NIOSH職業性ストレスモデルは、職場で生じるストレスの要因と、その反応から健康問題へ至るプロセスを体系的に説明したものです。
また、急性ストレス反応が起こるまでの流れについても、モデル内で明確に説明されています。
NIOSH職業性ストレスモデルとは
NIOSH(米国労働安全衛生研究所)が1988年に提唱したこのモデルは、仕事上のストレス要因(ストレッサー)が働く人に心理面・生理面・行動面のストレス反応を引き起こし、それに個人要因・仕事外要因・緩衝要因(上司や同僚、家族からのサポート)が影響を与えることで、最終的にメンタルヘルス不調や身体疾患、能率低下などの問題へと至る流れを示しています。
以下の4つのカテゴリが重要とされています。
- 仕事上のストレス要因(仕事量、業務の質、人間関係、裁量度、職場環境など)
- 個人的要因(年齢、性別、性格、価値観、既往歴など)
- 仕事外の要因(家庭の状況、生活環境、経済状態など)
仕事上のストレス要因が多いと、急性ストレス反応が発生しやすくなりますが、個人の性格や環境、そして十分なサポートがある場合はその影響が緩和され、大きな健康障害へ発展しにくくなります。
急性ストレス反応が起こるまでの過程
モデルでは、以下のような流れで急性ストレス反応が発生します。
- 職場におけるストレッサー(精神的・身体的負担、対人関係のトラブル、業務負荷など)にさらされる。
- ストレッサーが個人的要因・仕事外要因・緩衝要因によって強調または緩和される。
- ストレス反応として、心理的(不安感・抑うつ)、生理的(疲労感・頭痛・胃痛)、行動的(欠勤・ミス・過食・飲酒喫煙など)が現れる。
- 急性ストレス反応が持続、慢性化するとメンタルヘルス不調(うつ病、心身症)、身体疾患(高血圧、胃潰瘍)、能率低下などさらなる問題に発展する。
このプロセスは、ストレスチェックにも応用されており、職場のストレス要因、反応、緩衝要因の三つの領域を評価することで健康リスクの早期発見・対策につなげています。
要点まとめ
- NIOSHモデルは、ストレス要因~反応~健康障害に至るまでの一連の流れを総合的に説明するモデル。
- 急性ストレス反応は、ストレッサーが個人・環境要因・サポートに修飾されつつ心理・生理・行動面に表れる。
- 緩衝要因の重要性が強調されており、適切なサポート体制が健康障害予防の鍵となります。



