理論

【キャリコン理論家】マーシャのアイデンティティ形成プロセス

この記事について

頻出の理論家ではないですが、選択肢の1つとして出てくることの多いマーシャという理論家について整理します。

第1回、第4回国家試験で選択肢の1つで出題されています。

今回の場合、理論家の名前と理論がバラバラで出されることがあるので、マーシャを知っていれば一気に2つの選択肢が削除できます。

マーシャ(James E. Marcia)は、エリクソンのアイデンティティ理論を発展させ、青年期のアイデンティティ形成プロセスを研究しました。彼の理論の主要な要素は以下の通りです:

アイデンティティ形成のプロセス

マーシャのアイデンティティ形成理論によると、このプロセスは以下の3つの段階で進行します。

アイデンティティ形成の3段階

  1. 青年期前期:脱構成化
    この段階では、それまでの自己概念や価値観が揺らぎ始めます。
  2. 青年期中期:探求と再構成化
    様々な可能性を探り、新たな自己像を形成していく時期です。
  3. 青年期後期:強化
    形成されたアイデンティティがより確固たるものになります。

形成プロセスの特徴

このプロセスは、「危機」と「傾倒(コミットメント)」という2つの軸に基づいて進行します。

  • 「危機」は自分の生き方や在り方をめぐる模索体験と意思決定期間を指します。
  • 「傾倒」は目標に向けて行動や努力すること、積極的に関わることを意味します。
    *「傾倒」は「積極的関与」と表されることもある。

アイデンティティ形成は固定的なものではなく、個人の経験や成長に応じて変化する可能性があります。

このプロセスを通じて、個人は自己の選択や目標に向けて自信を持って進んでいくことができるようになります。

アイデンティティ・ステータス

マーシャは、「危機」と「傾倒(コミットメント)」という2つの軸を用いて、4つのアイデンティティ・ステータスを定義しています。

  1. アイデンティティ達成
    危機を経験し、傾倒している状態。自分の信念に基づいて行動している。
  2. モラトリアム
    危機の最中にあり、傾倒しようとしている状態。自分の信念に基づいた行動を模索している。
  3. 早期完了(フォークロージャー)
    危機を経験していないが、傾倒している状態。親の価値観をそのまま受け入れている場合が多い。
  4. アイデンティティ拡散:
    危機を経験しておらず、傾倒もしていない状態。自分が何者なのかわからない状態。

マーシャの理論は、半構造化面接を用いてこれらのステータスを評価する方法も提案しており、青年期のアイデンティティ発達の理解に大きく貢献しました。

マーシャのアイデンティティ・ステータス理論(図表)

危機\傾倒傾倒なし傾倒あり
危機なし①:アイデンティティ拡散③:早期完了
危機あり②:モラトリアム④:アイデンティティ達成
  1. アイデンティティ達成:
    • 危機を経験し、自分の信念に基づいて行動している
    • 自己の選択や目標に自信を持っている
  2. モラトリアム:
    • 危機の最中にあり、自分の信念に基づいた行動を模索中
    • 悩みや葛藤を抱えている状態
  3. 早期完了:
    • 危機を経験せずに傾倒している
    • 親の価値観をそのまま受け入れている場合が多い
  4. アイデンティティ拡散:
    • 危機も傾倒も経験していない
    • 自分が何者なのかわからない状態

まとめ

頻出ではないですが、ちらほらと出てくる理論家です。

対策テキストではサラッとしか説明されず、暗記するしかないのですが、理論の成り立ち知り、何を言いたいのかを理解すると自然と理論家とその理論を覚えやすくなると思います。

マーシャは、アイデンティティを危機と傾倒という2軸で表し、個人のアイデンティテの状態を見える化した理論家です。

また、アイデンティが脱構築→再構築→強化という順で形成されるとしています。この構築や脱構築は、他の理論家でも出てくるので、マーシャの場合は、どう進むのかを覚えておくと、対応ができると思います。

覚えて+1点目指しましょう!

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