企業規模が効果を直接引き起こすとまでは断定できません。(P128・134・139)
社内教育プログラムへの参加増加を感じた企業の割合
| 創業からの年数 | 正社員 | 正社員以外 |
|---|---|---|
| 1〜9年 | 31.3% | 18.8% |
| 50年以上 | 14.1% | 2.3% |
出典:JILPT報告書No.223、P134・図表6-34より該当項目を抜粋・整理。
注:創業年数による比較です。従業員規模による比較はP128・図表6-23で示されています。
問2
正解:1
テーマ:育児休業とその後のキャリア形成
根拠:内閣府「キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因に関する調査」報告書(本文19・45・60・62・65・70頁)
まず押さえること
育休を取得できることと、復帰後も希望するキャリアを続けられることは同じではありません。復帰後の仕事の内容、本人の希望、上司の関わり、家庭内の役割分担を含めて考える必要があります。
この調査は2025年1月実施で、20〜49歳、初職が正規雇用、13歳未満の同居の子がいることなどの条件を満たす男女が対象です。全ての親や全ての労働者に、そのまま一般化はできません。
「キャリアをセーブ」は、本人が当初思い描いていたキャリアから抑える方向へ変わったという回答です。育児を大切にする生き方そのものを、失敗と評価する言葉ではありません。
選択肢1:不適切
男女が逆です。キャリアをセーブすることになった、またはなりそうと回答した割合は女性の方が高く、女性は43.6%でした。35歳以上の女性ではおおむね半数に達する年代もあります。「育休後のキャリアの変化には男女差がある」という比較関係を押さえましょう。(P45・60)
キャリアをセーブすることになった・なりそうと回答した割合
| 年齢 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 35〜39歳 | 48.6% | 23.0% |
| 40〜44歳 | 45.5% | 23.2% |
| 45〜49歳 | 45.7% | 19.6% |
出典:内閣府・両立阻害要因調査報告書、P60・図53より該当項目を抜粋・整理。
注:育児休業後、会社・団体の正社員・正職員として復帰した回答者の結果です。
選択肢2:適切
男女とも、育休取得前にキャリアプランを持っていた人は、具体的なプランを描いていなかった人に比べ、復帰後の仕事へのモチベーションが高い傾向です。ただし、事前に計画さえ立てれば必ず意欲が高まるという因果関係を証明した結果ではありません。(P65)
育休前のキャリアプランと復帰後のモチベーション
| 比較する項目 | 調査で示された傾向 |
|---|---|
| 育休前に将来のキャリアプランを立てていた人 | 立てていなかった人より、男女ともモチベーションが高い傾向 |
| 具体的なキャリアプランを描いていなかった人 | 比較上、モチベーションが低い傾向 |
出典:内閣府・両立阻害要因調査報告書、P65・図58より該当項目を抜粋・整理。
注:数値の抜粋ではなく、図と本文が示す比較関係を整理した表です。因果関係を示すものではありません。
選択肢3:適切
男女とも、難易度の高い業務を経験した人の方が、復帰後のモチベーションが高い傾向でした。難易度の高い経験には、新規事業の立ち上げや組織横断のプロジェクトなどが含まれます。育休前から成長の機会を公平に提供することを考える資料です。(P62)
育休前の業務経験と復帰後のモチベーション
| 比較する経験 | 調査で示された傾向 |
|---|---|
| 組織横断プロジェクト、新規事業の立ち上げ等の難易度の高い経験あり | 経験がない人より、男女ともモチベーションが高い傾向 |
| 該当する業務経験なし | 比較上、モチベーションが低い傾向 |
出典:内閣府・両立阻害要因調査報告書、P62・図55より該当項目を抜粋・整理。
注:数値の抜粋ではなく、図と本文が示す比較関係を整理した表です。
選択肢4:適切
男性では、取得した育休が長いほど、理想の子ども数と実際の子ども数が同じ、または実際の方が多いという回答が多い傾向です。詳しくは「今後持つつもりの子ども」も含めた回答なので、既に生まれた人数だけを測定した結果と誤解しないようにします。(P70)
男性の育休期間と理想の子ども数との関係
| 育休期間 | 理想より多い・多くなりそう | 理想と同じ・同じになりそう |
|---|---|---|
| 12か月以上 | 33.0% | 52.6% |
| 6か月以上12か月未満 | 25.1% | 56.7% |
| 1か月以上6か月未満 | 19.7% | 49.3% |
| 1か月未満 | 18.0% | 45.2% |
出典:内閣府・両立阻害要因調査報告書、P70・図66より該当項目を抜粋・整理。
注:「実際の子どもの人数」には、今後持つつもりの人数を含みます。回答項目の一部を抜粋しています。
問3
正解:3
テーマ:学び・学び直しとキャリアコンサルタントの役割
根拠:厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」(Ⅰの4・5、Ⅱの2)
まず押さえること
学び直しは、研修を受けることだけを指すものではありません。「これからどう働きたいか」「そのために何を身につけるか」「学んだことをどこで使うか」をつなげる取組です。
キャリアコンサルタントには、労働者本人の希望を整理する支援と、組織が学びを支える環境をつくる支援の両方が期待されます。本人の主体性を尊重しながら、現場の上司や人事部門とも関係をつくる役割です。
選択肢1:適切
一度目標を決めても、仕事の忙しさや自信の低下によって学びが止まることがあります。進み具合を振り返り、必要に応じて目標や方法を調整する伴走支援の機会を確保することが望ましいとされています。(P5・16)
