レヴィンは国キャリでは、「マージナルマン」という単語と一緒に出題されることが多いですが、理論としては、主に「場の理論」と「組織変革の三段階モデル」があります。

場の理論(Field Theory)

レヴィンは、人の行動は「個人の特性(P)」と「環境(E)」の相互作用によるものと考え、これを数式で表現したのが「B=f(P, E)」です。

彼は、「場(Field)」という概念により、人の行動はこの両者の関係性によって決まるとしました。

つまり、環境と個人の力関係が変わることで行動も変化するという点を重視します。​

イノベーション・変化の三段階モデル

レヴィンは、社会や組織の変革には三つのステップが必要だと提唱しました。​

  • 解凍(Unfreezing)
    現状の状態や価値観を壊し、変化に向けて準備を整える段階。既存の構造や考え方を解きほぐすプロセスです。​
  • 変革(Change)
    新しい方法や価値観を導入し、行動や組織の変化を実現する段階です。​
  • 再凍結(Refreezing)
    新たに変化した状態や行動を安定させ、定着させる段階です。​

マージナルマン

マージナルマンとは、二つ以上の集団や文化の「はざま」にいて、どちらにもはっきり属しきれていない人を指す概念で、日本語では「境界人・周辺人」と訳されます。​

概念の意味

マージナルマンは、複数の社会集団・文化の境界線上に位置し、両方に関わりながらも完全にはどちらにも同一化していない存在と定義されます。​
そのため、しばしば「内的動揺」「強い自意識」「帰属感の希薄さ」といった心理的特徴を伴うとされています。​

レヴィンによる青年期への適用

もともとのマージナルマン概念はパークらが移民など文化のはざまにいる人を説明するために用いた社会学的概念でした。​
クルト・レヴィンはこれを発達の観点に持ち込み、青年を「子どもの集団にも大人の集団にも属さない中間的な存在=周辺人・境界人」と捉えました。​

青年期との関係

レヴィンによれば、青年は子どもから大人へ移行する過渡期にあり、どちらの世界の影響も受けながら、いずれにも安定して属していない社会的位置に置かれます。​
この不安定さゆえに、青年はアイデンティティの模索と葛藤を強く経験しやすいとされ、マージナルマンは青年期の否定的・葛藤的側面を強調した概念として説明されます。​

モラトリアムとの違い(エリクソン)

エリクソンのモラトリアムは、義務や役割を一時猶予されることで、青年が試行錯誤しながら自己を探求できる「猶予期間」を肯定的に捉える概念です。​
これに対し、レヴィンのマージナルマンは、どちらにもちゃんと足場を持てない「いつまでも境界にとどまる危険」を指摘するなど、不安定さ・危機性に焦点がある点が異なります。​

現代的な応用イメージ

現代では、異文化間にいる帰国子女・移民二世、多重キャリアを持つ人、組織内で部門間をまたぐ越境人材なども、広い意味でマージナルマンとして語られることがあります。​
その一方で、境界に立つ経験が、複数の視点を持つ力やブリッジ役としての強みにつながるというポジティブな捉え方も提示されています。

グループダイナミクス

グループダイナミクスとは、心理学者クルト・レヴィンが提唱した「集団力学」に関する理論で、集団内の個人の行動や思考は集団からの影響を受け、その個人の考えや行動もまた集団に影響を与えるという相互作用の考え方を指します。​

具体的には、集団に属するメンバー間の相互作用や影響関係が、個々の意識や行動を変化させ、集団全体の雰囲気や意思決定、パフォーマンスに影響を及ぼすことを説明します。

例えば、リーダーの存在やチーム内の意見の共有がチームの連帯感や成果を左右するメカニズムが含まれます。​

この理論は、経済学、教育、ビジネスなど多様な分野で基盤となっており、グループ内での圧力や期待によって個人の行動が誘導されることも示しています。

注意点として、集団浅慮(グループシンク)や集団内の意見の偏り(グループシフト)、意見対立(コンフリクト)などの現象もグループダイナミクスの一部として重要視されています。​

まとめ

グループダイナミクスは、個人と集団がお互いに影響し合いながら集団としての行動や意思決定を形成していく過程や力学を説明する理論であり、組織や教育、チーム運営で人間関係や行動を理解・活用する上で重要です。

Tグループ

Tグループとは「トレーニンググループ」の略称で、1946年に心理学者クルト・レヴィンらが発案した、自己理解や他者理解、リーダーシップ、グループダイナミクスに関する気づきを得るための体験学習の手法です。​

特徴

あらかじめ話し合うテーマを設定せず、参加者が自由に「今、ここで」起きている心の動きや人間関係のプロセスに注目しながら対話を重ねる点にあります。

これにより、参加者は自己と他者の行動や内面を深く理解し、信頼関係を築きながら人間的成長を促します。​

研修は通常、10人程度のグループで数日間合宿形式で行われ、参加者同士が率直な意見交換やロールプレイングを通して、自己の役割や影響力に気づき、リーダーシップやコミュニケーション能力の向上を目指します。

もともとは福祉職や管理職のための感受性訓練として開発され、現在は教育者やカウンセラー、コーチなど対人関係の専門職にも活用されています。​

まとめ

Tグループとは人間関係の「場」を体験的に学び、自分と他者との関係を言語化しながら自己成長やリーダーシップを高めるためのグループ・トレーニングの方法です。