交流分析における人生脚本とは
人生脚本(Life Script)は、エリック・バーンによって提唱された交流分析(TA: Transactional Analysis)の中心概念のひとつです。
人生脚本とは、幼少期に親や周囲との関係の中で無意識に作り上げられる「人生のシナリオ」「無意識の人生計画」のことを指します。
人生脚本の成り立ち
- 幼少期、特に3~6歳頃に、子どもは親や周囲からのメッセージや体験をもとに「自分はこう生きていく」「人生はこういうものだ」といった信念や行動パターンを形成します。
- これは「生き延びるためのサバイバル読本」とも言われ、親に見捨てられないため、自分なりに最適な生き方を無意識に選択していきます。
- こうしてできた脚本は、その後の人生でも無意識に繰り返され、同じような人間関係や失敗・成功パターンを生み出します。
人生脚本の特徴
- 無意識性:多くは自覚されず、自分の意思とは別に行動や選択に影響を与えます。
- 再現性:同じような場面や結末を繰り返しやすい傾向があります(例:恋愛や仕事でいつも同じ失敗をするなど)。
- 自己強化:自分の脚本に合うような人間関係や出来事を無意識に選び、脚本の正しさを強化していきます。
人生脚本の種類
- 勝者の脚本:自己実現や成功を目指すパターン
- 敗者の脚本:失敗や自己否定を繰り返すパターン
- 平凡な脚本:大きな成功も失敗もない、安定志向のパターン
人生脚本の影響
人生脚本は「運命」や「宿命」とは異なり、幼少期の自分が作ったものであるため、大人になってからも無意識にそのパターンに従って生きてしまいます。
そのため、たとえ新たに人生設計を立てても、脚本と矛盾する場合は無意識に脚本通りの行動を選びがちです。
書き換え・修正の可能性
- 交流分析では、自分の人生脚本に気づき、必要に応じて書き換えることができると考えます。
- 不健康な脚本(例:「〇〇してはいけない」などの禁止令が強い場合)は、心理療法やカウンセリングを通じて修正し、より望ましい人生に変えていくことが目指されます。
- そのためには、まず自分の脚本パターンに気づき、どのように書き換えたいのかを具体的に考え、実際の行動を変えていくことが重要です。
まとめ
- 人生脚本は幼少期に無意識に作られる人生のシナリオであり、その後の人生に大きな影響を与える。
- 交流分析では、人生脚本を自覚し、必要に応じて書き換えることで自己実現やより良い人生を目指すことができるとされている。
- 自分の人生パターンに気づくことが、人生脚本の書き換えの第一歩となる。