選択肢2:適切
現場のリーダーは、部下の学びに寄り添う重要な存在ですが、時間や支援方法の面で困ることもあります。キャリアコンサルタントがリーダーを支え、本人との話合いを助けるという説明は適切です。(P6・19〜20)
選択肢3:不適切
連絡事項を運ぶだけの伝達役に限定している点が誤りです。本人のキャリアの整理、学習目標の具体化、労使のすり合わせ、学びを生かす環境づくりなど、専門性を用いた働きかけが期待されます。(P6・10〜11・16)
選択肢4:適切
本人が学びたいことと、職場で期待される役割・能力を、節目ごとに話し合うことが重要です。すり合わせは会社の希望への一方的な誘導ではありません。双方の考えや事情を確かめ、納得できる方向を探すことです。(P5・10〜11)
問4
正解:2
テーマ:ジェラットの連続的意思決定
根拠:JILPT「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」(Ⅰ-6、本文28〜30頁)
まず押さえること
ジェラットの前期の理論は、情報を集め、選択肢とその結果を検討し、判断を積み重ねるという合理的な意思決定のモデルです。「連続的」とは、一度決めたら終わりという意味ではなく、必要に応じて情報収集や再検討を続けることを表します。
| システム | 考えること | 転職を例にすると |
|---|---|---|
| 予期 | どの選択肢があり、どのような結果になるか | 現職継続・異動・転職後の働き方 |
| 価値 | その結果は自分にとって望ましいか | 収入、成長、家庭生活の何を重視するか |
| 基準 | どの基準で選ぶか | 必須条件と妥協できる条件を整理する |
この説明は学習のために整理したもので、上の3システムと、情報収集を含むプロセス全体は区別してください。
選択肢1:不適切
最良の選択肢を最初から見抜く、という説明ではありません。まず選べる可能性を把握し、それぞれの結果や価値を検討します。「最良の選択肢に気づく」を独立した所定のステップとして扱うのは適切ではありません。(P29)
選択肢2:適切
十分な情報を得ることは、合理的に選択するための重要なステップです。仕事内容や条件が分からないままでは、選択肢の結果も、自分の希望に合うかどうかも検討できません。(P28〜29)
選択肢3:不適切
積極的不確実性は、ジェラットの後期の議論と結びつく概念です。不確実な未来に対して柔軟に考えるという視点であり、前期の連続的意思決定のステップにそのまま組み込んで説明することはできません。
選択肢4:不適切
カオス理論は、複雑さや予測しきれない変化を扱う別の理論的枠組みです。結果の望ましさの評価は、ジェラットでは価値システムとして整理します。異なる理論の名称を混ぜている点に注意しましょう。(P29)
問5
正解:1
テーマ:ホランドの6類型と人・環境の適合
根拠:JILPT「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」(Ⅰ-5、本文25〜27頁)
まず押さえること
ホランドは、人の職業興味・パーソナリティと、職業環境の双方を同じ6類型で捉えました。人の特徴だけでなく、その人が置かれる環境との組合せに注目する理論です。
| 記号 | 類型 | 興味の方向の例 |
|---|---|---|
| R | 現実的 | 道具・機械を扱う、具体的に作業する |
| I | 研究的 | 調べる、分析する、仕組みを考える |
| A | 芸術的 | 表現する、創作する |
| S | 社会的 | 教える、援助する、人と関わる |
| E | 企業的 | 説得する、企画を進める、集団を率いる |
| C | 慣習的 | データや手順を整え、正確に処理する |
類型は人を一つの箱に固定するものではなく、複数の興味の強弱を整理する手がかりです。例えば、援助への興味が強い人には、人を支える活動が多い環境が合いやすいと考えます。
選択肢1:適切
Aは調和的相互、Bは職業選択、Cは職業適応です。本人と環境の適合が、選択の安定や仕事への適応と関係するという理論の中心を表しています。(P25〜27)
選択肢2:不適切
「調和的融合」と「標準化」が適切ではありません。標準化は、検査などを一定の手続や基準で実施・解釈できるようにすることを指し、ここで問う職業への適応とは異なります。(P25〜27)
選択肢3:不適切
Bはパーソナリティではなく職業選択です。人と環境の組合せによって、性格そのものが安定化するという文章ではありません。選択した仕事との関係を問うている点を読み取りましょう。(P25〜27)
選択肢4:不適切
AとBが違います。本人の不足を環境が補償するという説明ではなく、人と環境の調和的な相互作用に注目します。性格の安定と、職業選択の安定も混同しないことが大切です。(P25〜27)
参考資料
- 第33回学科試験・公式問題
- 第33回学科試験・公式正答
- JILPT「企業のキャリア形成支援施策導入における現状と課題」
- 内閣府「キャリア形成と育児等の両立を阻害する要因に関する調査」報告書
- 厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」
- JILPT「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」
国家試験 第33回 解説リンク集
この記事が良いと思ったら
↓❤️クリックをお願いいます。ブログ運営の励みになります。
2級キャリアコンサルティング技能検定を軸に、過去問の出題傾向を分析したオリジナル予想問題50問を作成しました。
国家資格キャリアコンサルタント試験とも出題範囲が重なる部分が多いため、国家試験の学科対策にも活用できます。
過去問を一通り解き終え、初見問題で実力を確認したい方はぜひご活用ください。




