ライフデザイン・カウンセリングは、マーク・L・サビカスのキャリア構成理論を基盤にした、クライエントの人生やキャリアに関する自伝的な物語(ナラティヴ)を共に紡ぎながら、自己理解とキャリア構築を支援するカウンセリング手法です。
主な特徴
- クライエントの過去・現在・未来の経験を意味づけ、ストーリーとして語らせることで、人生の一貫性や自分らしい生き方に気づかせる。
- 自己理解の深化を促し、苦痛や困難に対しても自己の物語として能動的に再解釈し、乗り越える力を育てる。
- カウンセラーとクライエントの協働により、一貫した自己物語の再構築を支援し、新たなキャリアビジョンや行動計画の形成を促す。
- これにより、クライエントは自らのキャリアに意味を見出し、主体的に選択や決定、行動へとつなげられる。
このカウンセリングは単なる職業選択支援にとどまらず、人生全体の意味探求と自己形成を含む広範な支援であり、21世紀のキャリア支援のパラダイムとされています。
特に物語的アプローチ(ナラティヴ・アプローチ)を重視し、クライエント中心の対話を通じて深い内省と自己変容を促進します。
「ライフデザイン・カウンセリング」の基本プロセス
「ライフデザイン・カウンセリング」の基本プロセスは、「構築」→「脱構築」→「再構築」→「共構築」を経て「行動」へ至る段階を踏みます。
これは、個人が自分のキャリアや人生の意味を主体的に探求し、創造的にデザインしていく過程を示しています。
- 構築(Construction)
まず、本人がこれまでの人生や職業に関する自己理解を構築します。過去や現在の経験、価値観、自己概念に基づいて自己像を作り上げる段階です。 - 脱構築(Deconstruction)
次に、固定化された自己像や過去の意味付けを問い直し、疑問をもちます。これにより、既存の枠組みや考え方を壊し、多面的に自己を見つめ直すことが促されます。 - 再構築(Reconstruction)
脱構築によって生まれた空白や不確かさを受け入れつつ、新たな自己理解や価値観を作り上げていきます。過去の統合と未来への可能性を模索し、自己像を更新します。 - 共構築(Co-construction)
カウンセラーとの対話や他者との関わりの中で、新しい自己理解やキャリアビジョンを共同で創り上げていく段階です。支援者との協働が自己変容を後押しします。 - 行動(Action)
最後に、再構築された自己理解をもとに具体的な行動計画を立て、実際のキャリアやライフスタイルの変化に向けて動き出します。
このプロセスは社会構成主義に基づき、個人の語りと関係性の中でキャリアが動的に形作られるという視点を反映しています。
自己理解を深める深化的プロセスと、行動を伴う実践的なプロセスをつなぐ重要なカウンセリングの流れとなっています.



