過去問関係

第32回 キャリアコンサルティング技能検定 2級学科試験 解答(問1〜5)

この記事について

第32回 キャリアコンサルティング技能検定 2級学科試験 回答解説を作成しました。

解答は出ていますが、解説がなかったので、自分で解答解説作成しています。

解答は自分で調べたので、間違いがあるかもしれません。
間違え等を見つけた場合は、お知らせください。

1記事5問ずつアップしていこうと思います。

問1

正解は4

選択肢1:誤り 

R4は1番多いのは「金融業,保険業」、R5は「通信業」

選択肢2:誤り 

R4年齢別にみると、20 歳以上では、
「20~29 歳」(41.6%)
「30~39 歳」(39.5%)
「40~49 歳」(35.6%)
「50~59 歳」(29.1%)
「60 歳以上」(22.1%)

R5年齢別にみると、20歳以上では、
「20~29歳」(41.7%)
「30~39歳」(41.6%)
「40~49歳」(35.1%)
「50~59歳」(29.1%)
「60歳以上」(23.1%)
年齢階級が 高くなるほど実施率が低くなっている。

選択肢3:誤り 

男性の方が高い
令和4年度は、正社員の自己啓発における問題点の内訳を男女別でみると、
男性では
「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(64.3%)
「費用がかかりすぎる」(26.8%)
「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」( 22.8%)
の順に高く、女性では
「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(52.2%)
「家事・育児が 忙しくて自己啓発の余裕がない」(39.0%)
「費用がかかりすぎる」(29.5%)
と続いている。 

令和5年度は、正社員の自己啓発における問題点の内訳を男女別でみると、男性では
「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(63.7%)
「費用がかかりすぎる」 (30.3%)
「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」 (21.3%)
の順に高く、女性では
「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」 (48.9%)
「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」(37.5%)
「費用がかか りすぎる」(29.7%)と続いている。

選択肢4:正しい

自己啓発に対する支援の内容としては、
「受講料などの金銭的援助」(正社員 75.9%、正社員以外60.5%)
が最多となっており、
「教育訓練休暇(有給、無給の両 方を含む)の付与」(正社員19.2%、正社員以外15.5%)は少なくなっている。 

問2

正解は3

選択肢1:適切

キャリアコンサルタントは、個人と企業双方のキャリア観の変化や心理・行動面での揺れを捉え、”働くことについての相談相手”として機能することが求められています。

選択肢2:適切

キャリアプランの再設計や新たな学び・学び直しの動機付けにつながる適切な助言・指導を行うことは、キャリアコンサルタントの重要な専門性の一つです。

選択肢3:最も不適切

若年者と中高年齢者に対して異なるアプローチを一律に適用することは適切ではありません。個々の状況や需要に応じた柔軟な支援が必要です。

選択肢4:適切

キャリアコンサルタントは、個人の職業的発達段階の過程において、”かかりつけ医”のような存在となることが期待されています。これは、継続的かつ包括的な支援の重要性を示しています。

問3

正解は3

レオン(Leong, F.T.L.)
選択肢1:不適切

レオンは実際には、アジア系アメリカ人のキャリア発達に注目し、人種的・民族的なキャリア観の違いが個人の社会生活に大きな影響を与えると主張しています。彼の研究は、文化的要因がキャリア発達に与える影響を重視しています。

ブルースティン(Blustein, D.L.)
選択肢2:不適切

ブルースティンは「異文化キャリアアセスメント論」を提唱していません。実際には、「忘れられた半分の声」(Voices of the ‘Forgotten Half’)という概念を提唱し、社会的に恵まれない立場にある人々のキャリア発達に注目しました。
「異文化キャリアアセスメント論」を提唱した理論家は、ナディア・フアド(Fouad, N.)です。フアドは、従来のキャリアアセスメントツールが暗黙にアメリカ白人の主流文化を前提としていることを批判し、文化的多様性を重視するキャリア支援の重要性を主張しました。

ワッツ(Watts, A.G.)
選択肢3:正解

ワッツは「キャリアガイダンスの4つのイデオロギー」を提唱し、その中で「ラディカル(社会変革)」のアプローチを重視しました。このアプローチは、個人ではなく社会に働きかけ、社会構造や制度の変革を通じて個人のキャリア発達を支援しようとするものです。
個人/社会、変革/現状維持の4つのイデオロギー

