第32回 国家資格キャリアコンルタント試験 学科試験 解答(問31〜35)
この記事について
令和8年7月実施の「第32回 国家資格キャリアコンサルタント試験」学科試験について、問31〜35を、初めて学ぶ人向けに解説します。
この範囲では、精神疾患の基本的な特徴、転機への対処、障害のある人の就労支援、仕事と介護の両立、カウンセラーの姿勢が問われています。問題文は公式の過去問題をご確認ください。
解説には誤りが含まれる可能性があります。医療上の判断や個別の支援は、医療・福祉等の専門職へ相談してください。
問31
正解:4
テーマ:主な精神疾患の特徴
根拠:うつ病/強迫性障害/発達障害(神経発達症)/双極性障害/統合失調症(国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」)
まず押さえること
精神疾患の特徴は、病名と代表的な症状を対応させて整理します。双極性障害では、気分や活動性が高まる躁状態と、気分・意欲が低下するうつ状態がみられます。一方、陽性症状・陰性症状という整理は、統合失調症で用いられるものです。
選択肢1:適切
うつ病では、気分の落ち込みや興味・意欲の低下に加え、集中力・判断力の低下、睡眠や食欲の変化、だるさなどが現れることがあります。心だけでなく、認知機能や身体にも影響が現れ得るという説明は適切です。
選択肢2:適切
強迫性障害では、不合理だと分かっていても考えが頭から離れない強迫観念や、不安を和らげるために確認・手洗いなどを繰り返す強迫行為がみられます。日常生活に支障が出る場合がある点も重要です。
選択肢3:適切
発達障害(神経発達症)は、生まれつきの脳機能の発達の違いにより、コミュニケーション、注意の向け方、物事の捉え方や行動のパターンなどに特徴がみられ、環境との関係で生活上の困難が生じることがあります。
選択肢4:不適切
陽性症状(幻覚・妄想など)と陰性症状(意欲低下・感情表現の減少など)の説明は、統合失調症の特徴です。双極性障害の説明としている点が誤りです。
問32
正解:4
テーマ:シュロスバーグの転機理論
根拠:JILPT「キャリア・トランジション──キャリアの転機と折り合いの付け方」
まず押さえること
シュロスバーグは、転機への対処を、次の3つの部分からなる構造として整理しました。
- 転機へのアプローチ
- 対処のための資源を活用する
- 転機に対処する
特に2では、利用できる資源を 4S(Situation:状況、Self:自己、Support:支援、Strategies:戦略)で点検します。
選択肢1:不適切
「構築・脱構築・共構築」は、社会構成主義やナラティブ・アプローチに関連する用語です。シュロスバーグが示した転機理解の3部分ではありません。
選択肢2:不適切
「分類化・対処方略の選択・総括」は、シュロスバーグの転機理論の構造ではありません。転機の種類を把握することは有用ですが、この3語の組合せは理論の定式化と一致しません。
選択肢3:不適切
転機を認知し、行動と内省を繰り返して学ぶという表現は、転機への向き合い方としては理解できます。しかし、シュロスバーグが示した3部分の名称ではありません。
選択肢4:適切
転機をまず識別し、4Sなどの資源を点検・活用し、その資源を強化しながら対処するという流れは、シュロスバーグの枠組みに沿っています。
問33
正解:4
テーマ:発達障害のある人の就職活動と自己理解
根拠:障害者職業総合センター「発達障害者の障害特性を踏まえた相談の進め方」/「就職支援ガイドブック…発達障害のあるあなたに…」
まず押さえること
就職活動では、「何ができるか」だけではなく、障害特性が仕事の場面でどう表れやすいか、どのような配慮があれば力を発揮しやすいかを具体的に整理することが大切です。過去の困りごとは、その整理の重要な材料になります。
選択肢1:適切
自分の障害や特性を理解し、自分のこととして整理できていることは、就職先や支援者と必要なことを相談する基盤になります。ここでいう「受容」は、障害を肯定的に捉えることを強いる意味ではなく、自分の特性や職業上の課題を把握することと考えます。
選択肢2:適切
自分の特性を分析し、得意なこと、負担になりやすいこと、困難が生じやすい場面を把握しておくことが望まれます。職種や働き方を検討する際にも役立ちます。
選択肢3:適切
必要な配慮を具体的に伝えられるよう準備することが重要です。たとえば、指示を文書でも示してほしい、業務の優先順位を明確にしてほしい、といった形で、困りごとと必要な対応を結び付けて伝えます。
