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この記事について
令和5年度の能力開発基本調査の結果を簡単にまとめました。
全体の傾向を掴めると思いますので、問題を解く前に一読するといいと思います。
企業調査
OFF-JTと自己啓発支援
- OFF-JTまたは自己啓発支援に費用を支出した企業は54.6%であった。
- OFF-JTに費用を支出した企業割合は49.2%で、前年度より上昇している。
- 自己啓発支援に費用を支出した企業割合は25.7%で、こちらも前年度より上昇している。
人材育成について、半数の企業は費用を支出していて、昨年度よりもその割合は多くなっている。
能力開発の実績と見込み
- 正社員に対するOFF-JT費用は、過去3年間で「増加した」(21.6%)が「減少した」(9.2%)を上回った。
- 今後3年間のOFF-JT費用支出見込みでは、「増加させる予定」(37.5%)が「減少させる予定」(1.0%)を大きく上回っている。
- 正社員以外に対する過去3年間のOFF-JT費用の実績では、「実績なし」が71.7%で最多となった。
正社員へのOFF-JTへの支出は増加傾向であり、今後も増加する見込み。一方で、正社員以外については、まだ手が回っていない様子。
能力開発の考え方
- 正社員の能力開発方針は「企業主体で決定する」傾向が強い(72.9%)。
- 教育訓練では、OJTを重視する企業が多い(正社員78.5%、正社員以外80.6%)。
- 能力開発の成果を活かす機会や実践の場の提供については、正社員に対して83.4%、正社員以外に対して71.1%の企業が提供するとしている。
能力開発については、労働者主導ではなく、企業主導が現状。また、主にOJT中心の能力開発が進められている。おそらく、費用面等のメリットが大きい。
能力開発の成果を活かす場については、概ね提供されている。
労働者に求める能力・スキル
- 50歳未満の正社員では「チームワーク、協調性・周囲との協働力」(60.0%)が最も重要視されている。
- 50歳以上の正社員では「マネジメント能力・リーダーシップ」(56.1%)が最も重要視されている。
管理職とそれ以外で求められている能力が違うことに注意。
管理職にはマネジメント、それ以外には、チームワークが求められている。
事業内職業能力開発計画と職業能力開発推進者
- 事業内職業能力開発計画を作成している企業は全体の4分の1に満たない。
- 職業能力開発推進者を選任している企業も全体の5分の1に満たない。
どちらも、半数に満たない。
教育訓練休暇制度等
- 教育訓練休暇制度、教育訓練短時間勤務制度、教育訓練所定外労働時間免除制度のいずれも、導入している企業は10%未満にとどまっている。
ほとんどの企業は導入していない。
事業所調査
OFF-JTの実施状況
- OFF-JTを実施した事業所は72.6%であった。
- 正社員に対するOFF-JT実施率(71.4%)は、正社員以外(28.3%)を大きく上回っている。
7割の実施。しかし、正社員以外については、まだ能力開発の手が回っていない。
計画的OJTの実施状況
- 計画的OJTを実施した事業所は63.2%であった。
- 正社員に対する実施率(60.6%)は、正社員以外(23.2%)を大きく上回っている。
キャリアコンサルティング
- 正社員に対してキャリアコンサルティングを行う仕組みがある事業所は41.6%であった。
- 正社員以外では24.7%と、正社員に比べて低い水準となっている。
約4割。正社員以外は、正社員の約半分程度。
能力開発について、正社員優遇の色が濃い。
個人調査
OFF-JTの受講状況
- OFF-JTを受講した労働者全体の割合は34.3%であった。
- 正社員の受講率(42.8%)は、正社員以外(18.9%)を大きく上回っている。
約3割が受講。ここでも正社員以外は、正社員の半数程度の留まる。
自己啓発の実施状況
- 自己啓発を行った労働者全体の割合は34.4%であった。
- 正社員の実施率(44.1%)は、正社員以外(16.7%)を大きく上回っている。
OFF-JTと概ね同じ結果。
キャリアコンサルティングの経験
- キャリアコンサルティングを受けた労働者全体の割合は10.8%であった。
- 正社員の経験率(13.8%)は、正社員以外(5.4%)を上回っている。
利用者は1割に留まる。
まだ、まだキャリアコンサルティングが労働者に浸透してない。
職業生活設計の考え方
- 正社員の66.7%が主体的に職業生活設計を考えたいとしている。
- 正社員以外では52.2%が主体的に考えたいとしているが、28.4%が「わからない」と回答している。
6割強の正社員が職業生活設計に前向きである。(正社員以外は約5割)
まとめ
この調査結果から、企業や事業所による能力開発の取り組みが進んでいる一方で、正社員と正社員以外の間に大きな格差があることが浮き彫りになっています。
また、個人の自己啓発やキャリア形成に対する意識も高まっていますが、実際の行動に移せている労働者はまだ少数派であることがわかります。