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【要点・感想】ストーリーとしての競争戦略

この記事について

「ストーリーとしての競争戦略」を読み終えたので、この本の要点と感想を書こうと思います。

本の概要

ストーリーとしての競争戦略 〜優れた戦略の条件〜

著者 楠木建

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授

YouTubeのサラタメさんのおすすめ本として紹介されていました。

内容としては、ビジネス書で、特に企業戦略をテーマに書かれています。

要点

本のテーマとしては、企業の競争戦略です。

特徴的なのは、ストーリーとして論理立てること。

「誰に」「何を」「どこで」「なぜ」「どのように」という戦略で重要な要素の中でも、特に「なぜ」に焦点を当てる。

「誰に」「何を」「どこで」「どのように」がしっかりできていても、「なぜ」という軸がなければうまくいかない。

「なぜ」は、戦略の軸であり、コンセプト。

全ての打ち手は、このコンセプトのため目に存在する。

コンセプトは、人間が本質的に欲するものにすること。

人間の本質は変わらない。それを追求するストーリーは強い。

そして一見不合理に見える打ち手クリティカル・コアを打ち手の起点にする。

競合他社からは不合理に見える打ち手は模倣されない。

しかし、ストーリー全体から見ると合理的な打ち手であり、さらにコンセプトと打ち手を強く結ぶ一手となっている。

競合他社は、合理的に見える打ち手は模倣するが、コンセプトにつながる起点の打ち手が見えない。そこには、競争優位性が存在している。

「儲け」の先には、必ず人がいる。

人が欲すること。喜ぶこと。その感情を満たさないものが利益を得ることはない。

「儲け」という結果だけをみてはいけない。

「儲け」は「誰かの役に立った」結果に過ぎない。

人生戦略にも役立つ

企業戦略としての本ではあるが、自分をどう社会に売り込むかという視点から見ると、経営者ではなくとも十分に読む価値がある。

むしろ、サラリーマンのような経営的視点がない人間の方が読んだ方が良いのではないだろうか。

特にコンセプトを考える部分については、相当な頭の体操になる。

自分の行動の「なぜ」を考える時間は、思っている以上に多くはないようだ。

自分の行動についてのコンセプトを考えようとすると、すぐには思い浮かばない。頭が真っ白になる。そして、ありきたりな、ステレオタイプ的で陳腐なコンセプトしか思いつかない。

コンセプトが決まればストーリーの50%は作り終わったと言えると書いてあったが、じっくり考えると、その大事さがよくわかる。

このコンセプトの作成が、これ以降の自分の行動を決定づけるのだから。

打ち手バカ

自分も含めて、多くのサラリーマンには、コンセプトを考えることをしない。

思いつくのはすぐに打ち手だ。

太ったから、すぐに夕飯を抜こう。というようにすぐに打ち手を考える、打ち手バカだ。

そこには「なぜ」がない。

「なぜ」痩せたいのか。「なぜ」太っていてはいけないのか。

そこが抜け落ちている。

コンセプトがあって、初めて打ち手を考えることができる。

例えば、コンセプトが、「健康美」であるならば、夕食を抜くという打ち手は、コンセプトの「健康美」には繋がらない。

一方、「とにかく細く」であるならば、夕飯を抜くという打ち手は良いかもしれないが、その前に太るような食事メニュー(打ち手)と相反しているため、食事全体のメニューや回数の見直しも必要だろう。

要は、「なぜ」そうなりたいのか。を時間をかけてじっくり考える必要があるということ。

そして、自分にとっての長期的利益は何に当たるのか。その定義づけも重要だ。

企業の利益は言葉のとおり、会計上の利益だ。

しかし、個人に置き換えて考えた場合、その利益の定義は人によって変わってくる。

資産、名誉、愛情、信頼。

何を人生の目的とするかで、その後のストーリー展開が変わってくる。

そう考えると、企業戦略よりも複雑になるのかもしれない。

哲学の必要性

ここで必要になってくるのは、「哲学」ではないかと感じる。

自分にとって、何を重要視するのかということを考えるための下地として、「哲学」は非常に役にたつ。

今、自分の考える「幸せ」は、本当に自分の必要とするものなのだろうか。

という根本的な部分から考え直す必要が出てくる。

非常に難解で、一筋縄ではいかない問いであるが、それの解を出せた人が成功への道を進んでいるのではないだろうか。

人生の指針づくりとして読むべき本

人生について、右も左もわからない状態において、これを人生戦略の土台として読んでおくべき1冊。

自分のやりたいことを論理的に組み立てるために非常に役に立つ。

約500ページの本であるが、時間がない場合は、「第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」を読むことをお勧めする。

この本の要点が整理されていて、情報量も十分であり、この章だけ読むだけでも、この本の全体像を把握することができる。

まとめ

今回は、「ストーリーとしての競争戦略」の要点を感想をまとめました。

自分がどう生きたら良いのかという問いを抱えてる40代の人は、読んでも損のない1冊だと思います。

自分のやるべきことなどを整理するのに役立つと思います。