感情的アプローチ
- 特徴
感情の役割を重視し、「人は自分の感情に真に触れれば、自己実現できる」と考える。 - 目的
クライエントが自分の感情を深く理解し、自由に表現できるよう支援する。 - 代表的理論・技法
- ロジャーズの「来談者中心カウンセリング」(無条件の肯定的関心・共感的理解・自己一致)
- 精神分析(フロイト)
- ゲシュタルト療法
- フォーカシング
- ポイント
「今ここ」に集中し、自己や価値観への気づきを促す。カウンセラーとクライエントの人間関係の質も重視する。
認知的アプローチ
- 特徴
人の感情や行動は「思考(認知)」によって影響されると考える。 - 目的
非現実的・否定的な思考パターンや信念(ビリーフ)を現実的・建設的なものに修正することで、感情や行動の問題を改善する。 - 代表的理論・技法
- エリスの「論理療法」(ABCDE理論)
- ベックの「認知療法」(自動思考・スキーマ・認知の歪み)
- グラッサーの「現実療法」
- ポイント
問題の原因は出来事そのものではなく、その受け止め方や信念にあると考え、思考の修正を通じて問題解決を図る。
行動的アプローチ
- 特徴
行動は学習の結果であり、観察可能な行動の変容を目指す。 - 目的
問題行動の除去や適応行動の習得など、具体的な行動変容を促す。 - 代表的理論・技法
- パブロフの「レスポンデント条件づけ」
- スキナーの「オペラント条件づけ」
- ウォルピの「系統的脱感作法」
- アサーション・トレーニング
- ポイント
学習理論に基づき、行動の分析・目標設定・計画・実践を通して行動を変える。刺激と反応の関係(S-R理論)や強化・罰などの手法を用いる。
比較表
アプローチ名 | 重視するもの | 代表的理論・技法 | 目的・特徴 |
---|---|---|---|
感情的 | 感情・体験 | 来談者中心カウンセリング | 感情の理解・表現、自己実現 |
認知的 | 思考・信念 | 論理療法、認知療法 | 思考の修正による感情・行動の改善 |
行動的 | 行動・学習 | 行動療法、条件づけ | 行動の変容、問題行動の除去・適応行動の習得 |
それぞれのアプローチは、悩みや課題の性質に応じて使い分けられます。感情、思考、行動のどこに焦点を当てるかが最大の違いです。