ロジャーズの治療的人格変化(パーソナリティ変化)が生じるための「必要にして十分な条件」は6つです。
これらは特に来談者中心療法においてカウンセリング関係が成立し、クライエント(相談者)に建設的な人格変化が起こるために不可欠とされています。
ロジャーズの6つの必要十分条件
- 二人の人(セラピストとクライエント)が心理的な接触(ラポート・ラポール)を持っていること
- クライエントは自己概念と経験に不一致があり、心理的に傷つきやすく不安な状態であること
- セラピストはその関係の中で自己一致(自分自身と調和している状態、偽りがない)していること(自己一致)
- セラピストはクライエントに対して無条件の肯定的配慮(評価や条件づけなく受け入れ、尊重する姿勢)を経験していること(無条件の肯定的配慮)
- セラピストはクライエントの内的照合枠(その人の世界・感じ方)を共感的理解し、その理解を伝えようと努めていること(共感的理解)
- セラピストの無条件の肯定的配慮と共感的理解が最低限クライエントに伝わっていること
これらの条件がすべて満たされ、また一定期間継続されることで、人格変化が確実に起こるとロジャーズは理論的に主張しました。
補足:3つの中核条件(コア・コンディション)
6条件の中でも特に、
- 自己一致
- 無条件の肯定的配慮
- 共感的理解
は「中核三条件」と呼ばれ、セラピストの基本的態度として来談者中心療法の要とされています。
これらの条件は、臨床心理学の実践やキャリアカウンセリングなど対人援助の分野でも重要視されています。



