この記事について
就業規則についての出題は、それなりに多いイメージです。
勉強していると、絶対的と相対的の違いや、労働契約時の記載事項と就業規則の部分がごちゃごちゃになってしまいます。
また、なぜ最低賃金は絶対的必要記載事項では無いのか、疑問に思ったので調べてみました。
絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項のまとめ
種類 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
絶対的必要記載事項 | 会社が就業規則を作成する際に、必ず記載しなければならない事項。制度の有無にかかわらず記載が必要。 | – 始業・終業の時刻 – 休憩時間 – 休日・休暇 – 交替制の場合の就業時転換 – 賃金の決定・計算・支払方法・締切・支払時期・昇給 – 退職・解雇の事由 |
相対的必要記載事項 | 会社が制度を設けている場合にのみ記載しなければならない事項。制度がなければ記載不要。 | – 退職手当(範囲・決定・計算・支払方法・時期) – 臨時の賃金(賞与等)・最低賃金額 – 食費・作業用品等の費用負担 – 安全衛生 – 職業訓練 – 災害補償・業務外傷病扶助 – 表彰・制裁 – その他全労働者に適用される事項(休職・出向・旅費等) |
補足解説
- 絶対的必要記載事項は、すべての就業規則に必ず盛り込まなければならない項目です。抜けていると法的に不備となります。
- 相対的必要記載事項は、会社がその制度を導入している場合にのみ記載義務が生じます。たとえば、退職金制度や独自の最低賃金制度などが該当します。制度がなければ記載不要です。
最低賃金が相対的必要記載事項である理由
最低賃金は日本全国すべての事業所・労働者に法律で強制的に適用されており、企業や事業主が「設ける・設けない」を選択できるものではありません。
最低賃金法や労働基準法により、使用者は必ず最低賃金額以上の賃金を支払う義務があり、違反した場合は契約が無効となり、差額の支払い義務や罰則もあります。
それにもかかわらず、「最低賃金」が就業規則の相対的必要記載事項とされている理由は、最低賃金法で定められた最低賃金そのものではなく、「会社が独自に最低賃金額を定める場合」に、その内容を就業規則に記載しなければならない、という意味です。
たとえば、会社が法律上の最低賃金より高い独自の「社内最低賃金」を設定した場合、その内容を就業規則に記載する義務が生じます。
したがって、法定最低賃金は全国どこでも必ず適用されますが、「就業規則に記載すべき最低賃金」は、会社が独自に制度を設けた場合のみ記載義務が発生するため、相対的必要記載事項と位置づけられています。
国の定める最低賃金を採用している場合は、記載事項とならない。
会社が独自の最低賃金(法定最低賃金を上回る社内最低賃金)を設定していなければ、就業規則に最低賃金を記載する必要はありません。
- 法律で定められた最低賃金は全国すべての事業所に自動的に適用されるため、就業規則にあえて記載する義務はありません。
- 会社が法定最低賃金より高い独自の最低賃金を設けている場合のみ、その内容を就業規則に記載する必要があります。
したがって、「最低賃金」は相対的必要記載事項とされており、独自の制度を設けていない場合は記載不要です
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