人格変化の必要十分条件(ロジャーズの6条件)
カール・ロジャーズは、来談者中心療法(パーソンセンタード・セラピー)において、建設的な人格変化(パーソナリティ変化)が生じるための「必要十分条件」として、以下の6つの条件を提示しました。
これらの条件が一定期間継続して満たされることで、人格変化が確実に起こるとされています。
ロジャーズの6つの必要十分条件
- 二人の人が心理的接触をもっていること
クライエントとセラピスト(カウンセラー)が心理的に関わり合っている状態であること。 - クライエントは不一致の状態にあり、傷つきやすく不安な状態にあること
クライエントが自己概念と経験の間にズレ(不一致)があり、心理的な脆弱さや不安を感じていること。 - セラピストはその関係の中で自己一致していること
セラピストが自分自身と調和し、偽りなく、ありのままの自分でクライエントと向き合っていること。 - セラピストはクライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験していること
クライエントを評価や条件づけなしに、ありのまま受け入れ、尊重していること。 - セラピストはクライエントの内的照合枠に共感的理解を示し、それを伝えようと努めていること
クライエントの世界や感情を、その人の立場から深く理解しようとし、その理解をクライエントに伝えようとすること。 - セラピストの共感的理解と無条件の肯定的配慮が、最低限クライエントに伝わっていること
セラピストの態度や理解が、クライエントに十分に伝わっていること。
補足
- 上記の6条件が「必要十分条件」とされるのは、「この6つがすべて満たされれば、他のいかなる条件も不要であり、人格変化が生じる」とロジャーズが理論的に主張したためです。
- 特に3~5の「自己一致」「無条件の肯定的配慮」「共感的理解」は、セラピストの基本的態度として重要視され、来談者中心療法の中核条件(コア・コンディション)とも呼ばれています。
まとめ
人格変化の必要十分条件とは、ロジャーズが提唱した「6つの条件」を指し、これらが一定期間満たされることで、クライエントに建設的な人格変化が生じるとされています。