選択肢4:不適切
過去の職場での困りごとは、振り返らないのではなく、丁寧に振り返ります。どのような場面で何が起き、どのような配慮や工夫があればよかったかを整理することで、次の職場選びや合理的配慮の相談に生かせます。
問34
正解:4
出典:厚生労働省「仕事と介護両立のポイント」
根拠:厚生労働省「仕事と介護両立のポイント あなたが介護離職しないために」
詳しい解説:仕事と介護を両立するための基礎知識―介護離職を防ぐ制度と相談先
まず押さえること
仕事と介護の両立では、介護を一人で抱え込まず、勤務先の両立支援制度、介護保険サービス、ケアマネジャーなどを活用します。介護者自身の生活・健康と自分の時間を守ることも、長く両立するために必要です。
選択肢1:不適切
できる限り自分だけで介護に専念することが望ましいわけではありません。介護保険サービスや職場の制度を利用し、働き方を必要に応じて調整することで、仕事を続けながら介護することが目指されます。
選択肢2:不適切
厚生労働省の資料は、職場に介護を行っていることを伝え、必要に応じて両立支援制度を利用することをポイントに挙げています。事情を共有することで、休暇や業務調整について協力を得やすくなります。
選択肢3:不適切
ケアマネジャーには、要介護者へのサービスだけでなく、介護者本人の悩みや不安も相談できます。介護者の働き方や希望も、ケアプランを考える上で重要な情報です。
選択肢4:適切
介護を深刻に捉えすぎず、自分の時間を確保し、介護者自身の生活や健康を大切にすることは、資料で示されている両立のポイントです。支援制度や周囲の力を借りることが前提になります。
問35
正解:2
テーマ:良いカウンセラーの条件
根拠:厚生労働省「キャリアコンサルティング技能検定に係る能力評価基準」/日本産業カウンセラー協会「傾聴とは」
まず押さえること
カウンセリングでは、クライエントの話を受容的・共感的に聴きながら、自己理解を促すために必要な質問や働きかけを行います。キャリアコンサルティングでは、最終的な意思決定は相談者自身が行うという前提を共有することも重要です。
選択肢1:不適切
カウンセラーが結論を決め、その結論へクライエントを導くことは、自己決定の尊重と両立しません。情報提供や選択肢の整理は行いますが、最終的な選択の主体はクライエントです。
選択肢2:適切
公式正答は選択肢2です。ここでいう「毅然とした態度」は、叱責や価値観の押し付けではなく、クライエントへの敬意を保ちながら、伝える必要があることを曖昧にしない姿勢と捉えます。
選択肢3:不適切
傾聴は重要ですが、質問を全くしないことと同じではありません。適切な質問は、状況、感情、考え、希望を具体化し、クライエント自身の理解を深める助けになります。
選択肢4:不適切
説教や感情的な議論は、クライエントとの信頼関係を損ない、支援者の価値観の押し付けにもつながります。理解と協働を土台に、必要な事項を落ち着いて扱う姿勢が求められます。
参考資料
- 第32回 学科試験問題(キャリアコンサルティング協議会)
- 第32回 学科試験正答表(キャリアコンサルティング協議会)
- うつ病(国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」)
- 強迫性障害(国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」)
- 発達障害(神経発達症)(国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」)
- 双極性障害(国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」)
- 統合失調症(国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」)
- JILPT「キャリア・トランジション──キャリアの転機と折り合いの付け方」
- 障害者職業総合センター「発達障害者の障害特性を踏まえた相談の進め方」
- 障害者職業総合センター「就職支援ガイドブック…発達障害のあるあなたに…」
- 厚生労働省「仕事と介護両立のポイント あなたが介護離職しないために」
- 厚生労働省「キャリアコンサルティング技能検定に係る能力評価基準」
- 日本産業カウンセラー協会「傾聴とは」
国家試験 第32回 解説リンク集
この記事が良いと思ったら
↓❤️クリックをお願いいます。ブログ運営の励みになります。




