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【読書感想】告白

この記事について

2024・12・6読了しました「告白」の読書感想です。

媒体はオーディオブック(オーディブル)です。

ナレーターは、映画「告白」で美月役を演じていた、橋本愛さんです。

あらすじ

中学教師の森口悠子は、一人娘を生徒に殺されたことを知り、復讐を決意します。

最後のホームルームで、犯人である少年たちへの復讐を告白し、それがクラス全体を混乱と崩壊に導きます。物語は複数の視点で進行し、登場人物たちの心理や過去が明かされ、復讐の連鎖と人間の弱さが浮き彫りになります。

「告白」は罪、罰、赦しについて深く問いかける心理サスペンスです。

感想

冒頭、担任の森口の一人娘が殺される描写が出てきます。

殺される過程が予想できる展開なだけに、聴いていて辛くなります。

無垢な子供が殺されるというシーンは、本当に辛く、聴くに耐えられませんでした。

もう、聴くのをやめてしまおうかと思いましたが、読者からの感想がとても良かったこともあり、なんとか聞き進めることができました。

この作品は第1章から第6章の構成になっています。

各章ごとは、この事件に関わった人間のそれぞれの視点から書かれていて、事件がどのようにその人に影響を与えたかが書かれています。

本当に色々な人が、色々な思惑で行動をするんだなと興味深く聞けました。

昨今、問題となっている少年犯罪、モンスターペアレント、毒親という要素を絡め、罪に対する罰をテーマに物語が進んでいきます。

人はどのようにして罪に対する罰を受けるべきなのか。

罪は法律(社会)で裁けるのだろうか。裁くべきものなのだろうか。

その裁きは、誰のなんのためのものなのだろうか。

そんなことを考えさせられる作品でした。

承認欲求

この作品の登場人物の多くは承認欲求の沼にハマっているように思います。

「認めてもらいたい」という一心に、自己の行動の選択をしています。

例えば、自分の子供を1番だと思う親(直樹の母)は、直樹を自分と重ね、直樹が評価されることで自分の承認欲求を満たしていました。

そして、直樹はそれを愛であると勘違いしていて、その歪な愛情の形が異常に思えましたが、一度自分に置き換えると、無意識に直樹の母のように、自分の子供に振る舞っていたこともあると思わされました。

そのほかにも、直樹の承認欲求なども心当たりのあるもので、決して他人事では無いように思えます。

罪と罰

森口が少年2人の罪を法で裁くのではなく、自ら裁くことに決め、自らの方法で罰を与えたことにより、波紋のように、その罰が広がります。

ここで考えるのは、罪を裁くということについてです。

犯した罪について、罰はどの立場で与えられるべきなのだろうかと考えさせられます。

被害者からすれば、当然、「目には目を」という考え方をするのが普通でしょう。しかし、これから、罪を犯したものが社会復帰を前提に考える社会において、「目には目を」という罰の形が良いとも言えないのは理解できます。

罪と罰について、一般的にルールとしてしか考えていませんでしたが、この作品を読むことで、罪と罰の存在意義に焦点を当てて考えることが必要だと思うことができました。

この問題に対しては、自分の今ある知識だけでは当然完結はしないし、偏った考えしかないような気がしますので、その辺りを考え抜いた哲人の意見などを聞いてみたいなと思いました。

読む気はなかったのですが、ドストエフスキーの「罪と罰」は読まなければいけなくなりました。

まとめ

映画の「告白」は知っていたのですが、見たいと思っていたきり、見ていなくてすっかり忘れていました。今回、この作品を聴き終わって、それが、その時見たかった「告白」であると知りました。

この作品を聞いて、罪と罰の人間の認識について調べてみたいなと思いました。

こうやって、読書をしていると調べたいことが数珠繋ぎのように増え、何から手をつけたら良いかわからなくなります。

少し調べたら、また、次のものに興味が湧き、そちらへ移るつということを繰り返していて、一向に一つのものを深掘りすることは出来ていません。

オーディブルで「罪と罰」が見つかったのですが、なんと43時間の超長編でびっくり。

これに手をつけ、年内中に読む(聴く)か迷います。