Contents
この本を進めたい人
- なぜ食べたくなるのか?など、自分の食欲について知りたい人
- 何を食べたら良いか知りたい人
- 食品メーカー、添加物の闇を知りたい人
におすすめできます。
特に食欲に関しては論理的にわかりやすく説明されているのでおすすめです。
この本から得られる知識
- 食べるという行動の真相
- 超加工食品、添加物の恐ろしさ
たくさんの学びのある本ですが、自分の中の印象ではこの2点です。
非常にこれからの生活に役立つ知識でした。
著者のプロフィール
※「科学者たちが語る食欲」から引用
デイヴィッド・ローベンハイマー
シドニー大学生命環境科学部栄養生態学教授
チャールズ・パーキンス・センター栄養研究リーダー
オックスフォード大学で研究員および専任講師を10年間務め、世界中の大学や会議で講演を行なっている。
スティーヴン・J・シンプソン
シドニー大学生命環境科学部教授
チャールズ・パーキンス・センター学術リーダー
主な受賞歴に王立昆虫学会ウィグルスメダル、オーストラリア博物館ユーカリ賞、ロンドン王立協会賞、オーストラリア勲章第2位など。
イギリスやオーストラリアのメディアやテレビにたびたび取り上げられている。
「科学者たちがかたる食欲」の概要
人間はタンパク質ファーストで栄養を摂取するように動く
人間はもともと、体に必要な栄養素を必要なだけ摂取できるようにプログラムされていて、それを空腹と満腹という食欲によってコントロールしています。
この世界には無数の栄養素がありますが、その中でも必要となる栄養素について食欲が湧くように設定されていて、その栄養素が規定値まで摂取できるまで食欲は収まりません。
人間は、タンパク質、炭水化物、脂肪、ナトリウム、カルシウムの5つの栄養素に食欲があるようです。
これらの栄養素がバランスよく含まれている食べ物が豊富にあるという状況下であれば、人に必要な最適な量を摂取できるようです。
ただし、摂取できる食べ物の栄養含有量に偏りがある場合、人はタンパク質を最優先として摂食します。
つまり、タンパク質が規定値を超えるまで食べ続けるということです。
詳しくは別記事で書いていますので、もう少し詳しくみたい方は下記の記事を読んでください。
あなたの食欲はコントロールされている
これらの論理では、食べ過の原因は、低タンパク質食にあるということになります。
言い方を変えれば、人間の食べる容量は提供するタンパク質の量でコントロールできるということになります。
身の回りの加工食品は、低タンパク質の食べ物が多いです。
なぜでしょうか?
食欲が満たされないからです。満たされなければ、さらに食べます。
タンパク質を満たすように食べるのですが、手に取った食品にタンパク質が少なければ必然的に食べ過ぎてしまうのです。
これについても別記事で詳しく書いています。
超加工食品を避けるべき理由
低タンパク質の食品が身の回りに多いのは、食品メーカーがそのように作っているからです。
なぜ、そのように作られるのか?というと、
売れるからです。
シンプルですよね。そして、より安く、より依存傾向の高い食品を提供しようとすれば、必然的に加工という選択肢が選ばれます。
そうして、今の食環境は加工食品で溢れるようになったということです。
加工食品といっても色々ありますが、その加工の方法によって1から4までのグループに分けられます。
その中のグループ4に該当するのが、超加工食品と言われます。
これは、ペンキなどと同じ「工場製品」に該当し、簡単にいうとペンキなどに使う同じ添加物が使われていたりするようです。
ただし、同じ添加物だからといって、一概に体に悪いとも言えず、悪いものもある。という方が正しいかもしれません。ただ、健康被害は今のところ分からない。というような物質も多いようです。
しかも「香料」などは、食品表示に「香料」以外の記載義務は無いため、何が添加されているのかブラックボックスになります。
ただでさえ、現環境で添加物を避けるのは至難の業であるのに、表示がされないのであれば、取りたくない添加物を避けるという行動のハードルはさらに上がりますよね。
アメリカでは食べ物の約50%以上超加工食品が占めているようです。
欧米食が主流となっている日本も同様の数字であることが予想できます。
これから、わかることは、現代人は環境によって太らされている。ということです。
まるで、牛や豚の家畜と同じようにも感じます。
この本はこのような環境についてアンチテーゼを投げかけています。
超加工食品についてこの記事を参照してください
タンパク質を多く取れば寿命が縮まる
ここまで、タンパク質が大事だと伝えてきたので、それなタンパク質だけ食べよう。という思考になると思います。
しかし、その思考は長い目で見ると危険かもしれません。
それは、タンパク質と炭水化物の比率によって、寿命の長短が決まってしまう可能性があるからです。
マウス実験では、高タンパク質・低炭水化物を摂取させたマウスは、低タンパク質・高炭水化物を摂取させたマウスより短命であったとの研究結果が出ています。
人間でも長寿の人の多くは低タンパク質・高炭水化物であったといいます。
逆に繁殖という部分に着目すると、高タンパク質・低炭水化物が良いみたいです。
また、適正タンパク質比率は年齢や、体の状況により若干変化します。
乳児は、7%程度の低タンパク質、10代から30代は15%から20%、40代から60代は15%、65歳以上は20%が良いみたいです。
妊婦は20%程度の高タンパク質食が推奨されています。
まとめ
今回読んだ「科学者たちが語る食欲」は非常に興味深いテーマの書籍でしっかりと実験データに基づいて書かれているので勉強になりました。
食べるという行動を自分でコントロールするためにも、読んでおく必要のある1冊であると感じます。
多くの人に読んでほしいと思います。
実験結果だけでなく、実験過程の困難などの描写もあり、今ここに出ているデータはたくさんの科学者の血と汗の結晶なのだと感じました。気の遠くなるような実験、過酷な環境での観察。それら過程があって導き出されたものだということに深く感謝しなければなりません。
さらに、人間の繁栄のために多くの動物が犠牲になっているということも知りました。知ってはいたのですが、その部分に焦点をあてて考えたことはありませんでした。
その犠牲の上に成り立っているのが現代の人類だということを一人一人が認識し犠牲になっていった命に感謝の気持ちを持たなければならないのだと感じます。
ダイエットという過程から、食べ過ぎてしまうということに悩み、なぜ食欲が満たされないのか。ということに興味を持ち、食欲をテーマにした書籍を探したところで、この本に辿り着きました。
本当に良い出会いであったと思います。
今回記事にした内容は極一部の内容であり、このほかに沢山、有益な情報がわかりやすく書かれています。
ですので、興味をもった方がいれば是非、本書を手にとって読んでみることをお勧めします。
最後まで、お付き合いいただきありがとうございました。