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裁量労働制の2種類(専門業務型・企画業務型)と高度プロフェッショナル制度の違い

この記事について

裁量労働制の2種類(専門業務型・企画業務型)と高度プロフェッショナル制度って、ごちゃごちゃになりませんか?

復習のため、3つをまとめました。

本人同意や、休日、時間外割増賃金、労使関係や、対象業務などを対比的に問われる問題がありますので、整理しておきましょう。

対比は、「専門業務・企画業務」と「企画業務・高プロ」というセットで問われることが多いです。

裁量労働制の2種類(専門業務型・企画業務型)と高度プロフェッショナル制度の違い

裁量労働制の2種類(専門業務型・企画業務型)と高度プロフェッショナル制度の違いについて、特に本人同意や労使関係の観点も含めて比較します。

1. 裁量労働制の2種

専門業務型裁量労働制企画業務型裁量労働制
適用対象特定の専門的職種(例:研究開発、SE、記者、デザイナー等)企業の中枢部門での企画・立案・調査・分析業務
適用手続き労使協定の締結労使委員会の決議と届出
本人同意基本的に不要だが、同意を求める場合もある(企業の運用による)本人同意が必要で、不同意の場合は適用不可。同意の撤回も可能で不利益取扱い禁止
労働時間管理労使で定めた「みなし労働時間」制(実労働時間でなく)同左(みなし労働時間)
時間外・休日・深夜手当みなし労働時間を超える分には支給される同左

2. 高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度
適用対象高度な専門知識を持ち、年収1,075万円(2025年時点)以上等の要件を満たす限定的職種(コンサル、金融ディーラーなど)
適用手続き労使委員会の決議と届出
本人同意必須。書面による個別同意が必要で、同意しなければ適用不可。撤回自由・不利益取扱い禁止
労働時間管理労働時間、休憩、休日などの労基法規定が適用除外。実質的に“時間規制なし”
時間外・休日・深夜手当不要(成果主義の賃金体系)
健康確保措置使用者による健康管理時間の把握や休日確保などが義務付けられる

3. 本人同意・労使関係上の違い

  • 本人同意の扱い
    • 【専門業務型】:法律上は明確な義務なし(ただし運用や企業方針により同意取得も)。
    • 【企画業務型】:本人同意が法的に義務付けられ、撤回可・不利益取扱い禁止。同意の明示内容も決議で定める。
    • 【高度プロフェッショナル制度】:同意必須。書面取得と詳細事項(制度概要、労使委員会決議の内容等)の明示が義務。不利益取扱い禁止&撤回可能。
  • 労使関係・決議手続き等
    • 【専門業務型】:労使協定の締結が必要。
    • 【企画業務型・高度プロフェッショナル制度】:いずれも「労使委員会の決議」と「労働基準監督署への届出」が必須。制度内容や健康措置なども協議対象に。

まとめ表

制度適用業務適用手続き本人同意労働時間規制労使関係・委員会
専門業務型裁量労働制専門職種労使協定法律上不要(企業判断で求める場合あり)みなし制労使協定
企画業務型裁量労働制企画・立案業務労使委員会の決議・届出必須、撤回自由・不利益禁止みなし制労使委員会
高度プロフェッショナル制度高度専門職・年収要件労使委員会の決議・届出必須、撤回自由・不利益禁止規制除外労使委員会

要点:

  • 本人の事前同意が必須なのは「企画業務型」と「高度プロフェッショナル制度」。
  • いずれも労使委員会決議があり、同意の取得・撤回や不利益取扱いの禁止が求められることが特徴です。
  • 高度プロフェッショナル制度は労働時間管理そのものが不要で成果主義が強調されます。

このように本人同意の重要性と労使委員会をベースとした運用体制の厳格さが、両者で特に違いとなります。

高度プロフェッショナル制度と「休日規定」

高度プロフェッショナル制度では、労働基準法に定める「休日規定」は適用されません

つまり、通常の法定休日(毎週1回または4週に4回)や割増賃金のルールは除外されます。

ただし、まったく休日がなくなるわけではありません。

年間104日以上、かつ、4週間で4日以上の「休日確保措置」を使用者が必ず講じることが法律で義務付けられています。

これは一般の休日規制とは異なる、高プロ独自の規定です。

要点:

  • 労働基準法上の「休日規定」(第35条など)は対象外(適用除外)。
  • その代わり、企業は「年間104日以上、4週で4日以上」の休日を必ず付与。
  • この休日には割増賃金の支払い義務もありません。
  • 休日の取得方法や手続きも決議等で明確に定める必要があります。

したがって、法定休日の規制は適用されませんが、労働者の健康確保のため独自の休日措置が義務となっている、というのが高度プロフェッショナル制度の仕組みです。

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