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「第11次職業能力開発基本計画」
「第11次職業能力開発基本計画」は、労働者に求められる能力の急速な変化と職業人生の長期化・多様化に対応するため、企業の人材育成支援と労働者の自律的なキャリア形成支援を目的とした5年間の計画(令和3年度~令和7年度)です。
この計画は、経済・社会環境の変化とそれに伴う課題を背景にしています。
労働市場では新型コロナウイルス感染症の影響や求職者の増加が見られ、産業構造のサービス経済化やSociety 5.0、DXの加速化により、IT人材の需要増加や定型業務の減少、医療・福祉分野の就業者割合の増加が予測されています。
しかし、我が国の教育訓練費は主要国と比較して少なく、非正規雇用労働者の能力開発機会が不足している点が課題です。
労働供給側では、少子化の進行により労働生産性の向上が不可欠であり、高齢者の就業意欲の高さや女性の就業率の上昇が見られるものの、女性の潜在的な労働力活用には改善の余地があります。
勤続年数の長期化や転職者の増加、非正規雇用労働者の増加といった変化の中で、障害者や就職氷河期世代、ニート、外国人労働者など、特別な支援を要する人々への対応も求められています。
自己啓発においては、時間や費用の制約、適切なコースが不明であるといった課題が指摘されています。
これらの課題に対し、計画では以下の4つの方向性と基本的施策を掲げています。
4つの方向性と基本的施策
産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進
- IT人材の育成強化
教育訓練給付制度のIT分野講座の充実、人材開発支援助成金の活用、公的職業訓練でのIT関連コースの推進など。 - ITや新たな技術を活用した職業訓練等の推進
オンライン訓練の活用推進、AR・VR技術の導入など。 - 企業・業界における人材育成の強化
人材開発支援助成金による訓練促進、生産性向上人材育成支援センターによる支援など。
労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援
- キャリアコンサルティングの推進
キャリア形成サポートセンターの整備、ジョブ・カードの普及推進、キャリアコンサルタントの実践力向上など。 - 自律的・主体的な学びの支援
IT利活用等の学習動画の公開、教育訓練給付対象講座の充実、教育訓練休暇制度の普及促進など。
労働市場インフラの強化
- 中長期の人材ニーズを踏まえた人材育成戦略の策定。
- 産業界や地域のニーズを踏まえた公的職業訓練等の実施。
- 技能検定・職業能力評価や日本版O-NETの推進。
- ジョブ・カードの活用促進とデジタル化。
- 職業能力開発施策に関する情報発信の強化。
全員参加型社会の実現に向けた職業能力開発の推進
- 非正規雇用労働者の職業能力開発支援
キャリアコンサルティングや訓練の実施、助成金活用促進など。 - 女性の職業能力開発支援
マザーズハローワークでのキャリアコンサルティング、介護・医療・IT分野での訓練コース設定など。 - 若者の職業能力開発支援
キャリア教育の推進、キャリアコンサルティング機会の確保、ニート・高校中退者等の支援など。 - 中高年齢者の職業能力開発支援
キャリアコンサルティング機会の提供、人材開発支援助成金による助成など。 - 障害者の職業能力開発支援
障害者職業能力開発校での訓練、公共職業能力開発施設での環境整備など。 - 就職やキャリアアップに特別な支援を要する方への支援
就職氷河期世代や外国人労働者等への支援。
その他、技能継承の促進(ものづくりマイスターによる技能伝承、技能競技大会の実施など)や職業能力開発分野の国際連携・協力の推進(技能評価システムの開発途上国への移転、技能実習生の保護など)も含まれています。