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プロティアンキャリアに必要な2つのメタ・コンピテンシー
プロティアンキャリア(Protean Career)を提唱したダグラス・T・ホールによれば、このキャリアを形成・発展させるうえで不可欠な2つの「メタコンピテンシー(超越的能力)」があります。
1. アイデンティティ(Identity)
- 意味
自分が何者であるか、何を大切にしているか、どんな価値観や目標を持っているかを深く理解し、自己概念を明確に持つ力です。 - 特徴
他者や組織の期待に左右されず、自分自身の価値観や興味・目標に基づいてキャリアをデザインすることが重視されます。
2. アダプタビリティ(Adaptability)
- 意味
時代や環境の変化に柔軟に対応し、学び続けながら自分を変化させていく能力です。 - 特徴
新しい状況や技術、職場環境の変化などに対して素早く適応できる力であり、「適応コンピテンス」と「適応モチベーション」の両方が含まれます。
プロティアンキャリアにおけるアダプタビリティ(Adaptability)は、「変化適応力」や「順応力」と訳され、急速に変化する現代社会や職場環境において、自分自身を柔軟に変化させ、価値を提供し続けるための中核的な能力です。
アダプタビリティの構成要素
アダプタビリティは、以下の2つの要素の掛け合わせで成り立っています。
- 適応コンピテンス(Adaptability Competence)
- 適応モチベーション(Adaptability Motivation)
1. 適応コンピテンス
適応コンピテンスは、変化に対応するための具体的な行動能力で、さらに次の3つのサブ要素から構成されます。
- アイデンティティの探索
自分の価値観や能力、興味などを深く理解しようとする継続的な努力。 - 反応学習
環境の変化や新しい状況に気づき、役割や行動を柔軟に変化・発展させる学習力。 - 統合力
自分の行動とアイデンティティ(自分らしさ)を矛盾なく一致させ、変化に適切に対応する力。
2. 適応モチベーション
適応モチベーションは、適応コンピテンスを発揮・発展させようとする意欲や意思を指します。変化に直面したときに、積極的に学び、行動し続けるための内的な動機付けです。
プロティアンキャリアにおけるアダプタビリティの特徴
- 自己主導的であること
組織や他者からの指示ではなく、自分自身の価値観や目標に基づいてキャリアを形成し、変化に適応する姿勢が重視されます。 - 学び続ける力
新しい知識やスキルを積極的に吸収し、自己成長を続けることが求められます。 - 柔軟性と挑戦心
未知の領域や新しい環境に臆せず挑戦し、失敗からも学ぶ姿勢が重要です。 - 市場価値の重視
組織内だけでなく、社外や労働市場全体で通用する能力や価値を高めることが期待されます。
まとめ
メタコンピテンシー | 内容の要点 |
---|---|
アイデンティティ | 自己理解・価値観・自己概念の明確化 |
アダプタビリティ | 変化への柔軟な適応力・学習力 |
この2つのメタコンピテンシーを高めることで、個人は自律的かつ柔軟にキャリアを切り拓き、変化の激しい現代社会でも「自分らしいキャリア=プロティアンキャリア」を築くことができるとされています。