プラス1点の知識

VRTテスト

VRTテスト(職業レディネス・テスト)について詳しく説明します。

VRTテストとは

VRTテストは「職業レディネス・テスト(Vocational Readiness Test)」の略称で、主に中学生から大学生を対象にして、自身がどのような職業分野に興味を持ち、その分野でどれくらいやっていく自信があるかを測る心理検査です。

これはキャリア教育や職業ガイダンスに用いられ、ホランドの職業興味理論(RIASECモデル)に基づいています。

検査結果は職業興味と自信度の二つの側面から示されます。

テスト内容と構成

VRTは3つの検査から成っています。

  • A検査:6つの職業興味領域(現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的)での興味の度合いを測る。
  • B検査:基礎的志向性を測定し、情報関係志向、対人関係志向、対物関係志向の傾向を判別する。
  • C検査:A検査と同じ6領域における職務遂行の自信度を測る。

VRTカード

VRTカードは、この職業レディネス・テストの内容をカード形式にしたもので、1枚のカードに職業興味と職務自信の項目が印刷されており、親しみやすく、使いやすいキャリアガイダンスツールです。

54枚のカードを使い、興味や自信の方向性を簡単に把握できます。利用時間は3分〜10分程度で、対話形式での利用にも適しています。学校の中学生から高校生、大学生が主な対象です。

結果の解釈

テスト結果はパーセンタイルで示され、85以上は非常に強い興味や志向性を意味します。

高低差がある場合は、職業に対する準備ができている(すなわち、興味の方向が明確)と考えられます。

利用者の職業イメージや自信度を多角的に把握できるため、キャリアカウンセリングでも役立つツールです。

VRTカードの使い方

  • VRTカードは54枚のカードで構成されており、1枚ずつに職務内容の説明などが書かれています。
  • 基本的な使い方は実施者がカードの内容を読み上げ、利用者はその仕事に対して「やりたい」「どちらともいえない」「やりたくない」の3つに分類していきます。
  • カード分類に要する時間は一人で行う場合約3分、実施者読み上げ方式でも約10分程度。
  • 分類後は「やりたい」カードをホランドの職業興味6領域(RIASEC)ごとに並べ、興味の傾向や内容を対話形式で確認します。
  • 他の分類も同様に整理し、興味や自信の方向性を探っていきます。
  • 1対1の対話形式やグループでの相互コミュニケーションを促す実施も可能で、心理的な抵抗感が少なく楽しく進められます。

授業での実践例

  • 中学校や高校のキャリア教育の授業で多く使われており、ペアで交互にカードを読み上げ分類し合う方法が基本です。これにより対話が生まれ、自己理解と他者理解が深まります。
  • 授業では自己理解、職業理解、ワークルールなどの領域に分けて、90分などの枠で進められることが多いです。
  • 実際の選択傾向から、例えばアウトドアが好き、会社員の仕事は避けるなど、表面的な興味以外の価値観や基準に気づくこともあります。
  • 大学の少人数授業や障害のある人の支援グループワークにも活用され、幅広い場でキャリアガイダンスツールとして使われています。
  • 授業実践では対話を重視し、カードを通して職業興味と自信の傾向を把握しながら自分の将来を考えるきっかけ作りを行っています。

VPI(職業興味検査)とVRT(職業レディネス・テスト)

VPI(職業興味検査)とVRT(職業レディネス・テスト)は、いずれもアメリカの心理学者ホランドの職業興味理論(RIASEC理論)に基づくキャリア支援ツールです。

共通点

  • 両検査はホランドの6つの職業興味領域(現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的)を用いています。
  • 利用者の職業興味を多角的に測定し、キャリア教育やカウンセリングでの自己理解に役立ちます。

違い

  • VPIは160の職業名を刺激語にして、その職業に対する興味・関心の有無を回答する形式で、主に短大生や大学生以上が対象です。得点には5つの傾向尺度も含まれ、より詳細な興味プロフィールが得られ、実施が紙ベースで大量実施に向いています。
  • VRTは中学生から高校生を対象に、具体的な職務内容を示した54項目の質問に「やりたい」「どちらともいえない」「やりたくない」と回答し、さらに「自信がある」といった職務自信も測定します。カード形式のVRTカードもあり、対話型の実施に適しています。

つまり、VPIはより細かい職業名リストで興味を測り、VRTは職務内容と自信度も含めて実践的に興味や職業準備度を評価するツールであり、対象年齢や用途によって使い分けられています.

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