自己観察般化と世界的般化
アメリカの心理学者ジョン・D・クランボルツ(John D. Krumboltz)が提唱した概念です。
クランボルツはバンデューラの社会的学習理論を基礎に、キャリア意思決定における社会的学習理論(Social Learning Theory of Career Decision Making)を発展させました。
その中で「自己観察般化」は自分自身に関する信念や評価、「世界的般化」は自分を取り巻く環境や職業、社会に関する一般化されたイメージやステレオタイプを指す重要な概念として位置づけられています。
この理論はキャリアカウンセリングや進路指導の分野で広く活用されています。
自己観察般化とは
- 意味
自己観察般化は「自分自身に関する信念やイメージを、過去の経験や行動、興味・価値観などを観察して一般化すること」です。
たとえば「私は人前で話すのが苦手だ」「自分は計画的に行動できるタイプだ」など、自分の行動や感情、成果をもとにして「自分はこういう人間だ」とまとめる認知的な働きです。 - 具体例
- テストで何度も良い点を取った経験から「自分は勉強が得意だ」と思う。
- 友達との会話で緊張する経験が多かったので「自分は人付き合いが苦手だ」と感じる。
世界的般化とは
- 意味
世界的般化は「自分を取り巻く環境や社会についての信念やイメージを、経験や観察を通じて一般化すること」です。
たとえば「この仕事は男性向きだ」「社会は努力した人を評価する」「営業職は大変だ」など、周囲や社会、職業などについてのイメージやステレオタイプを持つことを指します。 - 具体例
- 「女性は理系が苦手」という社会的なイメージを持つ。
- 「大企業に入れば将来は安泰だ」と考える。
- 「営業職はノルマがきつい」と思い込む。
両者の違いと関係
種類 | 一般化の対象 | 例 |
---|---|---|
自己観察般化 | 自分自身 | 「自分はリーダーシップがある」 |
世界的般化 | 周囲・社会・環境 | 「この業界は男性が多い」「営業は大変」 |
- 自己観察般化は「自分についての思い込みや信念」
- 世界的般化は「社会や他者についての思い込みや信念」
どちらも自分の経験や観察をもとに、特定の出来事から広く一般的なイメージや信念を作り上げる心理的なプロセスです。
なぜ重要か
これらの一般化は、進路選択やキャリア形成、日常の意思決定に大きな影響を与えます。
必ずしも正しいとは限らず、偏った一般化が自分の可能性を狭めたり、誤った判断につながることもあります。
まとめ
- 自己観察般化=「自分はこうだ」と自分自身について一般化すること。
- 世界的般化=「社会や周囲はこうだ」と環境や社会について一般化すること。
- どちらも自分の経験や観察に基づいて生まれ、キャリアや人生観に強く影響します。
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