就業手当が廃止
就業手当が廃止された理由は、主に労働市場の環境変化と制度の実効性を考慮したためです。
具体的には、以下の理由が挙げられます。
- 労働市場での求人状況が好転し、低賃金や短期の就労でも早期に就職しやすくなったため、本来の就業促進という目的に対する必要性が低下した。
- 就業手当は短期・非正規雇用を促進する側面があり、正社員や安定した雇用への誘導という観点から好ましくないとの判断があった。
- 労働者のスキルアップや長期的なキャリア形成を支援する教育訓練制度の充実により、単に就職を促すだけでなく質の高い就労を推進する政策への転換が進められている。
- 支給の対象や条件が複雑で利用者が少なく、制度運用の効率化も目的の一つとなった。
これらの理由から、2024年以降の雇用保険法改正に伴い、就業手当は廃止されました。
就業促進定着手当の上限引き下げ
就業促進定着手当の上限は、これまで「基本手当の支給残日数の30%または40%相当額」が支給上限でしたが、2025年4月1日以降、一律「支給残日数の20%相当額」に引き下げられました。
この変更の理由は、以下の通りです。
- 早期再就職を促進するインセンティブとして設けられていた支給率を見直し、賃金が以前より下がった場合の補填を必要最小限に抑えるため。
- 労働市場の人手不足状況や求人増加により、どんな仕事でも早く就けばよいという誘因の必要性が減少し、質の高い就労や職場定着の促進を重視する方針に転換したため。
- 制度の持続可能性や財政負担の軽減も背景にある。
この改正により、再就職後の賃金低下を補う給付額の上限が抑えられ、受給者の給付額が減少する場合があります。