キャリア成熟、アダプタリティ、適応の関係
キャリア成熟(キャリア・マチュリティ)、キャリア・アダプタビリティ(適応力)、そして適応は、個人が職業人生を通じて成長し、変化に対応していく過程で密接に関係しています。
キャリア成熟とは
- キャリア成熟は、主に思春期・青年期におけるキャリア発達の中心概念であり、個人が自分の職業的選択や意思決定に必要な知識や態度、スキルをどれだけ備えているかを示します。
- ドナルド・E・スーパーは、キャリア発達の初期段階(特に若年期)において、年齢や経験とともにキャリア成熟度が高まるとしました。
キャリア・アダプタビリティ(適応力)とは
- キャリア・アダプタビリティは、社会や環境の変化に合わせて自分のキャリアを柔軟に適応させる力、すなわち「キャリア発達のための準備状態」を指します。
- スーパーが提唱し、サビカスが体系化した理論で、現代のような変化の激しい「VUCA時代」において特に重要視されています。
- キャリア・アダプタビリティは「関心(Concern)」「統制(Control)」「好奇心(Curiosity)」「自信(Confidence)」の4Cから構成され、これらが高いほど変化への適応力が高いとされます。
適応とは
- 適応は、環境や状況の変化に対して自分自身の行動や考え方を柔軟に変える能力全般を指します。
- 職場や社会の変化、新しい課題への対応、スキルの習得など、広い意味での「適応力」として社会人に求められる基本的な能力です。
3つの関係性
概念 | 主な発達段階 | 内容・特徴 | 関連性 |
---|---|---|---|
キャリア成熟 | 思春期・青年期 | 職業選択や意思決定に必要な知識・態度・スキルの発達段階 | キャリア発達の基礎。成熟度が高いと適応力の土台ができる |
キャリア・アダプタビリティ | 成人期以降(全ライフステージ) | 環境変化に合わせてキャリアを柔軟に適応させる力。4C(関心・統制・好奇心・自信)が重要 | キャリア成熟を基盤に、変化に対応し続ける力 |
適応 | 全ライフステージ | 環境や状況の変化に対して柔軟に行動・思考を変える能力(ソフトスキルとしても重要) | キャリア・アダプタビリティの実践的側面 |
まとめ:発達の流れと相互作用
- キャリア成熟は、キャリア発達の初期段階で必要な基礎力であり、自己理解や職業選択の力を高めます。
- キャリア・アダプタビリティは、成熟を土台に、社会人としてさまざまな変化や転機に柔軟に対応するための力です。
- 適応は、実際に環境や状況の変化に合わせて行動・思考を変える具体的な能力であり、アダプタビリティの実践として現れます。
このように、キャリア成熟によって基礎力を養い、キャリア・アダプタビリティによって変化に備え、適応力によって実際に行動や考えを柔軟に変えていく――この3つはキャリア発達の連続したプロセスとして捉えられます。