フアド(Fouad, N.A.)
選択肢4:不適切

フアドは実際には、多文化的キャリアカウンセリングの重要性を強調し、白人中心主義的なキャリアカウンセリングの限界を指摘しています。貧困層のクライアントに対しても、スキル開発を重視する立場を取っています。

問4

正解は1

選択肢1:正しい

キャリア適合性(アダプタビリティ)は、「現在および今後のキャリア発達課題、職業上のトランジション、そしてトラウマに対処するためのレディネスおよびリソース」と定義されます。これはサビカスの理論における重要な概念の一つです。

キャリア適合性の要素

  • 柔軟性
    人と環境の完全な一致を求めるのではなく、それぞれの意味や解釈を変化させながらす
  • 環境変化への対応
    時代の変化や転職などの身近な変化に適応する能力。
  • キャリア課題への対処
    キャリアに関連した課題や将来起こり得る問題に対応する能力。

選択肢2:不適切

キャリア適合性の次元は3つではなく、4つあります。
キャリア適合性を高めるための4つの次元

  1. 関心:未来に向けて備える
  2. 統制:キャリアを構築する責任は自分にあると認識する
  3. 好奇心:自分と職業の適合のため、職業環境を探索する
  4. 自信:進路や職業の選択に必要な行動を適切に実行できる自己効力感

選択肢3:不適切

サビカスの理論では、「人」と「環境」の適合性は固定的かつ客観的なものではなく、むしろ動的で主観的なものとされています。個人による意味づけや解釈によって変化させることができるとしています。

選択肢4:不適切

サビカスの「ライフデザイン」アプローチでは、過去に描いた自己の実現に取り組むのではなく、現在の経験に意味を与え、未来の方向性を明確にすることを重視します。

サビカス(Mark L. Savickas)の「ライフデザイン」アプローチ

  1. 社会構成主義に基づく理論:
    ライフデザイン・アプローチは、社会構成主義をメタ理論としています。
    これは、個人のキャリアが社会的文脈の中で構築されるという考え方を基礎としています。
  2. キャリア構築理論の3つの重要概念:
    a) 職業的パーソナリティ:個人のキャリアに関連する能力、ニーズ、価値観、関心。
    b) キャリア適合性(アダプタビリティ):職業的発達課題や移行に対処するためのレディネスとリソース。
    c) ライフテーマ:個人の職業行動に意味を与え、仕事の動機を明確にする概念。
  3. ナラティブ・アプローチ:
    クライアントの自伝的なストーリーを重視し、その中からライフテーマを見出すことを目指します。
  4. キャリア構築インタビュー(CCI):
    5つの質問(尊敬する人物、定期的に見る雑誌やTV番組、好きな本、モットー、最初の思い出)を通じて、クライアントのライフテーマを探索します。
  5. 柔軟性と一貫性の両立:
    変化に直面したときに柔軟に対応しながらも、一貫性を保つことができるよう支援します。
  6. 未来志向:
    過去の経験を基に、未来のキャリアをデザインすることを重視します。
  7. 個人の主観的解釈の重視:
    客観的な適性診断よりも、個人の主観的な解釈や意味づけを重視します。

問5

正解は4

選択肢1:不適切

この記述は学習理論に基づいたキャリア支援の考え方を説明しています。学習理論では、問題行動を学習の結果と捉え、適切な行動を学習することで改善できると考えます。

選択肢2:不適切

この記述は特性因子理論に基づいたキャリア支援の考え方を説明しています。特性因子理論では、個人の特性と職業の特性のマッチングを重視します。

選択肢3:不適切

この記述は異文化キャリアアセスメント論に近い考え方で、キャリア発達理論に基づいた支援の考え方ではありません。

選択肢4:適切

この記述はスーパー(Super, D.E.)のキャリア発達理論に基づいたキャリア支援の考え方を説明しています。スーパーは、人生における様々な役割の重要性と、それらの役割が複数の場面で演じられることを強調しました。

スーパーのキャリア発達理論

  • キャリアを生涯にわたる過程として捉える
  • 個人が様々な役割(子供、学生、労働者、配偶者、親など)を担うことを認識する
  • これらの役割が家庭、地域、学校、職場などの複数の場面で演じられることを理解する

この理論に基づくキャリア支援では、クライエントの人生全体を視野に入れ、様々な役割やライフステージを考慮しながら支援を行うことが重要となります。

第32回 問1から50解説リンク集