第29回 キャリアコンサルティング技能検定 2級学科試験 解答(問1〜5)
この記事について
第29回 キャリアコンサルティング技能検定2級 学科試験の解答解説を作成しました。
解答は出ていますが、解説がなかったので自分で解答解説作成しています。
解答は自分で調べたので、間違いがあるかもしれません。
間違え等を見つけた場合は、お知らせください。
1記事5問ずつアップしていこうと思います。
設問:1
第11次職業能力開発基本計画(厚生労働省、2021年3月)に示された、労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援を目的とした学びの支援施策は①~④の4項目
① 労働者が自発的な学び直しに取り組みやすくするため、関係省庁と連携して、IT利活用 等の企業横断的に求められる基礎的な知識等を学習できる動画を作成・公開し、オンライ ンで無料で学べる環境を整備する。
② 労働者の主体的な職業能力開発を支援するため、関係省庁とも連携しつつ、教育訓練給 付の対象講座の充実に努めるとともに、教育訓練給付の対象講座に関する情報が得やすく なるよう、学び直しに関するポータルサイトと連携する等の情報へのアクセスの改善に取 り組む。
③ 在職者が自発的な学び直しのための時間を確保できるよう、新たに教育訓練休暇を導入 ・適用する企業に対して人材開発支援助成金により経費等を助成すること等により、教育 訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及を促進する。
④ 労働者が実務経験を通じた主体的な能力の向上や学び直しの意欲の維持・向上が可能と なるよう、社内公募制やフリーエージェント制等の導入その他の労働者の自発性、適性及 び能力を重視した的確な配置並びに処遇上の配慮が可能となる制度の普及促進を図る。
正解:2
選択肢1:不適切
施策①のとおり、介護領域の動画ではなく、「IT利活用 等の企業横断的に求められる基礎的な知識等を学習できる動画を作成・公開し、オンライ ンで無料で学べる環境を整備する。」としている。
選択肢2:適切
施策③のとおり、正しい。教育訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及促進は、労働者が主体的に学習時間を確保できる環境づくりに資するものであり、厚労省の計画に沿った自律的・主体的なキャリア形成支援施策の具体的な例として正しい。人材開発支援助成金による経費助成は制度普及を直接促す有効な手段である。
選択肢3:不適切
施策②のとおり、教育訓練給付の対象講座の充実に努めるとともに、教育訓練給付の対象講座に関する情報が得やすくなるよう、学び直しに関するポータルサイトと連携する等の情報へのアクセスの改善に取り組む。
としており、助成割合の引き上げは計画には示されていない。
選択肢4:不適切
施策④のとおり、労働者が実務経験を通じた主体的な能力の向上や学び直しの意欲の維持・向上が可能と なるよう、社内公募制やフリーエージェント制等の導入その他の労働者の自発性、適性及 び能力を重視した的確な配置並びに処遇上の配慮が可能となる制度の普及促進を図る。
としており、企業内大学や教育研修カフェテリアプランは企業内部の教育研修制度の普及促進を進める取り組みは計画では示されていない。
設問:2
働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書
3 キャリアコンサルタント に求められるものと必要な施策
[キャリア支援の専門職として キャリアコンサルタントが習得すべきこと]
(1)専門性を深化させ、実践力を向上させる
(2)多様な働き方や年齢階層などに応じたキャリア支援に精通する
(3)企業内の課題解決に向けた提案力を発揮する
(4)外部専門家との連携や外部資源を活用する
(5)就職マッチングやリテンション (職場定着 など) を意識する など 。
正解:4
選択肢1:適切
キャリアコンサルタントは専門知識や技能を深め、実践力を高めることが重要であり、自己研鑽や専門性の深化は求められる基本的な要素である。
選択肢2:適切
多様な働き方や職位、年齢階層に応じた支援ができることは、現代の働く環境変化に対応するために不可欠であり、幅広い知識と対応力が求められる。
選択肢3:適切
企業内の課題解決のために組織への提案や働きかけが求められることも、キャリアコンサルタントの役割として報告書で示されている。
選択肢4:不適切
キャリアコンサルタントは自らだけで問題解決を完結するのではなく、必要に応じて外部資源や他の専門家と連携しながら支援を行うことが求められている。よって、外部資源に頼ることなく完結するという考えは不適切である。
設問:3
正解:1
選択肢1:適切
ワッツ(Watts, A. G.)はキャリアガイダンスについて、単なる個人支援にとどまらず、社会に働きかけることで社会問題の解決を促進する機能があることを強調しており、文化や社会に配慮したキャリア形成支援の重要な視点を示している。
選択肢2:不適切
スーパー(Super, D. E.)はキャリア発達理論の創始者であり、主に個人の発達段階や役割期待に注目しているため、貧困や格差によるマイノリティ支援の重要性を直接主張しているわけではない。むしろ、アメリカの社会正義を重視するキャリア支援の第一人者ブルースティン(Bruce E. Stein)などは、スーパーの個人中心的アプローチが社会的・構造的制約を軽視し、多様な背景を持つ労働者を十分に考慮していないと指摘している。
選択肢3:不適切
ゴットフレッドソン(Gottfredson, L. S.)は進路選択理論で知られ、多文化カウンセリングにおけるカウンセラーの文化的認識の客観視については、主にフアド(Fouad)などが論じているため、この記述は不適切である。
選択肢4:不適切
ドナルド・E・スーパー(Donald E. Super)の主張です。
スーパーはキャリア理論のなかで、仕事(work)を広い意味で捉え、賃金労働だけでなく、家庭内の家事や地域活動、ボランティアなど社会的に重要な活動も含めて「ワーク」と位置づけました。これにより、人生全体の役割とキャリアが密接に関連していることを示し、ライフ・キャリア・レインボーという概念で多面的な役割を捉え、生涯にわたるキャリア発達の視野を広げました。
設問:4
正解:4
選択肢1:不適切
スーパーはパーソナリティや能力が個人個人で異なることを前提としており、全く基本的に違いがないとは考えていない。
選択肢2:不適切
人は複数の職業適性を持つ可能性があり、ただ一つの職業だけに適合するとされているわけではない。
選択肢3:不適切
ミニ・サイクルは主にライフ・ステージの変化や発達が活発な時期に起こるとされており、安定しているときに起こるものではない。
選択肢4:適切
スーパーは、仕事から得られる満足度は自己概念をどれだけ実現できたかに比例するとし、自己概念とキャリアの実現が密接に関係していることを示している。
設問:5
正解:1
選択肢1:適切
ギンズバーグ(Ginzberg, E.)は「職業的発達論」を提唱し、職業選択の過程は「空想期」「試行期」「現実期」の各段階を経て進むとした。これは彼の初期理論であり、職業選択は発達的かつ段階的な過程であることを示している。
選択肢2:不適切
ホール(Hall, D. T.)ではなく、「組織内キャリア」理論において、組織の3次元モデルや円錐体として描く理論を提唱しているのは、シャインである。
選択肢3:不適切
シャイン(Schein, E. H.)ではなく、「統合的ライフ・プランニング」は4つのL(Labor、Learning、Leisure、Love)を挙げているのは、ハンセンである。
選択肢4:不適切
ハンセン(Hansen, L. S.)ではなく、関係性アプローチから「プロティアン・キャリア」の概念を提唱したのは、ホールである。
2級技能士 解説リンク集
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