Learning

医学生ガザへ行く

この記事について

「医学生ガザに行く」を見た感想です。

イタリア人医学生リッカルドのガザ地区留学の記録がドキュメンタリーとして映像化されたものです。

感想

特に前情報もなく、タイトルとポスターのみで見ることを決めた映画だったので、最初はドキュメンタリーとは思っていなかったので、びっくりしました。

この映画を見るまで、イスラエルとパレスチナの紛争について、ニュースで見るだけで遠い国のこととして認識していました。

なぜ、争っているのかも深くは知らず、ガザ地区のイメージは、紛争地区、危険、イスラム圏程度の知識しかなく、ガザ地区がどこにあるのかも、しっかりと知りませんでした。

今回、この映画を見ることで、ガザ地区の内情、人々の暮らし、考え方など、身近に感じることができました。

そして、ガザ地区に興味を持つことができ、なぜ、争い、なぜそのように思うのか。など、映画を見ていてい疑問に思うことを調べてみようという気持ちになりました。

ガザ地区に興味を持っていなかった人に対して興味を持たせるきっかけを与えてくれる映画だと思います。

ガザ地区脱出は、巨万の富に匹敵する

映画の中で、ガザ地区の友人が「ガザ地区から出ることが、私の全て」とリッカルドに話すシーンがありました。

ガザ地区から自由になるということは、巨万の富を得ることに等しいと例えていたのが印象的です。

調べてみると、ガザ地区は「天井のない監獄」と言われているようで、ガザ地区の人はその地域から外に出ることを厳しく制限されているようです。

当初、ガザ地区を実効支配しているハマスにより、地区外への脱出を禁止されていると思っていたのですが、ガザ地区を囲んでいるイスラエルによる軍事封鎖のため脱出できないようです。

危険だと思っていたガザ地区

紛争地域ということと、イスラム圏ということで、危険というイメージがありました。

その危険というイメージは、無法地帯のように平穏な状況がないような状況と思っていましたが、映画に映し出されるガザ地区は穏やかで、人々は温かい。

ただ、自然災害のように、いきなり爆撃が始まります。

日本でいう、地震や台風のような災害のような感覚でガザ地区の人々はそれに対処しているシーンが印象的でした。

それは、人工的な災害であると感じました。

イスラム圏の人々は厚いもてなしの心を持つ

全然知らなかったのですが、イスラム圏の人々は旅人を厚くもてなす文化を持っているとのことです。

映画でも、リッカルドが最高のもてなしを受けていることをイタリアの家族に説明しているシーンがありました。

イスラム圏のもてなし文化は宗教的教え、文化的伝統、道徳的価値観が複合的に作用して形成されたもののようです。

現代でも、お茶やコーヒーでのもてなしなど、その精神は継承されています。

イスラム圏の人々が客人をもてなす理由

  1. 宗教的教え: イスラム教の教えにおいて、客人をもてなすことは重要な美徳とされています。預言者ムハンマドの言葉に「神と最後の審判を信ずるものは、客人を歓待せよ」とあり、三日間のもてなしが推奨されています。
  2. 文化的伝統: 中東・地中海世界は「もてなし文化圏」の中核と呼ばれ、古くから旅人を歓待する習慣が発達しました。これは商業の発展と情報交換の重要性に基づいています。
  3. 人間的美徳: イスラム以前のアラブ社会でも、見知らぬ他人に対する寛大さは最高の人間的美徳の一つとされていました。
  4. 相互扶助: 厳しい環境下で生きる人々にとって、旅人をもてなすことは互いに助け合う精神の表れでもあります。

女学生との関係

ガザ地区の生活に慣れ始めたリッカルドは、ガザ地区の大学の女学生に興味を持ちます。

イタリア人らしいな。と思い見ていました。

身の回りの世話をしてくれていた友人のサアディに、女学生と話す機会を貰えないかと聞くと、教授に頼んでみると返答したのですが、なんだか、その歯切れhが悪く、ぎこちない感じでした。

なんとなく、空気が変わった感じで。

確か、ガザ地区に入ってすぐに注意事項として、「女性関係に気をつけなさい」とエージェントから言われていたのを思い出しました。

調べてみると、イスラム圏での男性と女性には、複雑な宗教的背景があり、友人のサアディは戸惑ったのだと思いました。

リッカルドは、自分の発言が、女たらしのように見えたのではないかと、サアディに弁解をするシーンがありましたが、最終的には、「自分(サアディ)とリッカルドは違う人間なのだから、その違いについて詮索をするのはやめよう」と、それ以上の深掘りをやめさせました。

まとめ

この映画を見ることで、ガザ地区に興味を持つことができました。

帰宅してから、YouTubeでイスラエルとパレスチナの関係について調べ、その一筋縄ではいかない関係に驚きました。

ステレオタイプ化した情報で世界を知ったように思っている節がありましたが、やはり実際に見て、聞いたりするような、リアルな情報を追うことが大事だと感じました。

簡素な情報に無意識に踊らされてしまう現代で、どれがリアルに近い情報かどうかを見極めるのが非常に困難ですが、いろいろなチャンネルからの情報を取得することが重要なのだと感じました。

その情報の1つとして、このようなドキュメンタリー映画も役に立つものだと感じます。